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異教徒、トルコ説話の一片 The Giaour, A Fragment of a Turkish Tale. (1813)  作者: バイロン卿ジョージ・ゴードン George Gordon, Lord Byron/萩原 學(訳)
異教徒 vs 太守ハッサン
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場面は変わり、舟の主から

 人の来る足音は聞こえながら、

 挨拶の声は耳に届かないから。

 もっと…ターバン各々区別つくほど

 近くに、銀の鞘履くアタガンも。

 I hear the sound of coming feet,

 But not a voice mine ear to greet;

 More near - each turban I can scan,

 And silver-sheathed ataghan;

 その最前列に見えるは

 緑の衣纏える…君侯か。

「や!お主、何者?」 「この身を屈める額手(ぬかで)こそは、

 モスレム信徒にありますべき返礼なれば。」

 The foremost of the band is seen

 An Emir by his garb of green:

 ‘Ho! Who art thou?' - ‘This low salam

 Replies of Moslem faith I am.'

「はなはだ柔らかくお持ちになるお荷物、

 よくよく気を遣うものとお見受けする、

 何やらお大事の御進物遊ばすに違いなし、

 我が慎ましき小舟もて、喜びお待ち申しましょう。」

 ‘The burden ye so gently bear,

 Seems one that claims your utmost care,

 And, doubtless, holds some precious freight,

 My humble bark would gladly wait.'

「ウムよう言うた。汝が小舟解き放て。

 即ち音なき岸辺より我等送り出せ。

 イヤ、帆は畳んだままにして、

 四散せる櫂の手近を取り漕ぎ出せ。

 かの眠れる岩の中腹に

 水路の水も暗く深い。

 ‘Thou speakest sooth; thy skiff unmoor,

 And waft us from the silent shore;

 Nay, leave the sail still furled, and ply

 The nearest oar that's scattered by,

 And midway to those rocks where sleep

 The channeled waters dark and deep.

 さて休むがよい、 …かくも勇ましき業に。

 如何にも、恙無く速やかに来たり。

 これ然し、永きも長い船旅ならん、

 あれなるは……」

 Rest from your task - so - bravely done,

 Of course had been right swiftly run;

 Yet ‘tis the longest voyage, I trow,

 That one of - × × ×'

ataghan:または yataghan(ヤタガン)。反り逆反り即ちS字型の刃、耳付き柄を持つトルコの刀

garb of green:中世ヨーロッパに於ける緑は、道化・子供・恋人・勢子・回教徒くらいしか着ない、まともではない服装であったのに対し、イスラム教より古くからアラブに伝わる聖人ヒドゥルal-Khidr「緑の人」は常に緑衣を纏い、不死・永遠・再生の象徴とされた

salam:salaam(サラーム)綴り違い。回教徒の挨拶、額手(ぬかで)の礼

bark:3本マストの小帆船

skiff:小船全般

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