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異世界旅行 ー46歳悪ガキの異世界悪戯旅行?ー  作者: 戸口 央田
第2章:異世界生活は出来るのか
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09_草原を練り歩こう

かなり遅くなりました。

車のことやらネット環境、会社のことやらで忙しく立て込んでました。

 微睡んでいると、パァン!と左ほおに鈍い痛みが走った。レイが馬乗りされた状態でビンタされて起こされたらしい。吃驚(びっくり)したし、左ほおに痛みが浸透するような感覚で相当痛い。

「いったぁ!?なんでビンタするの!?」

「揺すっても起きないあんたにイラついたの」

と言われた。理不尽なり。

 そのあと、眠っている間にレイが受付(昨日の女の子?)から水の入ったかごと布を準備してくれていて、僕の身体を布で垢を取ってくれた。


「あんたの袖、余ってる所を紐上で少しだけ切らせてくれない?」

「良いけどなんで?」

「その髪、長すぎて鬱陶しくないかと思って。女性でも普通に束ねるわよ」

 シールドで鋏の刃上に模して創り出し、刃を研ぐように角を三角上にしていく。その間に前髪を見たり首を振ってみると、確かに肩や首に髪が引っかかったり汗で引っ付いたりすると鬱陶しい。

「ほんとに鬱陶しいね…。でも束ねてくれるの?」

「見ているだけで暑苦しく感じるのよ。私が束ねるから前を向いて」

 レイが袖を持って鋏もどきで千切れないよう慎重に切っていき紐にする。僕は前を向いてレイに髪を束ねてもらった。

「これで少しは涼しくなったんじゃない?」

 前髪とサイドは下ろし後頭部に髪を集めて束ねてくれた。耳も髪から出ているし心なしか聞きやすくなった。

「ん、ありがと」

「じゃ、今日も生きるわよ」

 背中を軽く叩かれる。…うん、やる気出てきた。

「今日も頑張ろうか!」


・・・・・・・・・・


 出かける前にレイが持ってきた桶と布を受付いかついおじさんだったに返却し、冒険者ギルドへ向かう。冒険者たちが利用するお店ってあるか聞いてみたけど知らないの一点張りだった。あまり宿泊者とつるみたくないようだった。

 冒険者ギルドに向かっている間に大通りを歩いてきたが、昨日と同じように露店を開いていてお客を呼び込んでいる。個人経営の店だと露店を開くところから始めないといけないのかな。

「冒険者ギルドの道ってこっちで合ってたっけ?」

思い返せば冒険者ギルドの道順を覚えていない。大丈夫かな?

「合っているわよ。あたしが『妄想』でマッピングしていたからね。次はあんたもやって」

うぅ、今後気を付けます。

頭にマッピングされた地図がじわじわと思い出してきた。まさか思い描いたものを共有できるの?これ。

「そうよ。だからこれ以降はあんたがマッピングしなさい」

「はーい…」

 僕は周りをきょろきょろと頭を回しながら歩いた。


 冒険者ギルドに着いた。まだお昼前だからか中には人が多く、食事や談笑していた。僕らはとりあえず受付に行き、依頼について聞いてみることにした。壁に木製のボードが設置されているけどなんのボードなのかよく分からないし。

「ねぇ、ちょっといいかしら。依頼について聞きたいことがあるんだけど」

「はい、何ですか?」

比較的、と言うか全く並んでいない受付嬢にレイが聞いた。

「依頼の種類が分からないけど教えてもらえないかしら?」

「あなた方のランク何ですか?」

「ランクDですけど…」

受付嬢はあからさまに嫌な顔して溜息を吐いた。新人が嫌いなのか…。

「ハァ…。依頼は討伐依頼と採取依頼の二種類があります。討伐依頼はある地域に出没している魔物を討伐する依頼で、討伐した証として魔物の討伐部位を持ってきて頂きます。採取依頼は指定された素材を冒険者ギルドへ納品して頂きます」


「ねぇ、質問いい?」

 気になったことを聞こうと思う。

「ギルドが取り決めたことですが、不服ですか?」

「いや、そう言うんじゃないんですけど…」

「じゃ、ルール通りに動いてください。新人が悪用してはいけませんよ」

 …新人は質問してはいけないの?それともルールを逆手にとって悪用させないために質問を受け付けないの?理不尽だ!

