四話
学生の本文は、名の通り学業である。
夏休みが目前に迫った七月、夏休みだと浮かれる前にテストがあったり……
一応進学校なんてけったいな物に通ってる男の子、藤宮藤谷君の場合、
「…………………」
汗が止まらない。目が霞んで倒れたい。だが、倒れたら終わる。
今日、HRでテスト範囲のプリントを配られた。そして放課後の図書室で教科書を開いて範囲を確認してみる。
一言で簡単に言おう。
「俺、本当にこの授業受けたのか……?」
全く理解できない。進学校のレベルがいけないのか、藤谷は中学生まで成績が良かった自分を呪った。
「………今なら香里美々、お安くなってますよ」
タイムマシーンで過去に行って、中学生の自分を殴りつけて、正しい道を模索するように諭し、今の状況が好転したらなぁ………と現実逃避旅行に出掛けてる最中に声をかけられた気がする。
気がするだけだから気にせず旅行を満喫しようと…………
「今なら、香里先生が優しく教えてあ・げ・る」
図書室の机に突っ伏して、両手を頭に添うように伸ばし、世界から隔絶していたが、髪を少しかきあげられ、耳元で囁かれればこそばゆさで流石に飛び起きる。
「だぁー! オーケーわかった。要求を聞こうじゃないか。俺が夏休みをエンジョイして、尚且進級に響かない策があるならな!」
あれ?見上げてみると二人いる。元眼鏡の会長と態とらしい人香里さん。
口元で人指し指を立てて『お静かにだよ』とか言ってる会長は、恐ろしく仕草が似合うな。まぁ、見慣れてるからだろうが。
「と! いうわけで、私香里美々さんと」
「黒崎舞ちゃんが」
「「家庭教師をしちゃいます!!」」
デンッ!
ちなみにこの『デンッ!』は二人で口に出して言ってます。
「会長はいいんですか? 受験もあるんだし」
「ボクなら問題ないよ。それに復習にもなって一石二鳥、一挙両得、一網打尽だよ」
意味わからんがいいや。
香里は…………そうだ、こいつ頭の病気かって位頭が良いんだった。
「あっ、藤谷君、ボク達を呼ぶときはちゃんと『せ・ん・せ・い』とつけるんダゾ」
なんか会長が崩壊していってるのだけは、心が痛いくらい理解した。
「報酬は、夏休みに最近出来たりぞーとすぱに私達を連れて行くこと」
なんでりぞーとすぱが平仮名かはさておいて、結構値が張る気がするな三人分は、だが、背に腹は……
「お願いします。先生」