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第3話 さすが神様!

長らくお待たせしました。

生きてます。|д゜)



異世界へ召喚されて二日目。

迎えが来るまでの間、私が過ごしてもらうと案内されたのは神殿みたいな大きな建物だった。

そこには自動人形オートマタと呼ばれるものが数多くいて、この建物の管理をしているのだそう。

神々に私の紹介と事情を説明してもらい、私のお世話を彼らに任命した。

神々は用事があるからとその場で別れて、自動人形に案内すると言われついてきたのは風呂。

というより豪華な大浴場。

戦場の砂ぼこりや血の匂いがついているかもしれないし、風呂は有難く使わせてもらおうとしたのだが、自動人形は出ていこうとはしなかった。


「あの、私風呂に入りたいのですが・・・」


「はい。隅々まで綺麗にします」


「一人で入れるので外で待機してもらえますか?」


「我々は貴方様の世話を任されました」


「それはつまり、どうあっても一人で風呂に入れないと?」


「はい」


「私の国では家族以外に肌を見せてはいけないという風習があるので」


「ここは貴方様の国ではありません。それと我々は自動人形です。ヒューマンではありません」


これもダメか!正論を述べやがって!


「ご安心を。風呂で隅々まで綺麗にした後、全身脱毛、全身エステ等の美容フルコースをご用意させております。カラカラに乾いたミイラから瑞々しく潤いに満ちた生者へと生まれ変わります」


私は死にかけって言いたいのですね。

確かに死にかけましたけど。


「お覚悟!」


「ここ戦場じゃなーーーーい!!」


自動人形、容赦なし。






全身美容フルコースは自動人形の言う通り、自分でも体験したことがないほどツルツルすべすべマシュマロ肌へと生まれ変わった。

対価として私の中の大事な何かが失った。

赤子でもないのに他の誰かに裸を見られ触られるのは酷く恥ずかしかった。

手入れ、繁忙期に入ってからサボっていたから・・・・・・。

今度からきちんと最低限の手入れはしておこうと心に決めた。

それはそうと、風呂のことでさっぱり頭から抜け落ちていたが、私着替え持ってなかった。

着ていた服と下着は洗濯するとかで別の自動人形が持って行ってしまった。

髪を乾かした後(短いからすぐ乾く)も未だバスタオルを巻いたまま。

まさかこのまま過ごせっていうんじゃ・・・と思っていたら突然大きな音を立てて扉が開いて、二人の女神が大量の布を持って来た。

足で開けたように見えたのはきっと気のせいだ。


「お待たせ!桃華ちゃんの着替えを持ってきたわ。私たちのお下がりみたいで悪いけど今はこれで我慢してちょうだい」


「神様の服を人間の私が?!」


「じゃあバスタオルか裸で過ごすの?大胆ねぇ」


「喜んで着させていただきます!」


とはいえ、やはり抵抗というものはある。

下着はブラジャーとショーツ。

これは普段見慣れているものだから良し……と言いたいが、中身は派手なもの、スケスケ、如何にも高級そうなもの、紐、貝、レースやフリルたっぷりなものばかり。

もちろんこれらは除外し、無難なものを選んで着てみた。

大きくてサイズが合わなかった。

というか着られなかった。


「ブカブカね」


「下着は一から作るしかないわね。桃華ちゃんはそれが好みなの?」


「はい。無難かつ派手ではなく動きに支障がないので」


「わかったわ。もっと可愛いものをいっぱい作ってきてあげる!」


「ベビードールもいいわね」


「却下です」


「じゃあこれらは全部しまって、次は服よ」


「下着、ちゃんと私の希望通りでお願いします」


「え~可愛いのに……」


「女の子なんだからもっとお洒落を楽しむべきよ」


「私の希望通りでお願いします」


「分かったわ!ちゃんと希望通りにするから!」


「お願いします」


はぁ……。

下着が出来るまでノーブラノーパンか……落ち着かない。


「そもそもなんでこんなに下着が多いんですか?どれもまだ着られそうなものばかりでしたけど」


「ああ、それね。ブラが小さくなっちゃって着られなくなっちゃったの」


「ショーツは問題ないんだけどね」


チッ!

