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冒頭3

屋上、話したいことがあると言って香里に付いてきたらこんな場所に来ていた。


人気はなく、夕方の赤に染まる町が綺麗でまるでこれから告白され、青春の一ページ………なんてくだらないことは考えなかった。


藤宮藤谷ふじみやとうや君」


名前を呼ばれた。あの香里美々に名前を呼ばれたのは新鮮だが、フルネームで呼ぶのは是非とも勘弁して頂きたい。


この名前には嫌な思い出しかない。偶然が重なってこんな名前になったのだが、それはまたのお話に。


「面白い名前よね。差し詰めあだ名『藤藤』ね」


ん?なんかおかしい。さっきまでの先生に対しての優等生面でも、周りに対しての氷の女王の面でもない。なんか、嫌味な感じの雰囲気が漂い出している。


「まぁ、私も小学生の頃は『パンの耳』やら『ロバの耳』なんて呼ばれてたっけね。どうでもいいけど」


心底どうでもいい!


「用件は? そんなくだらないことを話すんなら帰るぞ?」


そこで香里はニヤリと、本当に嫌な笑いかたをしてみせた。


「くだらないこと? 貴方にとってなんならくだらなくないのかしら? いつも、無気力に日々を過ごしていて楽しい?」


流石に苛々してくる。話すのは初めてでほとんど初対面のような人間に、なぜここまで言われるか。それに今日はあまり何かを考えたくないのに。


「それは俺の勝手だ。そろそろ帰る」


そう言って踵を返し、屋上の扉へと歩いていく。


「私もね。つまらないの、貴方と私はね、きっと同じ人種、だからとても興味が沸くの、胸がね、高鳴るの、だからね」


一々もったいつける様に途切れ途切れに言う香里、俺はこれを無視して行くべきだったか、その話を最後まで聞くべきだったか、答えは分からない。


「私達付き合いましょう」


こんな衝撃的な発言を聞く事になるとは、予想なんて出来るわけなかった。


「はい? 君、何言ってる?」


振り返って大真面目な顔してる異常者に対して、惜し気もなく皮肉った。


「あら? 言葉が足りないかしら、私達、恋人としてお付きあいしましょう」


そう言って、彼女は不敵に笑った。

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