18_魔物の脅威②
よろしくお願いします。
戦闘があまり始まらない…。
青白い光から現れたのはゴリラ。
今は両手を地面につけているが、それでもかなり体長が高い。
「ゴガァァァァァァァァ!!」
ゴリラは走り出し、右手を大きく振りかぶる。
「うおぉぉぉぉぉぉ!!」
ガントさんは盾を構え、ゴリラの攻撃を防いだ。
そして「撤退だ!訓練中止!!」と撤退宣言を下した。
「う、うわぁぁ!」「きゃあぁぁ!!」
クラスメイト達が悲鳴を上げて扉の方へ逃げていく。
中には腰が抜けたらしく、這いずってくる奴もいるが、
「くっ、捕まれ!」
近くで警戒していた騎士に担がれた。
皆が扉へやってくる前に左側へ走り、ゴリラを『解析』する。
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名前:ペイリルゴリラ 性別:雄 種族:魔物
体力:4000 魔力:500
STR:900 DEF:600
スキル
格闘術
称号
【ガーディアン】
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「はぁ…、はぁ…」
息切れをしながらもさらに『解析』を掛けていく。
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格闘術:肉体を武器に敵を倒す事を目的としたスキル。
筋肉量や身体能力、スタミナ等に影響。
【ガーディアン】:ダンジョンの番人として配置される存在。
非常に強力な個体が多い。
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(魔力は少なく体力とSTR、DEFが高い。スキルの格闘術から考えると接近戦しかできない)
『でも生半端な攻撃じゃ通じないわね。どうすれば倒せる?』
扉の方を見ると、クラスメイトと騎士たちが集まっていた。
「なんで開かないんだよ!?」
「いやぁ!ここで死にたくない!!」
「あぁ…、もうだめだぁ…」
剣で扉の隙間を差し込んでこじ開けようとしたり、魔法で壊そうとしているがびくともしない。ゴリラに立ち向かう奴もほぼいない。
頼れないと判断し、ゴリラを見据える。
まだ、ガントさんが注意を引いてくれているから解析出来るけど、時間の問題だ。
(レイ、確実に倒せる、いや殺せる方法は思いつく?)
『簡単よ。溺死させましょうよ?』
そうできりゃあ楽だけど、簡単にはいかないはずだ。相手も生物。息を吸って生きているんだ。確実に暴れまわるはず。
『じゃあ、魔石は?そいつを破壊すれば魔物は死ぬんでしょ?』
確かにそうだ。魔物は体内に魔石が存在する。魔石は心臓と同じくらい重要な機能をしているらしい。
でもゴリラの姿を見た感じだと、体外に露出しているようには見えない。当然か。
「まとめ、ゴリラを倒すには溺死させる、魔石の破壊、魔法によるゴリ押しの三つ」
『でもそれらを達成するには私たちだけでは困難ね。誰が頼れるかしら』
今だ扉の前に群がるクラスメイトと騎士たちを見る。あの集団は当てにできない。
「ガントさん!手伝います!!」
大聖がしゃしゃり出てきて、ゴリラの後ろから乱入してきた。
来るとは思っていなかったのか、ガントさんは焦る。
「こっちに来るな!通用しないぞ!!」
「大丈夫です!はぁぁぁ!」
そしてそのままゴリラの背中に切りつける。
少しだけ静寂の後、ゴリラがゆっくりと振り返り大聖を見つけ、
「えっ、そんな効いてな…」
言い終える前にゴリラが左ストレートで殴り飛ばした。
「タイセイ!うぉぉぉぉぉ!!」
ガントさんが叫び、攻撃をして追撃されないよう注意を引いた。
一応解析を掛けると、
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名前:大聖 信弘 性別:男性 種族:人族
体力:10/700 魔力:147/1000
STR:600 DEF:500
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一応生きていた。が死にそうになっている。
鎧でたぶん死ににくくはなってたみたい。
『倒すことは賛成だけど、ちゃんと身体は動かせるの?』
(出来ないよ。あの咆哮だけで立つだけでも精一杯なんだ…)
座ってしまったらもう立てないぐらい足が震えている。
『じゃあ、私が身体を動かすわ。ロウは状況報告とアドバイザー、魔法の行使をお願い』
(分かったよ。ごめんね、頼っちゃって)
『続きは生き残っていたらね』
足の震えは収まった。深呼吸をする。二回小さくジャンプする。大丈夫、身体はちゃんと動かせる。
「とりあえず、身体全体に身体強化を掛ける」
(了解、あとは弱点の解析だね)
「そこにいると色々アイディアが出てくるわよね。じゃ、行くわよ」
私は攻撃するたびに吠えるうざいゴリラに向かって走る。
お読みいただきありがとうございました。




