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八話2

「執行」


「ふぐぉ」


本日二度目の酸素強制排出による目覚めを受け、寝覚めは最高に良かった。良くなきゃまた眠らされて、起こされるというドSループが待っている。


「おはようございます香里さん。いやぁ、良い天気ッスね。こんな日は出掛けたいなぁ、香里さんと二人きりでどこかに行きたいなぁーーっ!!」


カーテンを開けて、腹が立つくらいの厳しい日光を受けながら、命掛けで香里を早口で巻くし立ててみた。


「あら、アイの事はいいのかしら?」


い、意地悪いよこいつ、よく存じあげてるが。


「い、いやぁ、アイも俺達と年変わらんのだから大丈夫さ。今日はどうしても香里さんと出掛けたくてね、そしたら………その残りの宿題なんかも手伝って頂けたら………」


「後に本音が出なかったら高得点だったのに、まぁいいわ。楽しかったら手伝ってあげる………と言いたいけど、それで接待みたいな感じなったら嫌だから、手伝ってあげる。だから、自然体でお願い」


「あ、ああ」


『お願い』と言った辺りが妙にしおらしかったので、何だか調子が狂う。


準備するから、と小さな声で言い残して香里は退出、残された藤谷はベッドの上に鎮座する『愛を射る狩人の像』を片付けた。









「え~、やだやだ、アイも一緒がいい!」


予想通りというか、見えてた未来というか、案の定アイはだだをこねた。


「お願いします、留守番してください」


男、いや、漢と書いて『ふじみやとうや』と読んでほしい。その漢が説得の為にしたのは、


「あら、なんで自宅の居間で土下座なんてしてるの?」


熱い血潮燃えたぎる漢に対して、香里さん、もとい氷の女王様は冷ややかな言葉で漢の血潮を凍らせた。


「む~、しかたないなぁ。良い子でお留守番するから、おみやげ忘れないでね」


「ああ、お土産な。任せてくれ」


お土産と言えば子供頃に『おどさん』って読んでたなぁ、なんて回想に浸ろうとすると氷の冷たい一言で現実に引き戻される。


「さっさと出ましょ、約束忘れ土下座漢さん」


とてつもなく不名誉な名前をつけられ、そういや香里っておかしいくらい記憶力良いんだったぁ………なんて事を思いだしながら、どれくらいこのあだ名で呼ばれるのだろう、とか考えて……


「うっさい長い、さっさと出発」


「ラジャー」


敬礼と共にアイに別れを告げて熱い戦いへと赴くのだった(ただ外が暑いだけ)。

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