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第10話 内装イメージをデザインせよ!

【前回までのあらすじ】

成績優秀だが人見知りのミフネ、工務店の娘で運動神経抜群のフブキ、おとぼけだがデザインセンスが光る美術部のサユリ、三人の女子高生は、校内の倉庫小屋をカフェに改装しようとしていた。



 朝、サユリが自分で起きることは決してない。

「サーちゃん、もう遅刻よ。」

母親が何度も起こしに来るが、二度寝、三度寝は当たり前だ。

昨夜は、遅くまで起きていたため、特に寝起きが悪い。

ついには母親がベッドまでやってきて、サユリの体をゆすって起こすが、それでも起きない始末。

しかし、この母親、サユリがどんなに遅刻しようが、課題提出が滞って学校から連絡が入ろうが、叱ったり怒鳴ったりしたことは一度もない。

父親は厳格にして几帳面な性格で、娘の教育にも熱心だ。

それに反してこの母娘はとてつもなくのんびりした性格なのだ。


サユリの父親は、祖父から継いだ高松市内のカニ料理店のオーナーを務める。

その経営手腕の成果は目覚ましく、就任して十数年で他県に複数の支店を出すほどだ。

いつも忙しくあちこちの支店を飛び回り、自らも包丁を握り若手の育成にも尽力している。

そのため、家にいないこともしばしば。

今朝はそういう日なので、サユリは特にのんびりだらだらとしている。


「あ!課題の提出今日までやった~!」

「昨日の夜、遅くまで起きて頑張ってたんとちゃうの?」

「いや、あれカフェの構想をかいてたんよ~・・・。」

「カフェ?なにそれ?」

「なんでもないよ~。ママ、学校の課題やるけん、髪の毛やって~。」

サユリは食卓に着くと、左手で朝食のパンを持ってかじりつつ、右手にシャープペンを持って宿題をやり始めた。

母親はその背後に回り、娘の髪をといてリボンを結う。

父親に見られたら間違いなく怒鳴りつけられる見苦しい有様だ。


「もう、遅刻ぎりぎりだったよ~。」

昼休み、サユリは、倉庫小屋でミフネとフブキに会う約束をしていた。

先日の作業で、小屋の中はすっかりがらんどうだ。室内に唯一残した作業台をテーブルがわりにして三人は弁当を食べている。

「なんで、そんなに朝起きられんの?」

フブキが不思議そうに尋ねた。

「実はな~、カフェの構想を何パターンか考えとったら、夜中の3時になってもうて~。」

と、言いながらサユリは、カバンから顔を出しているスケッチブックを指さした。

「えー!見たい、見たい!」

ミフネは箸でつかんでいた卵焼きを持ったまま、身を乗り出した。

「ミフネ~、お行儀悪いで~。ちゃんと『ごちそうさま』してからにしよ~。」

優等生のミフネに小言を言うなんて、ちょっといい気分である。

しかし、同時にサユリは、今朝の自分の姿はミフネにも絶対見せられないと思った。


弁当箱を片付けた作業台の上に、サユリはおもむろにスケッチブックを広げた。

「これはアメリカン・スタイル。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に出てくるカフェ・エイティーズみたいなイメージやね~。」

サユリのスケッチブックには、白と黒のチェックの床に、カウンター席が並んで、壁にはエレキギターや星条旗、マイケル・ジャクソンのポスターなどが飾られている。

「うわー!かっこいいー!」

ミフネとフブキは目を丸くして歓声を上げる。

「これは、イタリアンスタイル~。カジュアルだけど落ち着いた雰囲気やで~。エスプレッソやカプチーノを提供できるとええね~。店内のBGMもアコーディオンでイタリアンな雰囲気出したいね~。

それでこっちはナチュラル・スタイル~。壁を白く塗って観葉植物なんか並べると自然の中でリラックスしているような雰囲気になるよ~。天井の梁からブランコ垂らしてメルヘンな感じにしてもいいね~。お客さんには豆を挽いてドリップする音と香りも楽しんでもらうんよ~。そんでもって、こっちが・・・。」

サユリがスケッチブックをめくるごとに、店内の内装デザイン画が次々と現れる。

「すごい!こんなにいっぱいかいたの?」

「急に具体的な完成形のイメージが見えてきたわ。サユリ、すごい!」

「どれかひとつに絞るのがもったいないね。」

ミフネとフブキは、スケッチブックのページを行ったり来たりめくりながら、興奮が収まらないといった様子だ。

挿絵(By みてみん)

「ねえフブキ、ところでこういうカフェづくりのための予算ってどうするの?こんな素敵なカフェにするには、道具や材料を揃えるのにもお金がかかりそうよ。」

ミフネが以前から気になっていたことをフブキに尋ねる。

「え~と・・・。」

フブキは目を斜め上に向けたまま表情が固まった。


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