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異教徒、トルコ説話の一片 The Giaour, A Fragment of a Turkish Tale. (1813)  作者: バイロン卿ジョージ・ゴードン George Gordon, Lord Byron/萩原 學(訳)
ギリシャ
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3 すくえ残り火

忘れ得ぬ勇者の国よ!

その地、平野から山窩までも、

自由の家であり、栄光の墓であったものよ。

全能の神の祠が、有り得べきことか、

遺せるものがこれっぽっちとか?

Clime of the unforgotten brave!

Whose land from plain to mountain-cave

Was Freedom's home or Glory's grave!

Shrine of the mighty! can it be,

That this is all remains of thee?

失意体前屈の奴隷よ近づけ、おずorzとでも。

如何に、これぞテルモピレーに非ずや?

青々と取り囲めるこの外洋、

自由人の子孫よ、隷属せる者よ、

Approach, thou craven crouching slave:

Say, is this not Thermopylæ?

These waters blue that round you lave,—

Of servile offspring of the free—

聞かせよ、ここはどこの海、どこの岸か?

サラミスの湾、サラミスの岩ではないか。

これらの光景、その物語は今や知られざる。

立ち上がれ、再び掴み取れ。

Pronounce what sea, what shore is this?

The gulf, the rock of Salamis!

These scenes, their story yet unknown;

Arise, and make again your own;

すくえ、先祖代々の灰からも

かつての炎の残り火を。

また戦いにその身を捧げた者

敵にはその名の恐怖とならん

聞けば暴君も震え上がらん。

Snatch from the ashes of your Sires

The embers of their former fires;

And he who in the strife expires

Will add to theirs a name of fear

That Tyranny shall quake to hear,

息子たちに残すは希望と名声を、

彼らもまた選ぶは恥よりも死を。

自由の戦いひとたび始めたからには

受け継がれるは血塗れの父から息子に、

度重なる失敗もいつしか勝利の素に。

And leave his sons a hope, a fame,

They too will rather die than shame:

For Freedom's battle once begun,

Bequeathed by bleeding Sire to Son,

Though baffled oft is ever won.

証人となれ、汝ギリシャよ、活きたページよ!

数多ある不滅の時代を証言せよ!

諸王、埃にまみれ闇に隠れようと

名もないピラミッドを積んできたと。

Bear witness, Greece, thy living page!

Attest it many a deathless age!

While Kings, in dusty darkness hid,

Have left a namesless pyramid,

英雄たちよ、よくある破滅如きが

その墓を列びから押し流したところで、

より高き遺跡が堅く聳えるではないか

生まれ故郷の峨々たる山脈が!

Thy Heroes, though the general doom

Hath swept the column from their tomb,

A mightier monument command,

The mountains of thy native land!

汝の詩神、他所者にも指すではないか

死ねない者たちの休む墓!

伝えるには長く、辿るには悲しい事を、

汚名から恥辱への一歩一歩を。

There points thy Muse to stranger's eye

The graves of those that cannot die!

'T were long to tell, and sad to trace,

Each step from Spledour to Disgrace;

有無を言わさずという程の外敵もなし

汝の魂、それ自身が堕ちない限り。

自己放棄こそが道を空けてしまったのだ、

悪党による束縛と専制への道をだ。

Enough—no foreign foe could quell

Thy soul, till from itself it fell;

Yet! Self-abasement paved the way

To villain-bonds and despot sway.

Clime of the unforgotten brave! 原註[62]{91} [ここから段落の終わりまで、原稿は読み取りも難しくなるほど急いで書かれている。その素晴らしい迫力は、筆先も追いつかない勢いの想像力が各行に注ぎ込まれ、詩的感興の連鎖爆発と化したかのようだ。—(第2版で追加された行に対する1837版の注釈)]


Approach, thou craven crouching slave:原註[63][Compare—"Son of the Morning, rise! approach you here!" Childe Harold, Canto II. stanza iii. line 1.]

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