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異教徒、トルコ説話の一片 The Giaour, A Fragment of a Turkish Tale. (1813)  作者: バイロン卿ジョージ・ゴードン George Gordon, Lord Byron/萩原 學(訳)
僧院にて
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40 懺悔「過ぎ去りし日々、穏やかな時間には、

「過ぎ去りし日々、穏やかな時間には、

  心と心悦ばしくも溶け合おう、

 花咲き乱れる生まれ故郷の谷の木陰に居たのは

  私の…ああ!今も居るのだろうか?友よ!

 'In earlier days, and calmer hours,

 When heart with heart delights to blend,

 Where bloom my native valley's bowers

 I had - Ah! have I now? - a friend!

 その彼に送られたし、この誓約を

  若かりし頃の誓いの記念に、

 思い出してくれ我が最期を

  私のように吸われた魂の許す限り

 思い馳せ給え遥かなる友情の絆を、

 堕ちた我が名も彼には親しく。

 To him this pledge I charge thee send,

 Memorial of a youthful vow;

 I would remind him of my end:

 Though souls absorbed like mine allow

 Brief thought to distant friendship's claim,

 Yet dear to him my blighted name.

 不思議な事に、彼は我が運命を予言した、

  それには笑った…その時は笑えたのだ。

 思慮分別の者が聞きつけたなら、

  警告したなら…何も気にしなかったか…その時には。

 'Tis strange - he prophesied my doom,

 And I have smiled - I then could smile -

 When prudence would his voice assume,

 And warn - I recked not what - the while:

 しかし今、囁きかける想い出

  前にはほとんど気付かなかった調子で。

 But now remembrance whispers o'er

 Those accents scarcely marked before.

 予言が本当になったとあっては、

  それが真か聞こうとするだろう、

 現実ではあるまいと願うだろう。

  頓着せず伝え給え、私のようには、

 Say - that his bodings came to pass,

 And he will start to hear their truth,

 And wish his words had not been sooth:

 Tell him, unheeding as I was,

 苦く忙しない光景も少なくはなかったが

  それも我等の輝かしき青春であったと、

 苦しみつつも、私のたどたどしい舌は

  死ぬ前に彼の思い出を祝福しようとしたと。

 Through many a busy bitter scene

 Of all our golden youth had been,

 In pain, my faltering tongue had tried

 To bless his memory ere I died;

 あるいは天は、怒りに顔も背けるならん、

  罪人がために罪なき者の祈るなら。

 あげつらうなとは求めまい、

  我が名傷つけるには彼優し、

  ただ私に関係あるのか名声?

 But Heaven in wrath would turn away,

 If guilt should for the guiltless pray.

 I do not ask him not to blame,

 Too gentle he to wound my name;

 And what have I to do with fame?

 嘆く事なかれとまでは求めまい、

  流石に冷た過ぎて軽蔑とも取れかねない。

 それに友情からの男らしい涙より

  兄弟の葬儀をよく飾る物など有り得ない。

 I do not ask him not to mourn,

 Such cold request might sound like scorn;

 And what than friendship's manly tear

 May better grace a brother's bier?

 でもこの指輪はお持ちあれ、昔から彼のもの

 して彼には告げ給え、何事も見たままを!

 But bear this ring, his own of old,

 And tell him - what thou dost behold!

 萎びた体、荒んだ心、

  情熱が残した傷跡、

 縮んだ巻物、散った葉っぱ、

  秋の松風に中って枯れた。

 The withered frame, the ruined mind,

 The wrack by passion left behind,

 A shrivelled scroll, a scattered leaf,

 Seared by the autumn blast of grief!

A shrivelled scroll:紙の巻物より巻き込んだ枯葉だろうけれど、取り敢えずそのまま。

the autumn blast of grief!:blastは「疾風」なのだが、訳語には「うら寂しい」感じを採った。

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