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02.僕の野良猫さん。
「は?」
小さくそう返した私に、
「今から死ぬんでしょ? なら、その命僕にくれないかな? あ、別に犯罪になるような事はしないよ、捕まりたくないからね。ただの気まぐれ、野良猫拾う様なもんだよ」
(私は野良猫か……)
この状況で止めもせず、何か凄いこと言ってるなぁこのイケメン。でも金持ちそう。
私拾ってどうするんだろう。犯罪になるようなことはしないとか言ってるけど……まぁ、いいか。どうにでもなれ。
「……いいよ、私の命あげる」
橋の欄干から降りて車に近づくと、イケメンはさっきとは違い薄らと微笑んでいる。
「ほんとにいいの?」
「……うん」
「わかった、僕の名前は西園寺璃央。君は?」
「……白沢茜」
「茜か、今日からよろしく、僕の野良猫さん」
そう言ってイケメン……西園寺璃央は車のドアを開いた。