05.私の部屋。
「今晩、何時までに帰れば僕は君の親御さんに通報されない?」
手を握られたまま、西園寺璃央の長い脚で歩くペースに早足で追いついていると、西園寺璃央は正面を向いたままそう聞いてきた。
「……別に何時でも……あの人ほとんど家に帰ってこないから」
「……ふーん、何か君も訳ありなんだね。まぁ、死のうとしてたくらいだしね」
ははっと西園寺璃央は笑った。
『君も』という言葉が少し気になったが、私は別に聞こうとは思わなかった。
どうでもいい、すべてがどうでもいいんだ。
どうせなら、この豪邸で監禁されてぼーっとした毎日を過ごしたいくらいだ。
「じゃあ、しばらく泊まっていける?」
「…………」
西園寺璃央から、私の心を読んだかの様な言葉が飛んできて私は少し目を見開いて驚いた。
「あ、何か初めて表情変わったね。嫌? それとも嬉しいの?」
西園寺璃央は、はははと笑っている。
「…………」
何と答えていいかわからず、まさか嬉しいとも言えず、私が戸惑っていると、
「まぁいいや、後で君の身辺調査して親御さんに連絡しとくから」
「え!」
「あ、今度は驚きの表情だ。しかも何か複雑そう」
西園寺璃央は愉快そうに笑っている。何だかちょっと腹が立つ。
「……勝手にしてください」
「そうだよね、君はもう拾った僕の物だからね」
「……はい」
無表情で私は答えた。
早足で歩きながら話していると、ある一室に着き、西園寺璃央はひんやりとした手を放し扉を開いた。
「ここが今日から君の部屋ね。後で使用人に着替え持ってこさせるから、シャワー浴びて着替えて待ってて」
「はい……」
シャワー浴びて着替えてか……これからセックスするのかな。
処女だから不安はあるけど仕方ない。どうでもいいや。
私は部屋へと入った。