峰不二子みたいなスタイルをしていて、まだ乳がデカくなるのか。

解せぬ。

多少気を紛らわそうと服を見るが、女神様の着ている服はギリシャ神話の女神が着ているものとデザインが似ているため、持ってきてくれた服はやはりというか、まあ、その通りだったんだけど。

着方も分からないので、着させてもらったんだけど……。


「似合わないわね」


「子供みたい」


背が高くメリハリボディ美女の着る服は私にはブカブカだった。

確かにこれでは子供が大人の服を着たようにしか見えない。


「仕方ないわ。今は応急処置だけして後日きちんとしたものを作りましょう」


「そうね。桃華ちゃん、腕を真横に伸ばして動かないでね。すぐに済むわ」


「こうですか?」


「ええ。そのままよ。―――えいっ!」


ナーラがベルトみたいな布と針に糸を通したものを両手に持つと、一瞬姿を消し、また一瞬で姿を現した。

えいっ!の2~3秒後にふわりと風を感じた。

今何が起きたの?


「出来たわ。もういいわよ」


「?」


「マシにはなったけど、やっぱりこのデザインは桃華ちゃんにはものすごく似合わないわね」


「??」


「でもすごく楽しいわ。娘がいたらこんな風に可愛い服を作って着せたりしてみたかったの」


「私もワクワクしてきたわ。ちゃあんと似合う服を作ってきてあげる。自動人形たち、あとよろしく」


「「「「「はい」」」」」


「???」


何一つ分からないまま、女神様方は持ってきた服を全て持って出て行ってしまった。

だから本当に、一体、何が、起きたの?

だれかこの状況を説明してください!


「桃華様、こちらの鏡をご覧ください」


自動人形が私の前に姿鏡を置いた。

そこに映る私は、なんということでしょう。

鏡を見なくても分かるくらいぶかぶかだった服がちょどいいサイズになり、服の形はそのままでデザインが少し可愛らしいというか柔らかい感じになっているではありませんか。

でもやっぱりギリシャ神話の神々が着ているようなデザインは、お洒落に全く興味がない私でも分かる。

全然似合わない。

よく服が歩いているようにしか見えないとか、服に着させてもらっているって聞くけど、こういうことなのだろう。

しかし文句は言うまい。

保護してもらい、ここまでよくしてもらっているのだ。

これ以上文句を言えば・・・いや、庶民の日本人には言えない。

ぶかぶかだった服を一瞬で、ぴったりにしてもらったのはすごく驚いたけど。


「あれが本当の神業」


その後、疲れているだろうからと気を遣った自動人形が寝室のある部屋へと案内してくれたのだが、広いこと広いこと。

迷子になると確信した。

しかも外観もそうだったけど、内装も豪華絢爛。

遠くから見るだけでいいものを、突然こんな間近にあるとものすごく落ち着かない。

お願いです、心の平安をください。


「こちらです」


自動人形が扉を開けると廊下とは違い、少し落ち着いた豪華さで色合いも落ち着いていてとても可愛らしかった。

中に入り、部屋を見回していると自動人形がまた別の扉を開けた。

ついていくとそこは寝室ではなく、別の部屋だった。

寝室じゃないんかい。

その部屋についている扉を開けると、目の前に一番大きな物体が鎮座していた。

暗くてよく見えないから何だろうと思ったら、自動人形が明かりをつけ、その正体が分かった。



ベッドだった。

とてつもなく大きな天蓋つきベッドだった。



このベッドも部屋の内装と合わせた可愛らしいベッドだ。

問題はその大きさ。

憧れはあった。

天蓋付きのダブルベッドかクイーンサイズのベッドでひたすらゴロゴロぐーたらする。

けれどこれはそれを遥かに上回る代物だ。

キングサイズ・・・ワイドキング?

