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01.死ぬのなら、その命僕にくれない?
(生きる意味ってなんだろう……)
深夜、私は橋の欄干に立って頭の中で何万回も繰り返したその言葉を、最後にもう一度思い浮かべる。
結局答えは出ないままこの世とおさらばするのか……まぁ、いいけど。意味なんてないんだよね。
これから飛び降りる水面は真っ暗だ。
何だかおかしくなって私はふふっと微笑んだ。
やってきた車のライトが照らしてくる。こんな深夜にどこ行ってたのやら。邪魔しないでほしい。止められる前に早く飛び込まなきゃ。体重を少し前に傾ければいいだけ。
あれ、ちょっと怖い……。
私、死ぬの怖いんだ……。
悠長にそんな事を思っていると、ほら、車が止まった。
あーあ、警察沙汰かなぁ……親呼ばれるのかなぁ……どうせ来ないか、あの人は。
「ねぇ」
車の窓だけが開く音がして、透き通る様な男性の声がした。
軽く首だけ振り向く。
「死ぬのなら、その命僕にくれない?」
車の窓から微笑んでこちらを見ている、金髪碧眼のイケメンにそう提案された。