28_ペイリルダンジョン最奥にて②
よろしくお願いします。
!注意!
以下表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
四肢欠損
流血表現
数時間たっぷり休んでいる間に、レイとペイリルさんで言い争っていた。
ペイリルさんが弔いたいと言うがレイは『面倒』とか『勝手にやれ、ただしロウは使えないけど』と軽くあしらっていた。その会話(?)の中で連想していた。
創造
↓
錬金術
↓
石をダイヤモンドに変えるとか
↓
ホムンクルス
そしてたまたまレイの声が聞こえてきて、さらっと頭で考えた。
(レイの身体も創れないかな…)と。
『それよ!私の身体を創りなさい!!』
レイがそう言いました。
身体中がギシギシと痛いが、頑張れば立てる。立つだけで頑張りたくないけど!
『そういうわけでロウ。やって頂戴』
レイがそう急かす。
「ペイリルさんは良いんですか?エンドダークドラゴンを材料にすることになるんですが…」
『お願いします…。この子を放置するよりはマシなのですが…。ロウさんは大丈夫ですか?』
「やるしかないのよ…」
溜息を吐くように呟いた。
レイの言葉に後ろめたさと不安が出てくる。僕が呟いた考えからの発展だから、責任は僕にもあるけど、勝手に創られたドラゴンは勝手に殺され、あまつさえ遺体さえも利用することに。
さてレイの身体を創ろう。
休んでいる間にペイリルさんが方法を考えてくれた。
目的はレイの身体を創ること。もちろんスキルの創造を使う。
必要なものは三つ。
一つ目は先ほどの話題に出てきたエンドダークドラゴンの遺体が一つ。
二つ目に僕がビー玉サイズにしたダンジョンコア。
最後の三つ目は僕の腕だ。
一度しか創造を使っていないけど何とかなるよね。うん…何とか、なるかなぁ…?
まずは風魔法でダンジョンコアを浮かし、魔法陣を刻み込む。魔法自体は僕が行使して浮かしているけど、実際に刻んでいるのはペイリルさんが行ってくれた。魔法陣の知識は無いため、ペイリルさんがそこを協力してくれた。
因みに魔法陣の効果はレイの人格を映し、肉体にも効果を影響させるものである。
どっかのアニメで見た、人形に飴玉を入れると勝手に動くやつ。あんな感じらしい。今回は埋め込む形になるけど。
刻み込むこと20分。びっしりと模様が刻み込まれたコアが出来上がる。そのコアをエンドダークドラゴンの傍に置く。
(・・・・・・・)
地面に置くと失敗という落ちが無いよう、確実を期してドラゴンの舌に置いた。
『なんか意味あるの?それ』
「無いよ。落ちが失敗なんて嫌だからね」
そしてスキル:創造を使うけど、ここで一工夫しなければならない。
さぁ、覚悟を決める時間だ。
無属性魔法:シールドを使って装置を創った。
載せる台と固定台の用意。オッケー!
台に載せて固定した!
上空から落ちるもの。オッケー!
確実に当たるよう滑車を設定!
衝撃に備えて板を作成。オッケー!
口に加えて噛めるように微調整!
「ん~~~~~~!」
恐い恐い恐いコワいコワいこわい!
『はっしゃ~』
レイが間の抜けた声が聞こえた。
上空に設置したギロチンが落ちてきた。
その先に固定具で固定した僕の腕があり、肘より少し上あたりにぶち当たって両腕が切断された。
「んんんんんンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!」
死ぬほどの痛みを耐えるために、口に咥えた板を噛み砕いて耐え抜く。
「んんんんんんんんエェェェェェァァァァァッ…」
固定台から腕が外れ、両腕を上にあげて痛みを耐える。
それでも断面から噴き出る感覚の血液に、地面に滴り落ちる赤を見て吐き気が込み合上げる。
『オッケーよ、ロウは横になっていなさい。あとはこっちでやるわ』
血だまりにうつ伏せで倒れ、大の字になる。匂いが濃ゆすぎて咽そうになる中、視界が黒くなっていく。
――――――――――――――――――――
「お前、また来たのかよ」
「あれ?17歳?」
目の前にもう一人の僕、17歳がいた。一度目と違い、周りは真っ黒になっていた。
いつの間にか気を失っていたらしい。
「今度は…、腕を切り落としたのか。お前無茶するな」
「仕方ないじゃん。レイが動き出したら止まらないから…」
言い出したとこは捻じ曲げない性格をしてるんだもん。
「そう設定したもんな…」と17歳。
「設定しちゃったからねぇ…」と僕。
引っ張られる方が好みなんだよ。
「一回目より時間が短いようだから、手っ取り早く語ろうか」
「今更何を言うんだよ。色々語り合ったろ、性癖とか性癖とか性癖とか」
「うるせぇ。お前のロリコン気質はいらない」
なんだよ、同士と思ったのに…。
「ほんと脱線するな…。お前、融合するとき称号が増えていたろ」
「んー。確かに増えていたけど何かあるの?」
何が増えていたっけ?
