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黒き百合のリリーダイヤ  作者: 山平学美
本編
1/10

前編

シリアスな悪役令嬢ものです。

何かあれば、感想の方に。

美しい舞踏会、そこでは王立の学園の卒業記念のダンスパーティーが行われていた。


「リリーマリア・ド・フォンティーヌ公爵令嬢!

本日この場を持って、貴様との婚約を破棄する!

また、エリーゼ・マシュー伯爵令嬢に対する殺人未遂で捕らえさせてもらおう!!」


祝いの場に相応しくない怒声が上がる。

黄色味が強い金髪に蒼眼の白い礼服姿の美青年が、怒りを込めた瞳で叫んでいた。

その青年の隣には、淡い茶髪に空色の目に、濃いピンク色のドレスを着た美少女が体を寄せていた。


その二人の後ろには数人の見目麗しい青年達が、少女を守るナイトかのように立っていた。


そして、その者たちに相対するかのように立つは。

淡い金髪に瞳、そして喪服を想像させる、真っ黒な生地に真っ黒な百合を飾った華麗なドレスを着飾った美少女、リリーマリアと呼ばれていた者である。

その黒百合の少女は、彼らを見ると、ニタリと、不気味に微笑んだ。







あぁ、長かった。

ついにこの場まで誘導することができた。

ようやく私が、私として復讐する時が。






「御機嫌よう、ミッシェル第一王子。

そして、皆さまはじめまして。

私は、リリーダイヤ・ド・ホープニア。

隣国であるホープニア王国の大公夫人。

そして、






貴方によって殺されたリリーマリアの妹ですわ」





時は3年前に遡る。


私はリリーダイヤ・ド・フォンティーヌ。

フォンティーヌ公爵の次女、白銀の髪と瞳を持ち、幼い頃よりホープニア大公様と婚約しておりました。

大公様は、私よりも10歳も上で婚約当初はまだ第一王子でした。

大公様は魔法の才があり、同じく魔力を大量に持ち体調を崩しやすかった私を大事にしてくださいました。


そんな私には一つ上の姉がいました。

名は、リリーマリア・ド・フォンティーヌ。

金色の髪に瞳という色以外、私と瓜二つの努力家で優しく気高い、尊敬する大事な大事な姉。

幼い頃は体が弱く良く寝込んだ私を、気遣いよくお話や勉強を教えてくれました。

時にはこっそり、お菓子を持ってきて二人でベッドで食べてメイド長から怒られもしました。


姉様は、この国の第一王子であるミッシェル・アンリ・アンジュワ殿下と婚約しておりました。


第一王子は、国王陛下と王妃との間に生まれ、大変甘やかされていたみたいで、礼儀も頭も足りない方でした。

在ろう事か、初対面の姉様に、紅茶をかけようとし、危うく火傷を負うところだったそうです。

そんな、王子を私は一瞬で大嫌いになりました。


時が経つにつれ、姉様は美しく聡明になっていき、誰もが姉様を尊敬し憧れました。


しかし、王子は、自身よりも優れている姉様を疎ましく思っていたのでしょう。


姉が13歳になると、王立の学園に入学されました。

第一王子も姉様と同じ歳だったので、ともに学友となったのですが。

その時からでしょう、運命が回りはじめたのは。


エリーゼ・マシュー伯爵令嬢。

明るいブラウンの髪に空色の目が愛らしい方。

庇護欲をくすぐる彼女の性格は、殿方の受けが良いのでしょう。彼女の周りには見目麗しい殿方がたくさんおりました、全く穢らわしい。

第一王子も、彼女の虜になった一人です。


第一王子は思ったのでしょうね、姉様が邪魔だと。

それからの王子の姉様に対する接し方は、はっきり言って酷いものでした。

次第に暴言・暴力を振るわれるようになり、ありもしない醜聞を広められました。

もちろん、多くの方々はその醜聞を信じませんでしたが、エリーゼ伯爵令嬢の虜となった殿方は真に受け姉様を攻め立てていきました。


姉様は、日に日にやつれていき、両親と私はもう王子の暴挙に耐えきれず、国王陛下に訴えました。

国王陛下はことの重大さを分かっていないのか、厳重に忠告すると言っただけでした。

この時点で私達家族は、この国を捨てようと思ったほどでした。


それから2年、現状は悪化も改善もしないまま、ただただ何も変わらずに過ぎていきました。


そして、姉様が15歳、私が14歳になった年。

私は大公夫人になりました。

学校には行かずに実家で優秀な家庭教師をつけ学び、少しずつ体が良くなっていった私は、旦那様に伴って魔法の研究や大公の仕事を学んでいました。


久々に実家に戻り、旦那様と家族と共に王宮に行った姉様を待っていた時でした。

姉様が、ボロボロで帰ってきたのです。

その横には、満身創痍の侍女が倒れ込んでいました。

侍女はすでに息が無く、どうやら彼女は、姉様以上に怪我を負ってなお姉様を庇いながら逃げてきたというのです。

王宮での王妃殿下とのお茶会に行っただけなのです。

なぜ、なぜ、なぜ、なぜ?

姉様の金色の髪に似合うだろうと、旦那様と共に選んだ淡いピンク色のドレスは泥や血で汚れ、所々、破れていました。


すぐに、姉様をベッドへ寝かせ、医者を呼ぶまでの間、私が魔法で治療していました。


息も絶え絶えな姉様は、私の手を握り、話しはじめました。




「王妃殿下とのお茶会の後、帰ろうと歩いていたら急に殴られたの。

気がついたら、侍女のミーシャと地下牢にいたの。

目の前には、ミッシェル殿下とマシュー伯爵令嬢、ブライト辺境伯令息、財務大臣の嫡子、アヌー商会子息、王国魔法研究所副所長のアリトリウス様……皆さまが、牢の中に入って来て。

エリーゼに暴漢を襲わせたのは貴様だろうと、暴行されて、なんのことか、わからなく、て。

否定すればするほど、殴られて、それで、そしたら、殿下が、小瓶を、私に飲ませ、て……。

お前は、これから、私を殺害しよ、う、とし、て、国を、手に、入れ、叛逆、ざぃ、に、って。

それで、少し、居なくなって、あなた、が、くれた、てんぃようの、まぐで。

ダイヤ……ごめんなさい、ね。

せっかく、プレ、ゼント、して、くれた、のに。

ダイヤ、大好き、おとうさまも、おかあさまも、大好きよ……」




間に合いませんでした。

姉様は、死んでしまいました。

医者を連れてきた両親は、放心している私を見て状況を理解したのでしょう。

泣き叫びながら、姉様に呼びかけ続けました。

でも、姉様は、二度と目を覚ますことはありませんでした。

あぁ、姉様、姉様、姉様、姉様、姉様!!!!!!













その瞬間に、私は復讐を誓ったのです。


中編でいよいよ復讐が開始されます。

おそらく、中編はそこまで残酷な表現は出ないと思いますが、苦手な方はご注意を。


後編・おまけの方が残酷な表現が多くなる予定です。

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