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異教徒、トルコ説話の一片 The Giaour, A Fragment of a Turkish Tale. (1813)  作者: バイロン卿ジョージ・ゴードン George Gordon, Lord Byron/萩原 學(訳)
僧院にて
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修道士が見た異教徒を語る段。彼からすると、断髪もしていない異教徒は浮いた存在。但しクルアーンで存在を許されていないのは多神教徒であり、ユダヤ人やキリスト教徒は敵とはされていない

浮衣(うきごろも)纏い付かせつつ、

 円柱並ぶ廻廊、掃くように進み。

 恐怖を感じ、憂いを感じつつ

 御殿を聖別する儀式に。

 'His floating robe around him folding,

 Slow sweeps he through the columned aisle;

 With dread beheld, with gloom beholding

 The rites that sanctify the pile.

 しかし聖歌に合唱揺れる頃、

 修道士たち跪く頃、歩み出る男。

 孤独に揺らめく松明に

 面影映えるは前庭に。

 全てが済むまで動こうとしない…

 祈りは聞くが、口は利かない。

 But when the anthem shakes the choir,

 And kneel the monks, his steps retire;

 By yonder lone and wavering torch

 His aspect glares within the porch;

 There will he pause till all is done -

 And hear the prayer, but utter none.

 見よ、ふわり照らさる壁横に

 頭巾撥ね遣り、黒髪が落ち、

 青い額にぐちゃぐしゃ渦巻き、

 さながらゴルゴン縛り置く

 蛇のお下げの細っこいのが

 恐い額にほつれたような。

 See - by the half-illumined wall

 His hood fly back, his dark hair fall,

 That pale brow wildly wreathing round,

 As if the Gorgon there had bound

 The sablest of the serpent-braid

 That o'er her fearful forehead strayed:

 修道院の誓いはお断りし

 頭髪もさもさ伸ばし放題

 なのに着るものそっくり我等の装い。

 信心ならぬ誇りのためか、

 聞けずじまい、城壁に富齎しながら

 聖なる誓いも言葉も一言ですら。

 For he declines the convent oath

 And leaves those locks unhallowed growth,

 But wears our garb in all beside;

 And, not from piety but pride,

 Gives wealth to walls that never heard

 Of his one holy vow nor word.

 よいかお前たち、いざ唱和するに

 轟かすは大いなる讃美を空に、

 その青黒い頬、石の空気、

 反抗と絶望の混ざりもの!

 Lo! - mark ye, as the harmony

 Peals louder praises to the sky,

 That livid cheek, that stony air

 Of mixed defiance and despair!

 聖フランシスよ、彼遠ざけ給え聖堂から!

 さもなくば恐るべき神の怒り

 恐ろしい印に現れかねぬから。

 もし、邪悪な使徒が人の形を取ったなら

 あの男の姿に違いない。

 贖罪への望み全てをかけて

 地にも天にも有り得ない!」

 Saint Francis, keep him from the shrine!

 Else may we dread the wrath divine

 Made manifest by awful sign.

 If ever evil angel bore

 The form of mortal, such he wore:

 By all my hope of sins forgiven,

 Such looks are not of earth nor heaven!'

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