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あけぼの  作者: 仙人になりたい
囚われ人
4/11

4

今日は仕事がないらしい彼と、私の部屋で、揃って本を読む。


「どうしたの?さっきからよくそれに触っているけど。やっぱり邪魔だった?」

「いや、嬉しくて、触って確かめたくなるんだ」

「っ、そんなに喜んでもらえるなんて!僕の方が嬉しいよ!」


さっきから何度も触っていたのに気付かれてしまったようだ。苦笑しつつ、また触っていたピアスから手を離す。ちょうど集中が切れてしまったので、読んでいた本を閉じて立ち上がった。


「散歩に行ってくる」

「うん。いってらっしゃい」


散歩と言っても屋敷の中を歩くだけだが、これが意外と気分転換になった。歩きながら、久しぶりに、ここに来たばかりの頃を思い出す。今でこそ自由に動き回ることができるが、最初は、こうして屋敷内を歩くことすらままならなかった。禁止されていたのではなく、実際に体を動かすことが出来なかったのだ。

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