表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界旅行 ー46歳悪ガキの異世界悪戯旅行?ー  作者: 戸口 央田
第1章:異世界へ飛ばされました
22/60

13.騎士達との模擬戦

よろしくお願いします。

図書室を後にし、部屋に戻るために廊下を歩いていく。

本を持ってきた理由は、レイが言った魔法の制作を部屋でも行うためである。

(制作と言ってるけどろくにできないからね?こんなことって…)

『たぶんできるわよ。魔法って妄想で使えるみたいだし』

(使える原理なんてわかってないから検討もつかないんだよ…)

僕の部屋は勇者であるクラスメイト達の部屋と図書室からだいぶ離れているので、ある程度考えをまとめることは出来る。

朗太は溜息を吐いてどうやって創作していくかを考える。


・・・・・・・・・・


暫く歩いていると騎士三人が歩いてきていた。三人ともこちらを見ていて、明らかに(わら)っている。

少し離れた位置で廊下を封鎖するように立ち止まる。

「おい、こんな場所で何しているんだ?」

「本が多く置いてある場所で調べものです」素直に言った。

左右の騎士が声を出した。

「役立たずが調べもの?調べても活用できないだろ」

「魔法も無属性だけなんだろ?調べても意味ないだろ!」

三人ともゲラゲラ嗤う。

『馬鹿にしているけどどうする?殺してもいい?』

(いや、出来ないでしょ。でも嗤いに来ただけか)

三人で嗤いあっている光景を眺める。

「僕に何か用事があるのですか?」

僕を聞いてみると、顔を向けた。

「いやぁ?なんでもないよ?ただ、役立たずが最近何かをやっているらしいからなぁ」

「そうそう。だから何をしているのかを聞きたくてよぉ」

(はぁ。下に見ていて、やってることを否定しに来たか)

頭の中で溜息をした。

「無属性魔法の練習です。せっかくなので使えるようにしたいと思っていたので」

「ほぉ、じゃあ俺たちにも見せてくれないか?その無属性魔法ってやつ」

にやにやとしながら尋ねられた。

殴りたくなってくるなぁ。

「大した事は無いのでお断りします。急いでるので」

断って後ろへ振り向いて歩くが、

「ちょっと待てよ。行ってもいいのか?」

一人が肩を掴まれる。

「いいから見せろよ。それとも、ここにいられなくしてもいいのか?」

はぁ、と今度は実際に溜息を付き、顔だけに後ろにいる騎士に向ける。

「役立たずの魔法を見て何が面白いんですか?」

「へぇ。強気に出てもいいのか?」

(もぉ、どうでもいいなぁ。面倒だ)

体を向きなおし、こう聞いた。

「では、何をすればいいんですか?」

「まず、中庭に来いよ。そこでやるからな」


―――――――――――――――――――――――――――


三人の騎士に連れられ、練習としている中庭に来た。

僕の前方に騎士が一人に、そのまた後ろから左右に二人が控えている。

木剣を投げて渡し、こう言った。

「俺たち三人で模擬戦を行う。文句はないよな?」

(・・・・・・。見せるだけじゃないのかよ)

「その前に、聞きたいことがあります」

「何だ、言ってみろ。まさか、ちびったとかじゃないよな?」

また三人はゲラゲラ嗤う。

「審判をやってくださる方を呼びます。大けがは怖いので」

「いや、審判は必要ない。俺たちだけでやってもらう」

三人の顔は真顔になり、真剣に言った。

(目的は分かった。この人たちは単純だ)

役立たずがなんか頑張っている。目ざわりだから痛みつけてやろう。

なぜ行動に踏み出したのかは分からないけど目的はそんなところか。

「では、部屋に戻ります。戦闘もできないので」

右足を一歩、後ろに引いた時、真ん中の騎士が走り出した。

目の前まで来た時、木剣を両手に持ち上段で構えて振りかぶる。

僕はシールドを騎士の目の前に展開した。

(・・・・・!)

