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異教徒、トルコ説話の一片 The Giaour, A Fragment of a Turkish Tale. (1813)  作者: バイロン卿ジョージ・ゴードン George Gordon, Lord Byron/萩原 學(訳)
異教徒 vs 太守ハッサン
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場面は戻る

色黒ハッサン後宮飛び出す、

女の姿に目を止めもせず。

滅多にない追跡に時間はかけても

狩人と喜び分かち合うものでも。

Black Hassan from the harem flies,

Nor bends on woman's form his eyes;

The unwonted chase each hour employs,

Yet shares he not the hunter's joys.

ハッサンもそこまで放置はしなかった

宮殿にレイラが住んでいた頃は。

もうレイラはそこには住んでいない?

その事ならハッサン以外は話せやしない。

Not thus was Hassan wont to fly

When Leila dwelt in his Serai.

Doth Leila there no longer dwell?

That tale can only Hassan tell:


街に流れる奇妙な噂

その夜、女が逃げ出した

断食行(ラマダン)の終りの太陽沈んだら

ミナレットのおのおの閃いたら

何百万ものランプ告げ知らせる時に

砂糖祭り(シェケル・バイラム)東西あまねく始まる時に。

Strange rumours in our city say

Upon that eve she fled away

When Rhamazan's last sun was set,

And flashing from each minaret

Millions of lamps proclaimed the feast

Of Bairam through the boundless East.

女はその時、風呂へ行くふりをして、

ハッサンが怒りにまかせて探した先で

主人の苛立ちに眉を顰めた

ジョージア人小姓のふりをした。

モスリムの力をはるかに越えて

不信心な異教徒共々、主人を蔑ろにして。

‘Twas then she went as to the bath,

Which Hassan vainly searched in wrath;

For she was flown her master's rage

In likeness of a Georgian page,

And far beyond the Moslem's power

Had wronged him with the faithless Giaour.

ハッサンも思うところがなくもなかったが、

いとも優しげに、美しく見えたものなれば、

奴隷を信用しすぎていたというか

その裏切りは死に値するというか。

その夜はモスクに行っていた、

四阿にて祝宴を開いていた。

Somewhat of this had Hassan deemed;

But still so fond, so fair she seemed,

Too well he trusted to the slave

Whose treachery deserved a grave:

And on that eve had gone to mosque,

And thence to feast in his kiosk.

配下のヌビア人たちが語ったのはそんなところだが、

自分の預かりものをよく見ていなかった当の連中だ。

対して他の人々は、その夜に、

青白い月の震える光に、

漆黒の馬に乗った異教徒の姿は見えた、

見た限りただ一人で飛ばしていた、

血まみれの拍車で海岸を駆けていったと、

女官も小姓も連れてはいなかったと。

Such is the tale his Nubians tell,

Who did not watch their charge too well;

But others say, that on that night,

By pale Phingari's trembling light,

The Giaour upon his jet-black steed

Was seen, but seen alone to speed

With bloody spur along the shore,

Nor maid nor page behind him bore.

Leila:ヒロインの名、ここで初出。この名は『ヴァテック』に、『マジュヌーンとレイラ Megnoun and Leileh』引用として出てくる。

Serai:(トルコの)宮殿

minaret:回教寺院の尖塔。呼び掛け人がお祈りの時刻を報せる、今で言う放送設備。特に大規模なものとして、サーマッラーのマルウィヤ・ミナレットが有名。画像は Wikipedia から

挿絵(By みてみん)

なお、サーマッラーは『ヴァテック』の舞台でもある

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