表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異教徒、トルコ説話の一片 The Giaour, A Fragment of a Turkish Tale. (1813)  作者: バイロン卿ジョージ・ゴードン George Gordon, Lord Byron/萩原 學(訳)
僧院にて
35/46

34

異教徒の事を歌うには違いないが、必ずしも本人の台詞のようでもなく、後にロバート・ブローニングが繁用した dramatic monologue を思わせる。

 孤独が悲しみに引き続くなら

 痛み止まるも気休めのうちか。

 荒漠たる胸の空虚を埋めるに

 激痛ですら無いよりマシか。

 If solitude succeed to grief,

 Release from pain is slight relief;

 The vacant bosom's wilderness

 Might thank the pang that made it less.

 何がなし、共にせざるは嫌われる

 至福の時すら取り残され臍を噛む。

 かくなる荒涼知れる心は

 遂に憎しみに飛びつくも容易く。

 We loathe what none are left to share:

 Even bliss - 'twere woe alone to bear;

 The heart once left thus desolate

 Must fly at last for ease - to hate.

 まるで死人が感じるかのようだ

 氷のような蛆虫覆い尽くすのを

 震えるはトカゲども忍び寄るに、

 腐りゆく眠りに乗るどんちゃん騒ぎに。

 追い払うだけの力もなく

 冷血の土喰らい如きをすら!

 It is as if the dead could feel

 The icy worm around them steal,

 And shudder, as the reptiles creep

 To revel o'er their rotting sleep,

 Without the power to scare away

 The cold consumers of their clay!

 まるで砂漠の鳥のよう、

 くちばしが胸の流れを放ち

 飢えた雛の叫びを鎮める。

 移された命なら嘆きもしないが、

 献身的な胸が張り裂けそうだ、

 皆飛び去り空っぽの巣に気づいた。

 It is as if the desert-bird,

 Whose beak unlocks her bosom's stream

 To still her famished nestlings' scream,

 Nor mourns a life to them transferred,

 Should rend her rash devoted breast,

 And find them flown her empty nest.

 裏切者への痛苦鋭き

 虚ろな空間への歓喜、

 緑なき心の砂漠、

 遣り場のない感情の浪費。

 見上げるだけの運命に誰が甘んじるだろう

 雲も太陽もない空ばかりを?

 The keenest pangs the wretched find

 Are rapture to the dreary void,

 The leafless desert of the mind,

 The waste of feelings unemployed.

 Who would be doomed to gaze upon

 A sky without a cloud or sun?

 大嵐の轟音すら遥か及ばぬ恐怖が

 その波瀾受けて無事にも済まぬが…

 風の戦いが済むや投げ出され

 孤独な難破船は幸運の岸辺に、

 Less hideous far the tempest's roar

 Than ne'er to brave the billows more -

 Thrown, when the war of winds is o'er,

 A lonely wreck on fortune's shore,

 不機嫌な凪と沈黙の湾の中で

 だらり腐り落ちるには目も当てられず

 衝撃の下に沈む方がまだマシだ

 岩上にぐずぐずと朽ち果てるよりは!

 'Mid sullen calm, and silent bay,

 Unseen to drop by dull decay; -

 Better to sink beneath the shock

 Than moulder piecemeal on the rock!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