19.一瞬で消えたしあわせ。
「あー……この広い窓がいけないのか……外が見えるし、外からも君が見えるもんね……」
璃央は私から離れ起き上がるとベッドから下りて部屋を出て行った。
「…………」
璃央の突然の豹変に、私は困惑していた。
そんなに庭師さんに手を振ることがいけなかったのだろうか?
正直……殺されるかと思った。
最初に出会ったころの璃央を思い出す。
そうだ……確かに、璃央は最初からどこかおかしかった。
そもそも死のうとしている人間を拾い、『僕の物』として部屋に閉じ込めているのだ……璃央はどこかがおかしい。
私は改めて璃央に『拾われ』『璃央の物』になったことを痛感する。
今度から……気を付けよう……。
そう思っていたがふと、先ほどの璃央の言葉の数々を思い出す。
『あの男が好きなの? あの男のところに行きたい? あの男に会いたいの? 僕よりあの男の方がいいの? 僕から離れるの?』
あれ……璃央は……もしかして……。
いや、自惚れるのはやめよう。
頭を振って、呼吸を整える。
私はこれからどうやって璃央と付き合っていこう。
せっかく芽生えた恋心も、恐怖に縮こまってしまった。
しあわせって……ほんとに一瞬でなくなるんだな……。
辛かった人生で一瞬だけ味わえた幸せを、私は既に懐かしく感じていた……。




