04.母親に問い詰められる_2日目
前回のまとめ
1.二度目の世界に移動したことを実感
2.母親は大病を患うことを知った
3.やっぱり主人公は男の娘である
目が覚めた。そりゃあもうぱっちりと。
上半身を起こし、両腕を真上に伸ばして伸びをする。
(うーんッ…、ふぅ。こんなにすっきりと起きられたことは何年振りだか)
一度目の世界では眠っても疲れが取れず、起きても頭が回らないことが日常だった。
こんなにすっきりと起きれたことにいい気分になっていると。
(・・・・・・。やっぱり、この部屋だよな)
今は17歳になっていること、男の娘になっていることに気付き、憂鬱となった。
(当時は鬱に近いマイナス思考を続けていたが、二度目も同じかな?)
当時というのは一度目の世界のことである。将来、成績が悪いから卒業してアルバイトもできなくなったら|人生の卒業(自殺)をしようと決めていたっけ。
(まぁ、29年生きてきて、良いことも悪いことをあった。あほじゃないけどプラス思考に行ってこうか!男の娘はあれだけど)
一度目の世界では70歳くらいか?その人と一緒に仕事をして怒られることもあったけど、どこか会話が楽しかったんだよな。
じゃあそこを目指そう!と活きこんだ。
(ってか、二度目の世界だから、仕事はないのか。昨日は忘れてたけど大丈夫だな)
昨日の朝は起きたとき、学生かどうか急いで確認したことはこれが理由である。体が変わり、たとえ誘拐されても仕事がある。遅刻してはいけないと、社畜精神あっての行動である。
(今日は、クラスメイトについて調べなきゃな。まぁ、部屋の中に最低限あるはずだ)
進級してすぐにクラス写真を撮ってた。すでに配布されているはずだから部屋にある、はず。
(まず顔洗ってこよう)
部屋を出て、リビングに行くと、母親がいた。
「おはよう」
「ん、おはよう」
「昨日は帰り遅かったね?」
「いや、遅くない。門限までには帰ったよ」
「顔を洗ったらここに来なさい?」(威圧)
「え~…。今日やることが…」
「ここに来なさい?」(威圧)
「・・・・・。でも」
「来なさい?」(威圧)プチプチと、何かが切れる音がした。
「はぁ、分かったよ…」
そう言い、洗面台に向かう。
顔を水でバシャバシャと洗い、どういうことか考える。
(門限守ったのにどうしたんだ?結婚相手を紹介するとか?いや無いな。昨日のニュースのことだな。きっと)
それ以外にはないかと考え、髪の毛を後ろに縛った。
リビングに戻ると、机の上にパン三枚と焼き魚、みそ汁が置いてあった。
(なんて微妙な組み合わせ…)
そこはパンではなくご飯だろうと、突っ込もうかスルーするか考えていると、
「ごはんが無かったからパンよ。同じ炭水化物だから大丈夫」
・・・・どうだっけ?と考え、考えないことにした。
「でなんの話?」と振ってみる。
「昨日、特定検診を受けたわ。再受診だって。」
「うん、そうらしいね。受診結果みたし」
「あ!あんた見たの!?驚かそうとしたのに!」
「悪い受診結果で人を驚かすな!で、再受診はいつするの?」
「今日するわ。ここ一週間は休暇取っているから」
その言葉に目を丸くする。
「一週間!!そんなに休むの!!」
「なんでそこを驚くの!」
そういえばそうだ。
「まぁ、お気の毒。再受診行ってきてね」
「午後には行ってくるわ。聞きたいのは昨日の交通事故についてよ」
一呼吸置いて。
「昨日の夕方のニュースだけど、猛スピードで人通りの多い時間帯で車が突っ込んだわ。文字通りの大惨事ね」
「ふーん、本当に起きたんだ。今も朝のニュースに出てるぐらいだもんね」
ブラウン管のテレビを見ると、女性キャスターが報じている。
「単刀直入に聞くけど、なんで分かった?」
予言ねぇ。ってなんで母親と腹の探り合いしてんだ。母さんは探偵じゃないだろ、と考えなおし。
「てっててー」とテキトーに歌ってはぐらかしてみる。
「てててててってrスコーーン!とプラスチックパイプが頭に当たった。
「何をはぐらかしてるの!?こっちは犯罪を手引きしたんじゃないかって疑ってんだよ!?」と母親はぶちぎれた。
ぅぅーー、と頭を両手で抑え、涙目で必死に痛みをこらえていると、
「あんたの事情を知りたいの。交通事故を手引きしても育てたあたしの責任だから、あんたが全て悪いわけじゃないんだよ?だからどうして分かったの?」
あぁ、確かにそんな考えもあるな。育てた親が全て悪いんじゃなく、手引きをした子供、そしてその状況に気付けない親も悪いと。まぁ、一般論か?だから責任は親だけじゃないって考え方。でもあいにく僕は手引きしていない。
「話は長くなるよ。かくかくしかじかでさぁ」
「ふーん、ってなるか!」ばしん!と今度は頭をはたかれた。
「はぁ、分かったよ。話すから暴力振るわないで。ね。いいでしょ?」
「素直に言いなさいよ。いいわ、あんたの好きなタイミングで言いなさい」
お茶用意するわ。と母さんは席を立った。うーん、なんて言おうか。
...............
結局この二つを大雑把に説明した。
1.29歳の未来の自分であること
2.大きい事件やイベントは概ね起きるらしいこと
1は簡単に未来の自分が過去の自分に乗り移った、的な話にした。
2は29歳までの大きい事件や事故、一大イベントを分かってるよ、てことを話した。
説明下手な僕に、母親に理解させるのはかなり時間が掛かった。
この話をしたのが10時頃、やっと納得できたらしく頭をうんうんとうなずいている母親だが、時計を見ると13時30分。
大体3時間30分、説明したことになる。疲れた。
「やっと理解したわ。要は今のロウは29歳独身のロウで、何かしら一大イベントや大事件を知っているわけだね?」
「全然覚えてないけどね。昨日の交通事故はたまたま思い出したわけだし、今後思い出せるかって言われても多分無理だよ。あと独身は余計だ」
「じゃあ、あたしを受診させるために言ったわけだ。説得力を少しでも上げるように」
「そうだよ。実際、異常を発見できたから、文字通り不幸中の幸い、だね」
「でも、交通事故は頂けないわね。他人の死を利用して、異常を知らせたんだから。ロウは何様?」
「お子様ですー。優先順位は他人の死より身内ですー」てきとーに返答した。
「うまくないわ!」はぁ・・、と母さんはため息をついた。
「ロウの心境はなんとなく理解はしたわ。よくない心境だけどね。あたしは病院行く準備をするから」
「はーい。行ってらー」
母さんは出かける準備に行った。
お読みいただき、ありがとうございました。
まとめ
1.母親に色々な事情を説明した。