二話3
藤谷だって健全な男子、興味がないわけじゃない。だが、香里に対して何か弱味を持つのはとても気が引けた。
「まさかあれをフジフジが好きにしてると思うと………うう!」
なんで泣き出してるんだよ。好きにしてねぇよ。と突っ込みたかったが、男子の番が来てしまった為流れた。
「みーみんセクハラだねそれ」
それと言って私の胸を指差す篠山、
「うん、それはやりすぎだよ、同い年とは思えない」
と倉科も続く。
「あら、そうかな。倉科さんだって結構スタイル良いと思うけど」
「いやいや、少し嫌味に聞こえるよそれ。と言うか、それで落ちない藤宮君って何者? まさか………」
「いえそれはない。藤谷の部屋で確認したけど、結構普通よ、藤谷の趣味は」
すかさずフォローをいれておく。実際私も同じ心配をして部屋をあさってみたが、結構普通な方の趣味だと思う。
「んじゃフジちゃんはなんでみーみんに手を出さないんだろ? 今度体操服で迫ってみたら?」
「そうね、少し検討する必要があるわね」
「うわっ!」
なんか今もの凄く寒気がしたぞ。
予行と言うだけあってか、座ってるだけで思った他、体感時間は早かった。
これまた最近いつも通りなのだが、香里とスーパーに寄って夕飯の買い物をして帰路についていた。
「藤谷? 会長とは最近どうなの?」
「その質問、何回か受けてるが、何もないぞ。体育祭の力仕事を頼まれてるくらいだし」
一体何が聞きたいんだこいつは?
俺と会長、考えてみればいつからの付き合いだったかな。気付いたら色々頼まれるようになったな。今月に入ってから呼び出し多いし。
まぁ、任期ももうすぐ終りだし、張り切っているのだろう。
うちの学校は特殊で、年度の終りに役員を引き継ぐのではなく、夏休み前に役員選挙がある。普通ではないよな、これは、他をあまり体験してないから知らんが。
「そう、なら良かった…………」
香里は少し視線を外す、無意識なのだろうが最近ここらに来ると決まって一点に目が行っている。
香里の目線を追うと先には女の子にも人気の雑貨屋、その店頭にはエプロンが飾ってあった。
毎度ここを通る度にチラリと香里はエプロンを見ていた。可愛らしい女の子用のフリルの付いた水色のエプロン。
最近世話になってばっかりだし、あれぐらいならいいかもな。
そんなことを思いながら夕暮れを見上げた。