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一話1

「おはよう藤谷、朝が来たわ。貴方と私の新しい朝が! そう、二人のラブラブラブロマンスが始ま………」


「らねぇよ!」


…………現在状況確認、おーけー、整理、おっけぇ、報告。


朝、家、部屋、布団、そして今のは夢だ。


状況整理をした後に精神を落ち着かせ、とりあえず額の汗を腕で拭った。


「あら、おはよう藤谷」


「……………人が『ああ、悪夢を見て飛び起きると汗は大量にかいてるし、息もあがった状態で起きるんだ』って事を確認してる時になんで貴様はここにいる?」


そう、起きたらなんと制服姿、別に制服姿以外は見たことないが、香里美々その人がいた。


「うーん」


と態とらしく腕を組んで考える仕草を取る。


「簡単に説明すると、朝起きたら四時で、居てもたってもいられず藤谷に会いたい! 

 って気持ちが抑えきれなくなって、気付いたらスキップしながら藤谷の家の前まで来ていて、今か今かと藤谷が出てくるのを待ってたら突然黒猫が前を横切って『うわっ、なんか今日は悪いことあるのかな?』

 なんて考えてたらカラスが………」


「なげぇよ! 難しいよ! お前の気持ちの描写いらねぇよ! その年齢でスキップすんなよ! どうせ家の前にいたら俺の父親が出てきて中に入れたんだろ!?」


悪夢のせいで荒くなってた息を整えたのだが、また整えるはめになるとは、しかも同じ理由。


「正解、でも、私としてはこれが手に入ったのが凄く大きいかな」


香里は何か金属片らしきものを指で摘んでそれを揺らしている。


その金属片にとても見覚えがある。折角止まってきた汗がまた出てきた、言うまでもなく同じ理由だ。


「まさか………いや、それが何かは解ったが、お前、それ渡された時に何言われた?」


「簡単な推理よね。それに貴方はお父様をよく理解してるわ、うん素晴らしい。そう、私ね、お父様に『これから当分家を空けるから藤谷の事をよろしくたのむよ』って言われちゃった。きゃは」


両手を頬に当てて『はずかし~い~』とか言ってる人がいるんだが、俺は目の前が真っ暗になっていくためよく見えなくなっていた。


「まぁ、私も独り暮らしだし、食事は二人で取った方が手っ取り早いし、楽だし良いことづくめ。部屋も一つ空いてるから使っていいって言われた」


あっ、なんか更に危ないこと言ってる気がする。


でも、もう何も見えないし見たくないし、知ったこっちゃないや、あははは。

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