27_ペイリルダンジョン最奥にて①
よろしくお願いします。
とりあえず出来ている所だけ。
部屋に辿り着いて中を確認する。
まず目に着いたのは巨大な黒い物体が横たわっていた。
口は大きく開き、鋭い牙がずらりと並んでいることが確認できる。
眼は赤く、瞳孔も開ききっていた。
そして全体を見渡すことの出来ない程の身体には、触れるとこっちが切れるんじゃないかと思えるほどのびっしりと並ぶ鱗が見えるが、ピクリとも動かない。
「・・・・・。ドラゴン?」
『エンドダークドラゴン…?』
ペイリルさんの震えた声が頭に響く。
「このドラゴンのこと、分かりますか?」
『この世界で全生物の頂に鎮座し、全てを破壊できる力を持つとされる龍…、エンドダークドラゴンです。なぜこのような場所に…』
・・・・・。
「分からなかったんかーい!」
『あ、思い出しました!いっそのこと全て破壊しようと考えて、このドラゴンを創ったのです。でも後ろめたさから破壊させることは出来ず、生命を維持させてそのままにしていたのです…』
創るだけ創っといて放置したと…。
『何たる命の無駄使い…』
『あぁ、この子には酷い仕打ちをしました…』
すげー声が震えてるよ…。
次に目についたのはドラゴンの後ろには発光している巨大な岩が鎮座していた。大きさは三階建てのビルぐらいで虹色に輝き、なんと宙に浮いているのが特徴だ。
「あの巨大な岩はなんです?」
『あれはダンジョンコアと呼ばれる魔石です。この魔石から魔物の生成や生命を維持させることができます。そして宝箱の供給することも出来るのです』
うーーん?どういうこと?
『つまりダンジョンコアがガソリンってことよ。そしてペイリルがエンジンの役割を果たしてたってわけ』
「あぁ、そういうこと!それなら分かるよ」
ダンジョンコアから出てくるエネルギーをダンジョンマスターが操作するってことか。
ってことは…。
「じゃあ、このエンドダークドラゴンはこのダンジョンコアから生命維持させていたってことになるよね?」
『そうです…。私と融合することで生命を維持することが出来ず、死んだのでしょう…』
はー、それで死んだってわけか。
『死因:融合って所かしら』
「レイ、それは不謹慎だからやめてね…」
頭の中だけだし、思うだけで良いんだけどね。
※伝わったらOUT
周囲は壁しかないが、ドラゴンの死体とダンジョンコアの他に、もう一つだけ存在感を放つものがあった。
『あれは宝箱かしらね』
「そう…、なのかな?」
僕はそばまで寄って確認する。
左側の壁の隅っこには箱らしき物体が置いてあった。
外装は金色で塗装されており、龍を象った装飾もされていて、禍々しい雰囲気を出していた。
『開けてみなさいよ』
「箱を扮したモンスターとかじゃないよね?」
恐る恐る開けてみると、普通に開いた。
中には、真っ黒い布がある。手に取ると触り心地が良く、広げてみると両袖が異様に長い。
「着物ではないし、かと言って防具にも見えない。何だろうね?」
解析を掛けてみる。
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ペイリルダンジョンで発見された布。肌触りと着心地が良い。
そのままでも着用可能だが、何かしらの方法でスキルを付与も出来る。
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ほぉー。今までの解析からだとまともなことが出てきた。
『スキルも付与することも出来るのね。高性能に出来るかもしれないわね』
「ひとまず、一張羅を発見できてよかった」
早速だが着てみよう。だって全裸だったからね!
身体がすっぽり入り、足首より少し手前まで覆えるほどに大きかった。そして両袖も長いため、両腕を左右に広げても袖が垂れる状態になった。
見た目、小さい子供が大人用の服を着て遊んでいる感じ。
「うぅ…。今は衣服があるだけマシなんだけど、恥ずかしいな…」
箱にはもう一つだけ入っていて、それも取り出して確認する。
黒い皮で作られたショルダーバッグ。肩に掛けるベルトは長く、物を入れるカバンの方は少し小さめに作られていた。大きさは縦50センチ、横幅70センチぐらい。
チャックではなく金具が取り付けられており、ランドセルみたいに上から皮を被せるような形で開け閉めするようだ。
これも解析する。
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ペイリルダンジョンで発見されたカバン。
皮は耐火、耐水、耐塵等の防御工作が施されているため非常に丈夫な造りとなっている。また、カバンの内側は亜空間となっており、どんなにものを入れても嵩張らず重くならない。
ただし時間は等倍速(同じ時間)で進むようになっている。
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つまり、四次元バッグってわけだ。
「めっちゃ良いやつ手に入れたー!」
これで何でも持ち運べる!詰め込んでも重くならない!ラッキー!!
