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三話3

あっという間に体育祭を終え、その振り替えで当てられた休日がやってきた。


この休日、藤谷に対し珍しい人から誘いが掛っていた。何を隠そう眼鏡の可愛い女の子で通ってるらしい、生徒会長さんだ。


弟の誕生日が近いらしく、プレゼントをしたいそうなんだが、男の意見を聞きたいらしい。


これを香里に話すと『まるでベタベタな漫画とかの遠回しなデートのお誘いみたい』なんて返してきやがった。どうしてもう少し素直に色々と受け取れんかな、あの娘は。


待ち合わせ場所は駅の改札、少し移動したいらしい。まぁ、都会には近いが、近いだけのこの近辺では買い物も完璧にいかんだろう。


少し早めに出た。待ち合わせの十時の二十分前、まぁ、予想通りというかやっぱりというか、会長はちょこんと立っていた。それに小走りで駆け寄る。


「すみません、会長、待ちましたか?」


「い、いや、ボクもつい十分前くらいに着いたんだ。休みにすまないね」


「いえいえ、会長にはお世話になってますから」


会長を頭から足まで見てしまう。


見てしまうくらい似合った格好、香里は綺麗で目を奪われたが、会長はお人形のようで見ていたいと思った。


「じ、じろじろ見るのはよくないよ藤谷君、後、外で会長と呼ぶのはやめてほしいな」


「すいません、か………………先輩?」


会長改め、先輩は難しい顔をして、溜め息を吐いた。そしていつも通り人指し指を立てて微笑んだ。


「さぁ、行こうか」


「はい」








振り替え休日、世の中は平日、通勤の時間帯を過ぎた今は人の流れはまばらだった。


まさか女の子と二人でまた、この百貨店に訪れるとは全く思いもしなかった。


事前に先輩の弟さんの情報は仕入れている。だから、ある程度は目星をつけていた。小学校五年、好きなスポーツはサッカー、どちらかと言えば外で遊ぶ派、でもゲームも好き。典型的過ぎて教科書に載りそうな少年だ。


「うーん、ボクはゲームとかあまりしないからな。あんまりわからないや」


「俺もそんなにはしませんよ。香里は結構やるみたいですが」


「えっ!? ………へ、へぇ、そうなんだ。香里さん結構勉強してるイメージあったよ」


香里と先輩は気付けば友達になっていた。だから、共通の友人として名前を出したんだが、あんなに驚かれるとは思わなかった。何だか言葉も震えてるし、ケンカでもしたのか。「だから、サッカーボールなんてどうですか? 無難過ぎてつまらないかもしれませんが、シンプルなのも良いと思って」


何故か知らんが、少し気まずくなった空気を飛ばす様に少し大袈裟に手振りも加えて言う。


「そうね、うん、いい案だ」



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