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異教徒、トルコ説話の一片 The Giaour, A Fragment of a Turkish Tale. (1813)  作者: バイロン卿ジョージ・ゴードン George Gordon, Lord Byron/萩原 學(訳)
ギリシャ
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4 奴隷の汚名

何をか語らん、そなたの海岸辿れる者とて?

今やなし、遠い昔を語り継げる者とて

また詩神空を翔けるに足るべきものとて。

高らかに、その姿在りし日のそなたそのままの、

お国の者が下にも置かれなんだ頃の。

What can he tell who tread thy shore?

No legend of thine olden time,

No theme on which the Muse might soar

High as thine own days of yore,

When man was worthy of thy clime.

山間(やまあい)の地に育まれし者から

火と燃える魂が継がれたなら

崇高な行いにも繋がったであろうに、

今や搖籃(ゆりかご)から墓へ這っていくばかりに。

The hearts within thy valleys

bred,

The fiery souls that might have led

Thy sons to deeds sublime,

Now crawl from cradle to the Grave,

奴隷だ...いや、奴隷の中の奴隷だな、

ただ罪を免れるだけの無感覚な。

人の汚点となるありとあらゆる悪に染まり切る、

人とは言わず獣にすら劣っている。

Slaves—nay, the bondsmen of a Slave,

And callous, save to crime.

Stained with each evil that pollutes

Mankind, where least above the brutes;

野蛮の徳にも恵まれない、

自由も勇敢な度胸もない、

ご近所の港に流れ着くのさえ

札付きの手練手管に古ぼけた船。

Without even savage virtue blest,

Without one free or valiant breast,

Still to the neighbouring ports they waft

Proverbial wiles, and ancient craft;

曰く言い難し、このギリシャ人と来ては、

今やこんな悪名ばかりを轟かすとは。

「自由」懇願も虚しいままに

魂は()(ひし)がれたままに

(くびき)負える首(もた)げるも(かな)わじ。

In this subtle Greek is found,

For this, and this alown, renowned.

In vain might Liberty invoke

The spirit to its bondage broke

Or raise the neck that courts the yoke:

その悲哀は最早、我が嘆くことでもない、

とはいえ(いた)ましい物語には違いない。

これを聞く人は疑うまでもない、

最初に聞きつけた者には心痛の種に違いない。

No more her sorrows I bewail,

Yet this will be a mournful tale,

And they who listen may believe,

Who heard it first had cause to grieve.

craft:「技能」「工芸」「悪だくみ」といった意味に使われる。航海に使う「船」「飛行機」を指すこともある。


Slaves—nay, the bondsmen of a Slave,原註[64]アテネは Kislar Aga(キスラル・アガシ)([kizlar-aghasî] 、セラリオの奴隷にして女性の世話人)の所有物であり、その男がウェイウォードを任命している。女衒と宦官(とは穏やかならざるも、ありのままの呼び方)なのだ、今、アテネの総督を治めているのは![ホブハウスの主張によると、ウェイウォード(またはヴァイヴォデス=スラブ語βοεβόδα;アテネのトルコ人総督)がトルコの高官に従属したことは、全体としてアテネ人の自由と幸福に貢献した(Travels in Albania, 1858, i. 246)。]

訳注:Waywodeとは、スラヴ・東欧で使われた称号 Voivode(ヴォイヴォダ) の綴り違い。地方領主、特にトランシルヴァニアの半独立的首長が冠した

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