23_創造した人を説得しよう
よろしくお願いします。
投稿ペースがさらに遅れます…。
詳しくは活動報告にて。
ペイリルさんどうやって説得しようか…。
「まず、僕は貴女を倒せません」
「!・・・・・、それは、どういうことですか?」
ペイリルさんの驚き、絶句した。
その表情面白い。
ともかく。
「理由はですね、倒しても無事に出られなければ意味が無いです」
命を懸けて脱出ってのは映画や漫画の展開としては熱いけど、実際の現場に居合わせている人にとっては重大な問題だからねぇ。
「・・・・。そう、ですか…」
ものすごい落ち込んで返事したなぁ。
「そして倒しても倒さなくても、魔族も絶滅してしまうんだけど?」
「どういう、事ですか…?」
凄みを聞かせて返答するペイリルさん。
威圧が無いのは回答できないからだろうね。ともかく、
「ペイリルさんを倒しても、魔族が絶滅するようになっているんなら別かもしれないけど都合のいい話はないだろうし、そのままだと勇者たちが倒すだろうから」
「そう、ですねぇ…」
ペイリルさんの声のトーンが落ちていく。
絶滅しなくてもかなりの数が減るだろうし…。
『たとえ創造神が死んでも、世の中は変わらないのね』
「逆に僕を倒しても状況は変わらないだろうし…」
「・・・・・・・」
とうとう返答すらできなくなったペイリルさん。
言いすぎかな?
「まぁ、そんな理由ですが倒しません」
倒す方法はペイリルさん自身が知っているだろうけど。
「・・・・・・。なら、どうすればいいのですか!私は、何を間違えていたのですか!?どうすればいいのですか!!」
そう叫ぶペイリルさん。かなり大きい声量で身体がビクッて跳ねた。
『さぁ、どうでも良いんじゃない?』
「どうでも良くないよ、レイ。だってペイリルさんが原因で魔族の人たちが絶滅の危機だから、罪悪感が重くのしかかるよ」
『神様なんだからそんなこと気にしなくても良いのよ。それで一々気にしていたら発展もしないじゃない』
そうかもしれないけど…。
「・・・・、レイさんならどうするのですか?戦争し続ける方々いて、レイさんは止めれられる立場にあったら…」
『・・・・。その質問に意味は無いけど、私ならほっとくわ。観察するだけならどっちが勝っても負けても関係ないわね』
「・・・・。ロウタさんならどうしますか?」
「・・・・・・・」
あの、威圧が掛かっているので喋れませんが…。
「・・・・、すいません。叫んだ際、抑えてませんでした…」
「ふぅ…」
呼吸が楽になった。かなり重い空気になるんだよ、威圧が掛かると。
うーん…。
1分後。
「僕は何とも。様子を見し続けるかな?」
少し時間を掛けて考えたけど、どう動くのか僕には分からない。責任を逃げているとも言うけど。
「・・・・・・」
「無言で睨まれても…。その時にどう動くかは当事者しか動けないし…」
睨まれるペイリルさんの顔を背けて応える。
『文字通り、意味のない質問よ。ロウは気にする必要は無いわ』
まぁ…、そうかもしれないけどさ…。
『だからあなたが魔族を創りだしたのは失敗したことになるわ。…ともかく』
レイは一息置いて続ける。
『私たちはここを出たい。でもあなたはどうする?こもり続けるの?』
ペイリルさんにそう問いかけた。
「・・・・・」
その問いかけをペイリルさんは答えなかった。
「なにも考えられていないんだよね?ならさ、いっその事ここを出ない?」
僕はこう呼びかけてみる。
「…種族を大きく変えたのですよ?そんな悠長なことをしてはいけないです」
『ここを引きこもっている間は何をしたの?人間に戻す薬とか魔法とかを考えていたの?』
「・・・・・」
間髪入れずに聞き返すレイの言葉にペイリルさんが難しい顔をして応えない。
「失敗したけど呑気な事やっていいのかってことでしょ。もう良いんじゃない?」
失敗して顔向けできないからここに引きこもって、少しでも周りのために何かやろうって考えているけど出来ていないって感じ?
「…種族を大きく変えること自体やってはいけないのです。種族ごと神を祭り上げることになり、バランスがなくなるのです…」
『そのルールを禁止したのがペイリルってわけ?』
「仰る通りです…」
自ら禁止にしたルールを自ら破ったのか…。
「周りの人たち、神様たち?は分かりそうだけどね…」
とはいえ。
「魔族たちはどう暮らしているのか、今も他の種族よりも強いかって確認しに行くってのはどう?」
「それは…」
それでも提案を渋るペイリルさん。
レイが唐突に話題を変えた。
『勇者たちは別世界から呼び出されていることを知ってる?』
「…えぇ、どのように呼び出しているかは存じませんが…」
ペイリルさんは肯定する。
かなり昔からダンジョンに来た勇者達に倒すよう頼んでいるらしいし、普通に分かるか。
『…別世界から問答無用に連れてこられていることは理解しているの?』
「…?どういうことですか?」
言い方を変えたレイの言葉にペイリルさんが疑問を持つ。
「僕たちは問答無用で連れてこられたんです。文字通り、床が光って気を失い、いつの間にかこの世界に連れてこられていたんです」
『だから神々が創ったという勇者召喚の魔法は、別名「異世界住人誘拐魔法」ともいえるわね』
あ、その別名は合ってるかも。
「あなたたちは了承もなしに召喚されたのですか!?」
「そうですよ。僕を含めて何十人も召喚されています。それが何度も起きてるんです」
「そ…、そんな…」
絶句するペイリルさん。
『つまり神ぐるみで別世界から勇者人員として誘拐してんのよ。あんたは知らなかった?』
レイの追撃に色白のペイリルさんの顔がさらに白くなっていく。
「まぁ、魔族の問題もあるけど勇者召喚の問題もあるんです。ペイリルさんはそれを解決しないといけません…」
「・・・・・・。大変なことに…なってるんですね…」
ペイリルさんの声のトーンも暗くなり、頭も俯いていた。
問題が大きいんだよな、二つとも…。
「私は…、どうすればいいのでしょうか…」
ペイリルさんの絞りだした言葉はそれでした。
『魔族と勇者召喚の問題を解決すればいいのよ』
「その糸口が無いから頭を抱えてるんだよ…」
簡単に問題は解決出来ないし、どのくらい時間が掛かるのか…。
5分後。
ここまでの話を妄想スキルで文面化したものを確認して暇を潰した。
なんか自然に無言になっていた。
「・・・・。ここを出ないといけないのですね…」
ペイリルさんがぽつりと呟いた。
「心苦しいですが、ここを出ないと解決できないです…」
返答をしてペイリルさんの顔をすると、白くなっていた顔は少し良くなっていた。
『決意は出来たようね』
「えぇ、この問題は私の責任です。私が解決しなければなりません」
やっと解決に乗り出せそうです。
お読みいただきありがとうございます。
こんな会話が1、2話ほど続くかも…。




