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第21話 王家の改善!要因分析と対策立案

 少しだけ暗い空気が流れましたが、時間は限られています。

 3日のうちに作戦を練らないといけません。

 夕食と休憩を挟んで会議は続きました。


 アレンさんがサクサク進めます。


「最大の問題点は女王陛下の異常な執着と自己顕示欲ということだが」


 ジュリアンが後を引きとります。


「その解決方法として義兄さんを超える美男子の発掘ってことですよね」


「ものすごく確率は低いけどね」


「他の方法は?」


 アレンさんの言葉に、皆さん黙って俯いてしまいました。


「他に自慢できるような何かをみつけるとか?」


 ダメもとのようにマリーさんが言いました。

 するとルイス様がハッと顔を上げました。


「趣味ではないけれど、最近気づいたことがあるんだ」


 みんなの顔が一斉にルイス様に向きました。

 うん、やっぱりルイス様は美しい!


「あの女って、実は王配のことを意識しているんじゃないかと思う。王配が一緒にいる時、例えば特使歓迎パーティーとか、2人揃っての謁見とか。そういう時は機嫌がいいんだ。だから私も少し息抜きができる。反対に王配が愛人を侍らせて楽しそうにお茶なんか飲んでると、見せつけるように私を呼んで膝に座ろうとする」


「なるほど」


「最初はいつもの気まぐれだと思ってた。でもよくよく考えると婚姻を結ばれてからだな。王女だった頃はただただ追いかけまわされているって感じだったけど。そういえば私が媚薬を盛られたのも初夜に王配が来なかったからかもしれない。あの2人は完璧な政略結婚で白い関係なんだよ」


「まさか! 王族が子孫を残さない関係なんて有り得ます?」


 ランドルさんが不思議そうに言いました。


「そうだろう? これは王宮の中でもトップシークレットなんだ。四六時中付き合わされている私だから知っていることだね。女王陛下が寝物語に言ったから本当だろう」


「「「「「「「ネモノガタリ!!!」」」」」」」


 思わず反応してしまった私達は悪くないですよね?


「あ、ああ、毎晩あの女が眠るまで、枕元に座ってないといけないんだ。じゃないと国宝級の花瓶や絵画が壊れる。経理部長から土下座で頼まれた。でもね、ルシア! 見てるだけだから! 他にも侍女や騎士が同室しているから! 私は潔白だから! 信じてくれ」


「ん? ほほほほほ」


 ルイス様は泣きそうな顔になりました。

 あきれ顔でジュリアンが言います。


「だとすると王家が途絶えませんか?」


 ルイス様が吐き捨てるように言いました。


「前王が言うには、この国の王族の血脈が残ればいいから、別に王配の子じゃなくても良いそうだ。前王が必要だったのは王配の政治センスだけで、女王が産むなら種の出所は問わないというスタンスらしい。前王は私にこう言ったんだよ。『ぴぴって種付けだけしてくれれば、すぐに安全な他国に逃がしてやるから』と。少し心が動いた自分が恥ずかしいけど、絶対にしてないからね? 要するに前国王は自分の娘さえ人間扱いしていないんだ」


 そう言ってルイス様は、雨に濡れた子犬のような顔でチラチラと私を見ました。

 わかりますとも!

 どんなに嫌いな相手でも、ぴぴってするだけで一生逃れられるなら心も動くというものです!

 でもぴぴって……小鳥?


 コホンとひとつ咳をして、アレンさんが言いました。


「確かに女王陛下は坊ちゃんに執心していたけど、結婚してからは気持ちが変わった。王配がタイプだったのでしょうね、きっと。だから女王陛下が見せびらかしたい相手って、実は王配1人。王配に焼きもちを焼かせたいのか? 坊ちゃんは当て馬か? だから自分を抱こうとしないのに坊ちゃんを手放さないのか。むしろそうなったら困るって思っているかもしれないな」


「おそらく」


「では女王陛下と王配の共同業務を増やして、徐々に2人の距離を縮めるのは?」


 ジュリアンが言いました。


「共同業務って言ってもさあ。重要な行事以外は単独が通例だ」


 ランドルさんが独り言のように言いました。

 ちょっと弱気な発言に、イラッとして睨んでやりました。

 するとジュリアンがそれに気づいて慌てて口を開きました。


「無いなら作ればいい。各部門長に根回ししましょうよ。みなさん義兄さんには本当に感謝しているみたいですし、協力してくれると思いますよ?」


「そうだね。もし協力を嫌がるなら二度と女王陛下の前には行かないと言ってやろう。家族の命が懸かるんだ。絶対に頷くさ」


「ものすごい有効な脅しですね。ではそちらの根回しは僕とランドルさんでやりましょう」


「了解」


 2人は頷き合いました。


「王配にも協力を要請すべきですね」


 ジュリアンが建設的な意見を述べます。


「それなら俺に伝手があるな」


 ランディさんがニヤッと笑いました。


「俺の弟子が王配専属のパティシエなんだ。時々新メニューの味見も頼まれるから、そいつから話を通すって手もあるぜ?」


「パティシエの言葉をすんなり受け入れますかね」


「相当気に入られてるらしいぜ? 王配の愛人の中で一番の寵愛を受けているのが、そいつのケーキが大好きでね。王配はその子の気を引くためにいろいろ頼んでくるらしい」


「ランディさんよろしくお願いします」


「任せとけ」


「後は前王だな」


 リリさんがパッと手を上げました。


「それなら宰相を動かしましょうか?」


 全員がゆっくりと首を動かしてリリさんを見ました。


「あっ、実は私、宰相にずっと言い寄られてて。このお屋敷に雇われる前は宰相のお屋敷でメイドやってまして。てへぺろ?」


「「「「「「「えええええっっっっ!」」」」」」」


「親父クサいしケチだし禿だし嫌なんですけど。ちょいと良い顔すれば、思いのままに踊らせますよ?」


「マジで?」


 ルイス様! お言葉が! お言葉が乱れています!


「ええ、要するにあのおっさんに何をさせればいいんですか?」


 ジュリアンが口をパクパクと開閉しています。


「女王……気持ち……伝える……」


 おいおい! 単語だけになってるぞ! ジュリアン! 戻ってこい!


「了解しました。お任せください。あっ! ご心配いただかなくても一線は絶対に越えません。あのおっさんには指1本触れさせませんから。旦那様が女王陛下を嫌うのと同じくらい私もあのおっさんが嫌いなので」


「そんなにか」


 2人はシンパシーを感じ合ったようです


「よしこれで、包囲網はできたな。後は各々がミッションをコンプリートするだけだ」


 力強くアレンさんが作戦会議の終了を宣言されました。

 私は何の役にも立ちませんでしたが、なかなか有意義な時間でしたね。

 もう日付が変わりそうな時間です。

 ジュリアンは帰ると言いましたが、心配なので今日はここに泊めることにしました。


「姉さん、どこで寝るの?」


「どこって? 自室に決まってるでしょ?」


「でも、今日は初夜だろ?」


「しょっ! しょっ! しょっ! 初夜!」


 ルイス様との初夜……無理です! 無理無理無理!

 2人きりになった瞬間死ねる自信しかありません!

 そんな私の気持ちなどお構いなしにルイス様が揶揄うように手を差し伸べてきます。


「さあ、ルシア?」


 気が付いたらすっかり朝でした。

 自室のベッドで1人きり……寝乱れてもいない……。

 あの瞬間私は気を失って、ルイス様が運んでくれたと朝食の時ジュリアンに聞きました。



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