七話
疲弊、疲労、とにかく疲れていた。藤宮藤谷は疲れきっていた。
「とうや、お風呂入ろ」
悩みの種が扉を開けていらっしゃった。アイが来て早くも一週間が経過した。
まだ謎の多い少女だが、生活するには困らない位の情報は得れた。
とにかく甘えてくることだ。つか、度合いがおかしいんだよ、何するにも一緒しようとする。香里だって毎日いるわけではない、泊まるのは週に四日位だ。
毎日いるように錯覚するのは、家に帰って朝になったら既に我が家にいるから…………毎日居ると言っても過言じゃないなこれは。
「おふろ~」
ゆさゆさ、ゆさゆさ、ガタガタ、ガクガク。
「死ぬわ! 揺さぶられっ子症候群になるわ!」
「子供しかならないよ? とうやがなるやつじゃない」
気付けば隣に座っている少女(同い年)は、稀にまともな突っ込みをいれてくる。いつもは幼い口調と行動ばかりなのに、いきなりのカウンターに気絶しそうになる。
「おふろ~」
ガクガク。
「えぇいやめんか! 風呂ぐらい一人で入りなさい。子供じゃないんだから」
何時もならこの辺で『とうやー、一緒におふろ』とか言って割り込んでくる人は今日は家に帰っている。発言が具体的なのは何度も言われてるからである、言わずもがな。
「じゃあ私は子供です」
「なんと言おうと入りません」
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!」
だだっこ、漫画なので目にする子供が欲しいものを買って貰えないとする行動、実際目にするのは初めてだが、同い年の少女、国外産なので発育が実はよかったりなんかする少女がやると精神的によくない。
「ぶぅー」
だだっこするのに飽きたのか、頬を膨らませてこちらをジッと睨みつけてくる。
「わかったわかった。今日は一緒に寝てやるから風呂は一人で入りなさい」
ぱぁっ、今効果音が見えた、後ろに効果音が見えた。それぐらい綺麗に笑うと、嬉しそうに階下へと駆けて行った。
基本的にアイの事は香里に任せていて、風呂も寝るのも一人は嫌がるのを香里は付いていてくれる。
明日辺り感謝の気持を込めて朝御飯でも作って待ってようかな。
そんな事を考えながら読みかけの雑誌を拾いあげ、中断していた所から読み出した。