05.クラスメイトを考えよう_2日目
前回のまとめ
1.母親に色々な事情を説明した。
3時間30分に及ぶ母さんの説明をして、カップラーメンを食べた後、部屋に戻った。
(じゃ、宝探しをするかな)
宝とは無論、クラスの集合写真である。
部屋の中をぐるりと見回す。
(うーん、渡されても一度も見ないし、本棚かベッドの下に放置かな?)
ちなみに、一度目の世界でも集合写真を全く見ていなかったりする。
勉強机に置いてあった懐中電灯を手に取り、姿勢を低くし照らしてみる。
(あれ?無いな。普通は男子学生特有の本が隠していたりするんだけど。どころか埃すらない)
あまり性欲はないのかな?と他人ごとのように考えた。
次は本棚の最上段を見てみる。
(あのゲーム、このゲーム、そのゲーム、って全部攻略本じゃないか!)
段数は全部で六段、少し離れてみてみると、上半分はゲーム攻略本、下半分は教科書だらけだった。
(はぁ…。一段ずつ確認していくか…)
20分経って、最上段から三段目まで確認したが、それっぽいものが紛れ込んでなかった。
じゃあ、残り下三段(勉強ゾーン)を見るか…。と腰を屈んだ。
10分後。
(ぜ、全然ない…。もしかして、処分した?)
本当にそれらしいものが無い。それどころかところどころ漫画が混じってる。
諦めて漫画読もうかな…?と本棚の左側に座った。
ボーッとし、本棚と壁の隙間を見続ける。隙間に入ってないかな~と、まじまじと見た。
(あーー、やっぱぁ、なぁ・・・、あった)
諦めながらも下を見ると、とても薄い紺色の冊子を見つけた。
なんでこんなところに?と思いながらも手に取り、開いた。
(なんでこんなところに?まあいいや、どんn、・・・・・・・・・・・・・・)
写真を見て押し黙り、冊子を閉じて本棚の後ろに戻した。
(・・・・・・・・・・・・。これはないなぁ)
クラスメイト全員の顔があった。全部あった。黒く塗りつぶされていた。
全員の顔を真っ黒に。おそらく油性ペン。
(・・・・。過去は暗いなぁ。過去が見たくないからここに隠した。なら、隠したい闇は深く見ない)
見せたくないのなら見ないでいい。すぐに思い出すなら忘れればいい。
一度目の世界では、唯一の特技だ。
(・・・・・。記憶に頼ろう。がんばれ僕。二十人全員を思い出せ)
本棚の左に座り、目を瞑る。
・・・・・・・・・・・・
ブーーーーーーー!ブーーーーーーー!ブーーーーーーー!
ん…。と目を擦って周りを見た。部屋は暗い。いつの間に眠っていたのか、夜になっていた。
そしてこの音は携帯電話のバイブレーションが鳴っていた。
勉強机の上に置いていた携帯電話を手に取り、画面を見る。
(登録されていない電話番号…。おかしいな、母さん以外に電話番号を言っていないのに)
画面には電話番号が表示されていたが見覚えがない。
とりあえず電話を出てみることに。
「もしもし…」
「もしもし!古戸英子さんのお子さんですが!?」
かなり急いでいるらしい。流されやすい僕は、
「え、あっ、はっ、はい。」と急いで返事した。
「そうですか!?今、あなたのお母さまが大変なんです!病院に来てください!」
「今すぐ行きます!」
電話を切り、部屋から、家から飛び出す。
この街に病院は一つしかない。
2時間後、部屋に戻った。
病院で診察中の母さんは倒れたそうだ。
集中治療室に運ばれ、様子を見ているが起きる気配が無いらしい。
ガラス越しにみた母親の顔は、無表情に目を閉じて眠っていた。
(・・・・・・。ありえねぇだろ。こんな間の悪い出来事なんて。漫画じゃないし)
心の闇を垣間見て、いつの間にか眠っていればたった一人の身内が倒れるなんて。
ほんとに間が悪い。魔が悪い?うまくねぇわ!
(・・・・本当にうまくない。)
ベッドに転がり、眼を瞑り、ガラス越しに見た起きないであろう母親の姿を映し、意識を手放した。
二日目終了。
お読みいただき、ありがry)誰も読まないからいらないよね?
1.集合写真にて心の闇を垣間見た。
2.母親が倒れ入院。




