22.あたたかい雫。
「…………」
私が璃央を抱きしめたまま、静かな心で言った言葉に、璃央は何も言わなかった。
しかし、
「……好き……? 茜が……僕を……?」
少し馬鹿にしたような声で璃央はつぶやいた。
でも、私は璃央の背中に回した腕に力を込める。
「……そうです……私は璃央が好きです」
はっきりとそう告げた。
「ハハハ!」
璃央は私から離れて顔に手を当てて笑い出した。
「こんな監禁されて、わけわかんないこと言ってる僕を好き? 何言ってるの?」
璃央は笑っているが、私には悲しげに見えた。
「……好きですよ」
真顔で静かに私は続ける。
「…………」
璃央も真顔で黙り込んでしまった。
「監禁されても、わけわからなくても、あの時……璃央と窓の外を見て、璃央に触れられて……一緒の時間を過ごした時から……璃央が幸せだと感じたように、私も幸せなんだとわかりました……そして璃央のことが好きだと気づきました……」
璃央はぽかんとした表情で私を見ている。
「私は璃央のお母さんのように璃央を捨てたりしません。だって私は璃央のものだから……それに私は璃央が好きだから……ずっと一緒にいたいです……」
何だか泣きそうになったけれど、最後まで璃央の瞳を見つめて伝えられた。
そして泣きそうになりながらもほほえんだ。
「……茜」
璃央はゆっくり私の方に近づいて来て、私をきつく抱きしめた。
「茜……茜……」
そして私の首筋に顔を埋めてうわごとのように私の名を繰り返す。
私は首筋にあたたかい雫がこぼれ落ちるのを感じていた。