「お前は確か【祓う者】って無かったか?」
「まぁあったけど、それが何かあるのか?」
どういうこと?
「どうも称号が増えているのはお前だけじゃないようだぞ?」
にやりと笑う17歳。え、何。そっちも称号増えたの!
「そう、増えたんだ。【壊する者】という称号だ」
「何それかっこいい!僕も欲しかった!」
【壊する者】って破壊出来るって感じだよね!いいなー!
「効果もあってな、森羅万象あらゆる概念も含めて破壊することが出来るらしい。だから試してみた」
すっげー!なんでも破壊できるってことじゃん!
・・・・ん?
「いつ試したんだ?」
だって会ったのは1回目しかないよね。その時か?
「お前が考えている通り、1回目に会った時に試したんだよ。きっちり効果があった。本物らしいな」
「ほー。で、どんな効果なんだ?」
僕に目を向けてこう言った。
「お前の頭にあるネジ、厳密に言うと自制心を破壊した」
「・・・・・、はぁぁぁーーー!」
なんで僕の頭なんだよ!自制心を破壊するとか何たる鬼畜!
「とはいえ、だいぶ再生されたみたいで、考えていたほど暴走していないようだったがな」
「試す所ちげぇだろ!石とか魔法とか、危害になりそうなものを破壊しろよ!」
「色々考えすぎるお前の性格を消したと捉えればいいんだよ。生きやすくなったと開き直れ」
「お前が開き直ってんじゃねぇか!」
こっちは被害食らってんだよ!おい、顔背けんな!
「こっちが言っておきたいことはそれだけだ。そっちは?」
「人格を使って実験するなぁぁぁーーー!」
次あったらなんかやってやるー!
17歳の身体が薄くなり、消えた。
――――――――――――――――――――
「・・・・・・・、うぅ…」
なんかむかつくことがあったけど、何だったけか。むぅ、思い出せん…。
『起きましたか!気分は大丈夫ですか?』
ペイリルさんの慌てた声が聞こえる。
何だっけ…、両腕を切断したんだっけか。身体を横に転がって仰向けにする。
両腕を上げると肘より少しだけ先がなくなっていて若干だけど先が丸まっている。
「傷口がふさがってきたのか?」
『私が回復魔法で止血まで行いましたよ』
「ありがとう…。癒しはペイリルさんだけだよ」
『あ…、ありがとうございます…』
なんか泣きたくなってきた…。
今は血で汚れないように、あの一張羅を脱いでいる。
両腕を下し、何していたかを考える。
ペイリルさんが言うにはエンドダークドラゴンとダンジョンコアを使えば『人形』は出来上がるらしい。ただ、創造では不格好になりやすいので僕の腕を材料にすることで形を整えやすく出来るとの進言を信じて、腕を材料にしたわけである。
なぜ生きているかと言うと、鑑定して分かっているが体力がハイフンになっているため、最低限の生命維持は出来るはずだとペイリルさんの予測からだ。切断出来たのは、まぁ定評のあるDEFの低さから出来たことだ。
「クリエイトはどうだった?成功した?」
今だ両腕が疼き、無くなった感覚が馴染んでいないから起き上がれない。
「ちゃんと成功したわよ」
聞きなれた声が初めて耳に響いて上から見慣れない顔が覗かれた。
黒髪でゆるふわのショートカット、黒い目で薄く焼けた肌色。
頭の中で思い描いていた『レイ』の顔があった。
「・・・・・・・、おぉ~・・・・。おぉ~!!やった!成功してんじゃん!あたッ・・・」
右腕で支えて起き上がろうとしたが扱けた。
そうだ、両腕が無いから支えれないんだった。
「仕方ないわね。ほら、立て」
両脇を持ち上げられて立たされる。
服装はパリッとした黒のレディース用スーツ姿でネクタイはしていない。
「似合っててすごいかっこいい!かっこいいお姉さんって感じ!」
「私はロウのような子供じゃないわ。でも頼りにしなさい?」
調子の良い声で応えるレイ。
・・・・・・・・。
「そのスーツは何処から?人形が出来るってことは、身体しか出来ないって思ってたんだけど…」
「初期装備よ」
しょきそーびー?
「・・・・なんでかっこいい服が初期装備なんだよ!僕のぼろい服は何だったんだ!」
「運が悪かったわね。ぼろいとは言え、替えがあるだけマシでしょ」
「メイドのいじわる~!」
僕は文字通り嘆きました。まる。
お読みいただきありがとうございました。
もう少し…。もう少しなんです…。




