03_騎士を説得しよう
よろしくお願いします。
短めです。(たぶん)
僕(プラス、スキルのペイリルさん)とレイ、フォレムとレープルの4人(+1柱)は歩き続けて1時間後。
「おー、やっと城壁が見えてきた」
のっぺらとした灰色が左右に見えてくる。
何時間も歩いていたことがアホみたいだ。
だって最初に進んでいた方角とは全く違っていたからだ。
「あれが私たち住んでいる町です!」
「ふーん、あれがねぇ」
フォレムの声にレイが気だるげに応答した。
(…疲れすぎじゃない?)
『いい加減うんざりするわ、キャピキャピガヤガヤと…』
レイの言葉が僕の頭にそう響く。
話しかけられて一々対応することにメンドウソウダナー。
「そういえばロウ。あんたはその状態で城門くぐるの?」
城壁に人がぼやけて見えるほどの距離まで進んだ時にレイが訪ねた。
その状態?
「その状態ってどういうこと?」
「分かってないの?…あぁ、あんたは気絶してたから分かってないのね」
ほんと何が言いたいのか。
「ロウの顔に乾いた血がべっとりついてるんだけど、落とした方が良いんじゃないかしら」
「えッ!血!?」
僕は右肩に頬を擦るとガサガサと音が鳴り、赤いカスが付いた。
「めっちゃ付いてるじゃん!」
べっとり付いてる!今更気が付いたよ!?
「・・・・・・」
ゆっくりとフォレムとレープルの方を見た。
僕の顔をそらしていた。
そうだよね!
そりゃあ血がべっとり顔に付いてる人の声かけられたら受け応えたくないよね!
僕だってそうする!
水の準備をして落とさなきゃ!
『水出す前にちゃんと詠唱しときなさい!』
「ひッぅ!」
いきなりレイの声が頭に響いたよ!
(・・・・でも詠唱しないと怪しまれるか)
渋々やることにした。
「・・・・生活魔法、ウォータ」
てきとーに詠唱して顔全体を覆えるサイズの水を空中出現させて顔を突っ込む。
肘で乾燥した血を顔を擦り落とす。
そして水から顔を出して空気を吸い、もう一度水に入れて顔を擦る。
数回繰り返し、水を地面落としてレイに声を掛けた。
「どお、コレで大丈夫かな?」
周囲は誰もいなかった。
僕は城壁をくり抜いたような穴、城門に走ってたどり着いた。左右に灰色の城壁、城門には人の渋滞があり、その最後尾にレイたちがいた。
「ちょ、ちょっとレイ!置いてかないでよ!」
「ん?あ、ロウ。割と早く来たのね」
呑気だな!走ってきたから心臓バクバクだよ!
「はぁ、はぁ、はぁ、…はぁ~…。疲れた…」
「どれだけ走ったのよ…。身体強化すれば楽だろうに…」
・・・・。しんたいきょうか…。
「あ・・・・、なんで使わなかったんだろ!その手があったのに!」
「まだ身の回りで使えることを覚えてないのね」
なんで普通に走ってたんだろ…。身体強化使えばもっと早く楽に着いてた…。
フォレムとレープルが凝視していた。
「…どうしたの?こっちを見て」
サッと二人が寄り合い、なんか小声でごにょごにょ話していた。
「こいつ、こんななりだけど男よ。決して女じゃないわ」
「「えッ!…どう見ても女の子…」」
落胆するな…。
確かに最初は女の子だと思ったけど違うって思い直すぐらいだもん。
「まぁ、そう見えるよね…。うん…」
髪長いし、以前の僕よりも女顔だし、顔中血だらけで驚かすし…。
「あの、なんか、すいまs…」
「いえ、大丈夫です。心が落ち着きました」
二人の声を遮って返答した。
むしろ心が落ち込んだよ…。
暫くの間、城門に続く人の渋滞を進んだ。
門番をしている兵士は4人いた。灰色の鉄鎧を着こんでいてヘルムは被らず、右胸のところにたぶん国旗が付けられていた。ちゃんと見たわけじゃないし、マークが付いてるしか見えなかったけどそうかも。
人混みもそうだけどそれぞれが頻繁に身体を洗っていないようで、周囲は汗や垢とか、どこか匂いが立ち込んでいた。
そのせいか僕からの血の匂いが誤魔化せたらしい。
そして僕らは城門を潜った。
「おい、そこの4人。ちょっといいか!」
訂正。たぶん血の匂いは誤魔化せなかったらしい。
「そこの嬢ちゃんからすごい血の匂いがするんだが、どういうことか聞きたいんだが?」
目の前にいる顔がごついおやっさんに問い詰められている。
「そんなに僕って匂うかな?」
「匂う。と言うより気付かない方がおかしい」
首をかしげて返したけど普通に一蹴された。
なんだよ、気付かない方がおかしいって…。
「そこの二人はこの街で冒険者をやってたんだよな」
「そうです。でも私たちはレイさんに助けてくれたんです!」
フォレムがレイの右腕を組んでそう言う。
レイさんって…。そこだけ強調するところに悪意を感じるな。
「そいつがレイか…。その嬢ちゃんと知り合いだよな?なんで血の匂いがするんだ?かなり強いぞ」
レイにそう声を掛ける騎士。
僕に話を一切聞かない感じなの?
「こいつはロウタって名前があるの。…はぁ、ここに来る途中、魔物がこいつに襲われて助けてはいるんだけど、返り血が大量に掛かっちゃったのよ」
「それは本当か?」
訝し気に聞かれる。
「えぇ、そうよ。こいつの方が身長が低いから襲いやすいし、周りを気にしないことが多いからね」
(それはあんまりだよぉ…。腕を切り落とした報いが晴れない…)
『うるさい、黙れ。私がこの状況を変えようとしているのよ?』
(…良い状況に持ってきてね。お願いします)
レイに説得を任せよう。…任せないと状況がややこしくなる。
お読みいただきありがとうございました。




