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「ごちそうさま。さて、贈り物を持って来るよ」
彼は食べ終わるとそう言って、食器を持って立ち上がる。
「きっと喜んでくれると思うんだ。少し待っててね」
頷いてから、窓の外に視線を移した。朝日が庭の木の葉っぱを照らして、キラキラと眩しい。その光にゆったりと目を細め、そのまま閉じた。
「おまたせ。見て!これだよ」
彼の声に振り返り、彼が得意げに見せたものを見て、一瞬顔が強張った。それをなんとか元に戻して、言った。
「どうしたの?それ」
「この間見つけたんだ。きっと君に似合うと思って。どうかな?」
「うん。そう、だね。気に入った。ありがとう」
「良かった!」
彼からの贈り物は、1組のピアスだった。疾うに閉じてしまった穴を開けてもらうと、受け取ったピアスのその表面を優しく撫で、ゆっくりと耳に付けた。