07.無意識からの起床_7日目
前回のまとめ
1.無気力になる
「うーん・・・」
微睡んでいると、
『がああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
「きゃああああああああああああああああああ!!!」
右耳から女性の絶叫が間近で聞こえ、甲高い絶叫をした。
「やぁぁぁぁ・・・。むりむりむりムリムリムリィ-・・」
頭から布団を被り、両耳を抑えてブルブル震える。
『さっさと起きろ。マザコンやろぉー』
頭の中から声が聞こえる。
「・・・・・・・」
『ッチ。・・・・。ああああああああああァァァァァァァッッッッッ!!』
「やぁぁぁぁァァァァァァァァッッッッ!!!」
・・・・・・・・・・・・
のっそり起きた。
「うぅ…。ひっどい絶叫を聞いた…」
両耳に指を突っ込みながら立ち上がる。
『やっと起きたね、のろま』
「この声ぇ、・・・・、レイ?」
『そうよ。自称天才さん?』
この毒舌、間違いないな。レイだ。
「なんで声聞こえるの?意味わかんねぇ」
『一度目で私の人格を作ってボッチを誤魔化してたんだ。二度目のあんたも同じことしてたんでしょ』
あんたの得意な妄想と空想よ?と、付け足した。
確かに僕は妄想と空想は得意で、レイという人格を作った。ボッチを紛らわすために。
「いいじゃん!頭の中で作ったんだから!声だけロイドじゃないんだから!趣味は人それぞれでたのしみかたがちがうんだし!」
『誰に言い訳してんのよ。ほんとに頭イかれた?』
はぁ…、めんど。とレイは零した。
『じゃ、さっさと支度しろ。今日から学校よ』
「は?まだ夏休みじゃないの?」
『あぁ…。三日間の記憶ないのね。携帯電話で日付見なさい?9月1日よ?』
たのしそうな声に聞こえた。携帯電話を開く。
[ 09/01 07:32:21 ]
「ほんとやんけーーーーー!」
『あっはははっははははははは!ひっひっひ・・・・!』
(どうしよう、どうしよう!なんも用意してねぇ!!)
制服とか、教科書とか、夏休みの宿題とか!
『ひっひ・・・・。なんで宿題あると思い込んでんの?』
「うるせぇ!早く支度しないと!」
タンスを開いては洋服をぶちまけて探す。
『はぁ、はぁ・・・・・。ふぅ…、良いもん見たわぁ。あ~、いい気分』
リュックに筆箱、教科書を放り込む。
(どうしようどうしようどうしよう!間に合うか!?)
『制服は母親の部屋、ハンガーラックに掛けてあるわ。あと夏休みの宿題は無いわ』
えっ!?と考える。
「なんで母さんの部屋?それに宿題がない?」
『母親が暇つぶしで制服着てたのよ。それであんたに返さずハンガーラックに掛けたままよ』
えー…。まぁ、あるかも…。と思い直した。着た理由は考えない。
「でも、宿題が無いってのは?普通あるでしょ?」
『それも忘れたのね…。あんたの通っている学校が先進校なのよ。だから夏休み定番の宿題は免除』
ただし、すぐに抜き打ちテストがあるけど。と続けた。
(そういえばそうだっ『あんた言われないと思い出せないの?まだポンコツね』)
「考えていたところまで割り込まれてる…」
制服一式を母親の部屋から探し出し、全て揃っているかチェック。
(うし、揃ってる。洗剤の香りもある。アラワレテル)
風呂に入って寝汗を流し、制服に着替える。
リビングでパンを二枚、バターを塗って焼いて電子レンジで焼く。
その間に持ち物を確認。
(携帯電話、ハンカチ、警棒。リュックには筆箱、ノート、小説。そして黒サイコロ)
かなり前に雑貨屋で見つけた黒サイコロ。100円とお買い得だっけ。と思い出す。
今はお守り替わりで持ち歩いている。登校日だけだが。それを胸ポケットに入れる。
焼いたパンを二枚食べ、スニーカーを履き、学校へ向かう。
まとめ
1.人格を作る妄想遊びが祟り、人格『レイ』が誕生
2.いつの間にか登校日だった。
多分、みんなついてこれないと思う…。(人格を作る遊びって…)