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七話7

本当になんなんだろう。自分の事ではないけど、妙に憤る。


たしかに言ってる事は間違ってないけど、人の手は二つしかないのだ。一つは人を助けても一方は自分の為に使うべきだ。本当の人助けとはそういうことだろう。


あれは行き過ぎている。自己満足、捻た見方すると偽善にも見える。


自分には関係ないのだからと言えばそこまで、だが、当事者は姉で、関係ないとは言い切れない。


「本当にバッカみたい」


他でもない、アイツ、藤宮藤谷に対して悪態を吐く。


あんな男の為に態々休日使って、朝から姉を尾行までして、結果はこれ、休日の無駄も良いところである。


何で我が姉はあんな男を好きになったのだろう?疑問しか出ない。アイツと会ったのは興味本意、姉の外見を激変させた原因だ気にならないわけがない。


顔を見るだけのつもりだったが、会ったのは失敗だった。顔だけ見ればそれなりに良かったが、内面が普通じゃなかった。


気分転換、転換だ。この苛々と鬱憤とムカムカを友達と騒いで忘れる事にする。


早速取り出すは便利なコミュニケーションツール携帯電話、ポケットから取り出した時に異変に気付く。


「うそ………なんで………」


ショッピングモールの駅方面の出口へ歩いていたが、驚愕のあまり足を止めてしまう。周囲の人間は苦言を出しながら椎子を避けて歩いていく。川を流れを断つ石の様になっているが、あれはそれも含め自然の美しさとして片付けられるが、今の椎子は平たく言うとただの迷惑でしかない。


少し平静を取り戻した椎子は、塞き止めている石をやめ、道の端に移動する。携帯電話を入れていたポケットに手を突っ込み、無駄だと思うが辺りを見回す。


認めたくなかったが落し物をしたのだ、とても大事な物、十字架のストラップ、大事な友人に貰った物、友情の証とも言える物をなくしたのだ。携帯なんかにつけるのが悪いかもしれないが、その辺にはちゃんと理由もあって、と誰にしてるかわからない言い訳を始めようとした所で我に帰り駆け出した。


あの男に声をかける前に時間を確認した時には確かにあった。なら、きっとあの男と行動していた時に落としたのだ。


速く見付けなければならない。大事な友人がどこかに行ってしまうような錯覚に陥りながら懸命に足を動かした。

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