表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/88

四話5

最近は少し暑くなってきたな、と思い快適な勉強空間を作るためクーラーをつけて、今夜もさぁ勉強開始だ。


今日は流石に会長も家で勉強するらしく来ていない。まぁ、あの天才少女大先生はいつもどーり家に来て、今はいつもどーり晩御飯の支度をしている。


今日はちょっと遅れてるようで中々呼びに来ない。それでも藤谷はペンを動かすのを止めない。


書いて、口に出すことが一番記憶が出来るらしい。それを繰り返し英語の単語を覚えていく。


更に三十分が経過した。流石に気になって、腹も減ったので階下に降りる事にする。階段の途中、電気をつけずに降りたら何か黒い物体が転がってる事に気付いた。


最初は何か香里が置いたのかと思ったが、一段、二段と近付いて行くにつれてそれが何なのか見えてくる。三段目には駆け降りて、踏み外しそうになりながらも側に寄った。


「お、おい! 香里どうした!?」


「あら、えへへ、ごめんごめん。少しご飯遅くなっちゃって………」


目の焦点が確りと定まってない。少し頭が揺れている、息も荒い。


直ぐに手を額に当てる。


「………嘘だろ、凄い熱じゃないか」


「大した事ないよ。ちゃんとご飯は出来たし………問題ない問題ない、ご飯終わったら勉強しよ?」


喋るのも辛いのか、なんだかゆっくりだし、変な発音になってる。


とりあえず藤谷は冷静に香里を抱き上げ、部屋に運ぶ事にする。


香里が使ってる部屋、端に布団と香里の鞄二つしか香里が使ってる物がない部屋、鞄には着替とかその他が入ってるらしいが、着替は後だ。


香里をその辺に寝かして、布団を敷いてそこに寝かせる。


「ちょっと待ってろ、薬とか持ってくるから」


「藤谷のだっこ、嬉しくて何も言えなかっただけだから………大丈夫だから、ご飯にしよ?」


立ち上がる前に腕を掴まれ、泣きそうな顔でそんな事を言われる。


「……………駄目だ。少し待ってろ」


尚も香里は手を離してはくれない。いやいやと首を振った。


「お願い………だから、大丈夫だから………」


「何が大丈夫だよっ!! …………悪い、怒鳴って………いいから休んでろ」


驚いた香里は手を離して、藤谷から目を反らした。


部屋を出て、藤谷は自責で一杯だった。グルグル回るのは最近香里のだ。どこかにこの症状を表に出してる事はあったろうか?多分最近は調子が悪かったんだ、無理してたんだ。それであんなに酷くなったんだ。

どれもこれも憶測でしかないが、今は自分が情けなくて仕方ない。腹が立つ、自分の事ばかり考えて、香里をなんだと思ってるんだ。家事をやってくれるからってだらけて………


握る拳が痛かった。こんな痛みで香里が治るならいくらでも耐えてやれる。だが、そんなことをしても変わらない、だから今は香里の事だけを考えよう。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