しかも万が一落ちた時のためか、ふかふかの絨毯とクッションや枕がベッドの周りを囲っていた。

あの大きさで落ちることはないだろうが、まああったほうが安心っちゃあ安心だね。

近づいてみると、思ったほどベッドが高くて踏み台が欲しいと思った。


「こちらのベッドは高さ調節ができる仕様になっております」


「そんなベッド初めて知りました」


「背が高い方も低い方も快適に過ごせるようにと、神々が配慮した結果です」


「なるほど」


その配慮に感謝します。


「こちらがその調節器になります。もしも高さを調節したい場合にお使いください。上にあげると高くなり、下におろすと低くなります。止めたい場合は真ん中に動かせば停止します」


自動人形がベッドのすぐ横の天蓋カーテンに隠されたレバーを下におろすと、ベッドが静かに下がっていく。

しかもベッドだけでなく天蓋の高さも低くなっていた。

洗濯するときに便利だな。

ちなみに、最初の高さが中間で、一番低いのは敷布団を5枚ほど重ねた高さになり、一番高いのは天蓋が天井に接触する高さになるらしい。

誰が使うんだそんな高さ。


「そのレバーはそのためだったんですね。てっきり秘密の通路が現れるのかと思っていました」


「秘密の通路はありませんが、秘密の近道ならあります」


意味は同じだよね。

なんて突っ込んではいけません。


「後で詳しく」


「了解しました。後日お教えします」


「ありがとうございます」


ふふふ、楽しみだな。

やがてベッドがちょうどいい高さになり固定。


「どうぞ」


「ありがとうございます」


憧れの天蓋付きの広いベッドに気分が上がる。

早速ベッドに乗り中央まで移動し掛け布団をどけて寝転がる。

乗ったときの柔らかさの反して、すごく寝心地がよかった。

枕もちょうどよく、シーツや布団の肌触りもいい。

何これ最高かよ!


「それだけではありません。枕の上にいくつか紐がありますので、どれか引っ張ってみてください」


「これですか?」


寝転がったままでも届く紐が天井から垂れ下がっており、その紐の先端には星、波、泡、太陽、月がついている。

取り合えず無難な星を引っ張ってみる。

するとどうだろう。

突然部屋が薄暗くなり、天井が若干明るい。


「わあ!」


天蓋も含めた天井いっぱいに満点の星空が広がっていた。


「プラネタリウムです」


「すごいです!」


テンションが上がった。

次は波を引っ張る。

するとプラネタリウムが消えてオーロラが現れた。


「わお!」


ならばこれはどうだ!

太陽を引っ張る。


「あれ?」


オーロラは消え、代わりに部屋が明るくなった。


「ん?」


「そちらは照明になっております。明るさも調節できるようになってます」


ああ、よくある引っ張るタイプの照明器具か。

じゃあ月は?


「そちらは部屋を暗くするためのものです。もちろん、暗さの調節もできます」


へぇそうなんだ。

普通すぎてテンションが下がった。

最後の泡を引っ張る。


「水面?」


「海です。それは海中を表現しているのです」


「へぇ」


真っ青の海の中、上から太陽の光が差し込み、下から泡が浮いていく。

寝室のはずなのに、別世界にいるかのように錯覚させる。

シンプルだけど、どこか幻想的に見える。


「それだけではありません。二つ組み合わせることもできます。試しに星と海を同時に引いてください」


「同時?……わっ!」


言われた通り星と海を同時に引っ張ると、ぱっと一瞬で変わり、上はプラネタリウム、下はプラネタリウムが映る海となった。

星空が映るウユニ塩湖みたい。

テンションが再び上がった。

テンションが上がりすぎてハイテンション!

しかしこのままでは眠れなくなる。

取り合えず部屋は薄暗く、プラネタリウムのみにして、もう寝ると自動人形に告げる。


「では、おやすみなさい」


「おやすみなさい」


自動人形は静かに扉を閉めて部屋から出ていった。

色々とありすぎたせいか、興奮して寝られないんじゃないかと思っていたが杞憂でした。







その頃女神様方は、私がベッドや照明にハイテンションになっている間、ひたすら服を制作していたという。



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