『運がやたらいいわね。あとから面倒事が起こるフラグかしらね…』
「そんなわけないじゃん!ここは素直に喜ぼうよ!」
と、まぁこの部屋で発見できたのはこれらである。そしてあたりを探したが、階段が見つからなかった。
『階段は無いわね。引き返しましょうか』
「うーん…、そうしたいんだけどなぁ…」
レイは戻るよう言うけど、僕は迷っている。
目の前にあるエンドダークドラゴン?ってやつの死体とペイリルダンジョンの核ともいうダンジョンコアだ。エンドダークドラゴンは無理だけど、ダンジョンコアを持っていきたいと考えていた。
せっかく見つけたんだしなぁ…。
『あんたのせっかちな性格が出てきたわね…。こんなバカでかいものを持っていけないわよ』
「四次元バッグがあるから、一捻り出来れば行けそうなのに」
『私もエンドダークドラゴンの弔いを行いたいのですが…』
『ペイリルまでもかよ…。ここで考えても時間の無駄よ!』
レイに一喝された。でも諦めきれない。
「スキルで創造があるけど、ここでうまく利用できないかねぇ…」
『創造があるのでしたら、ダンジョンコアを小さくできると思いますよ』
「え!小さくできるの!?」
これぞ寝耳に水!
・・・・・、使い方合ってたっけ?まぁいいや。
「どうやって出来る?」
『材料はダンジョンコアで、小さいダンジョンコアを創る目的と考えれば出来ると思います。そして魔力をコア全体に纏わせて、小さくするように密度を高めていけば良いのでは?』
ぅうぉぉぉーーー!?
そうだ!その手が合った!そうすれば出来る!!
僕はすぐさまダンジョンコアの傍まで駆け寄り、両手をコアにぴったり貼り付けて魔力を出来る限り最大の圧力を掛ける。
『ちょっと待ってください!大きさは決めているのですか!?小さいだけだと予想以上に小さくなりますよ!?』
「大丈夫!ビー玉サイズに決めてる!」
ピキって割れる音がした。圧縮出来てるみたい。
『ねぇ!ほんとに大丈夫か!?魔力かなり出してるわよ!?』
「たぶん大丈夫!今が命を削るときよ!」
『魔力の表記を忘れてるじゃない!あんたの魔力は----(ハイフン)だったのよ!』
あ、言われてみればそうだった。でも今魔力を切ったらなんかやばそう。コアの周りは魔力が濃ゆすぎて青色に発光してるし。
「手ぇ離すとやばそうだから代わりに聞いてー!」
なんかゲームが良い所に来ていて、手が離せない子供みたい。
『ペイリルは魔力が----(ハイフン)になる表記はどう考える?魔力ゼロって認識かしら?』
『魔力がハイフン…。通常はあり得ないのですが、鑑定で上限を超えた場合はハイフンで表記されるようになっていますが…』
そうなんだ。お、結構へこんだ。70%まで圧縮完了って感じかな。
『ロウが使ったスキルの解析はあの大樹から授かったスキルで、必要な情報だけを表記するスキル(もの)だった。起きた時の解析は癖がついていて使えるだけの魔力を表記させるようにしていたわね…』
やっと80%だけど、圧縮できなくなってきた。泥団子を握力だけで固め続けてる感じだよ…。
『使えるだけの魔力を表記させたのに対し実際はハイフンとなっていた。それはつまり…』
『まさか、魔力は無限ってことになります!人のみでありながら莫大な魔力を持つと大変ですよ!』
ペイリルさんの焦る声が僕の耳に届いた。
「それってどういうことーー!!」
『大量の魔力を暴発すると魔力災害を引き起こします!そうなると神々が動き出さなければ収集つかなくなります!』
全然小さくならねぇーーー!いっそのことありったけの魔力をぶっ放しちゃる!!
『たぶん大丈夫よ。現人神になったんだし』
「ふぁーーーーーー!」
魔力を一気に流した直後、周囲の魔力が霧散した。宙に浮いていたダンジョンコアは楕円形のビー玉サイズになっていて、地面に音を立てて転がった。
魔力が霧散しコアも落ちたことで力み過ぎた身体も地面に大の字でうつ伏せでぶっ倒れた。
「身体中の筋肉が悲鳴を上げてるよ…。少しでも動いたら筋肉が吊りそう…」
『お疲れ様。ダンジョンコアを取得する代わりに筋肉を疲労させるとか、安上がりね』
高級なダイヤモンドをひったくって1000キロ走った感じかね?それ。
やりたくないけど。
「しばらく横になるよ…」
そこから数時間、レイとペイリルさんが言い争う声を聴きながら休んだ。
お読みいただきありがとうございます。