「ランクDの討伐依頼か採取依頼はあるの?あったら受注したいのだけれど」

「ランクDの依頼はありませんね。素材を売却していくしかないです」

 ランクDってそんなに仕事無いの…。

「あと、安い所でもいいから冒険者関連の道具を売ってるお店を教えてもらいたいんだけど」

「それは上位ランクの冒険者にお聞きください」

 宿屋のおじさんに続いて道具を取り扱う場所を聞いてみたが駄目だった。と言うよりも質問を受け付けてくれなかった。受付の仕事しているのに…。

「そう、分かったわ。ロウ行くわよ」

「そうだね、行こうか」

 これ以上聞いてもまともに応えてくれないだろうし、僕らは受付を後にした。


・・・・・・・・・・


 城門を抜けてレイに背中で背負わされた状態で草原を走り、城門からある程度離れた場所に出た。遠くに僕らが出てきた城門が見えるけどだいぶ離れている。

「さて、何しよう?」

「まず腕の状態を診てみようかしら。壊死していたら最悪だしね」

 …そうだけど治療する当てがないから困ってるんだけどな。両腕を上に上げて裾を肩までずらす。レイは上から腕の状態を診た。

「出血は止まっているけど水魔法でゴミを落とした方がいいわ」

 思えば腕を切断してからずっと洗ってなかった。顔を洗った時と同じ要領で空中に水球が浮かぶイメージで水属性魔法を発動。空中に水球が出現できたら両腕を突っ込んで水の流れを洗濯機みたいに回転させる。水が傷口に染みていたいけど我慢。

「これぐらいで良いわよ。あとは何処かで治療できるか、知識を得る場所があるかに掛ってるわね」

「昨日の薬草で回復できない?」

 レイが採取してくれた薬草なら回復には向かうんだろうと考えたけど。

「そのまま食べれば回復するのかしら?それなら良いけど、磨り潰したり煎じたりとか、加工しないと回復しないかもしれないわよ?」

 …それは考えついていなかった。そのまま食べても回復できないかもしれないのか。

「ここら一帯の草原を歩こうかしら。あんたもどんなフィールドか見ておいて」

 レイはそう言って歩き始めた。僕もレイの後ろについて周りを見回していく。街同様にマッピングしておかないとね!【妄想】で!


・・・・・・・・・・


 草原を歩きながら、自生している薬草を時折摘んではまた歩き、【妄想】スキルでマッピングしながら考えたこと。

(草原広すぎ!そしてゴブリン多すぎ!)

 草原の草自体は足首ぐらいまでの短さで歩きやすい。腰ぐらいまで伸びている草もあるけどそれは僅かな範囲しかないから迂回すればいい。問題なのはゴブリンの数だ。10分程歩くと2、3体で行動しているゴブリンに見つかり戦闘になる。ただ遠くからゴブリンが走ってくるのを僕が土属性魔法のストーンバレットを発動させて、レイがさらに打ち込んで加速、頭部に風穴を開ける流れになったけど。


「ゴブリンが多い、と言うかゴブリンしか目につかないね。異常繁殖とかあるのかな…?」

「あいつらも生物ではあるんだし、そういう季節とか期間があるのかもしれないわね」

 それにしては人の姿に寄り過ぎなんだけどね…。この調子で草原を夕方になるまで練り歩いて町に戻った。収穫は薬草3束のみ。草原を練り歩いてこれだけしか収穫出来ないことを考えると、レイが取ってきた薬草の量は異常なのかな。運よくレイが多く採取してくれたと考えればいいや。

お読みいただきありがとうございました。

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