一瞬だけ、顔をにやりと笑った。

反射で右足に力を入れた後ろに飛んだ。


バリィィィーーーン!!


後ろに着地した時にはシールドが破壊されており、騎士はこちらにしたり顔をした。

「どうだ。無属性魔法は役に立たないだろ」

「そうかもしれないですね。でも、今使える魔法はこれしかないので」

(本当は聖属性以外全てスキルを取得したけど、今使うとどうなるか分からないからな)

騎士は目を細め、両手に持った木剣の切っ先を前に向けて構え、走り出した。

シールドを僕の前に、体全体を遮るようにあらかじめ展開する。

(・・・・・・・。)

騎士の持っている木剣がシールドに近づく頃を見計らい、二つ目のシールドを展開した。

形は正方形で、位置は走っている騎士の顔!


バァン!と顔が直撃。

「んんんんんんんん・・・・・・・!!」

その場で倒れ、顔を両手に覆い悶絶した。

僕は悶絶した騎士の両足、腰、腕ごと頭にシールドを展開させて拘束する。

「これで一人目ですが、部屋に戻り…」

後ろに控えていた二人の騎士に向けて言ったが、二人ともこちらに走って来ていた。

日はだいぶ偏り、暗くなってきたが顔は憤怒に染まっているように見える。

僕は体全体に魔力を覆い、身体強化を掛ける。

体全体が軽く感じる。きっと普通に殴るだけでもかなり威力があるかもしれない。

僕の左右に7メートルほど離れた位置に構えた

「一人倒すのは良かったが、頂けないなぁ」

左に構えた騎士がそう言った。

「では、どうすればよかったのですか?」

「大人しくやられりゃ良かったんだよ!」

僕の質問に右に構えた騎士が怒鳴ってそう言い、走ってきた。

右に体を向けて構えるが、後ろからザッ!ザッ!と音が聞こえる。

挟み撃ちで攻撃してくる。

(どうしよ!どうやって…!)

『私がやるわ!』

レイの声が聞こえた時、体が勝手に動いた。

両手を地面に置いて体全体を屈めて両足に力を溜める。

おかしな体制をした騎士はどこか笑った顔をし、縦に木剣を振り下ろす!

振り下ろす動きが少し遅く、木剣の軌道が見えてくる。

左の軌道は頭の頂点に向かっていた。

少し体を右に傾け、両足に力を溜めて思いっきりジャンプ!

それなりに高く飛んだようで、騎士の姿が上から見えた。そしてすぐに降下し始める。

すぐに両手を下に向けてすぐにシールドを展開。大きさは騎士二人を叩きつけるぐらい。

そのまま落ちていき、バリィィィン!とシールドが騎士たちに直撃する。

左の騎士は頭に、右にいたもう一人の騎士は上にかざした両手に直撃した。

一瞬の浮遊感を感じ、足を下に向けて無事に着地。

それぞれ直撃した騎士は、頭を抱えて地面に転がり、体を屈めることで両手を抑えていた。

『割とうまくいったわね。これであんたの体は私にも動かせることが出来るわ』

(今の動きってレイが動かしてたのか!)

「・・・・ぉい!てめぇ!俺たちをこんな状態にして良いのか!」

レイが言ったその言葉に衝撃を感じていると、両手を抑えていた騎士が怒鳴ってきた。

「こんな状態って・・・・。勝手に襲ってきたのはそっちでしょ」

「あぁ、そうだ。そして派手に負けたようだな」

いつの間にか近くまで足音が聞こえてくる。

その方向を見るとガントさんが歩いてきていた。

「・・・・え!?隊長!?なぜここに!?」

「どうも何かが割れる音がすると思って様子を見に来たら、何をしているのか…」

「えっと、お疲れ様です。エダンカさん」

騎士は戸惑いの声を上げ、ガントさんは呆れて、僕は労った。

「これはどういう状況だ?ロータ」

「そうですねぇ、えっと~」

「これは訓練なんです!隊長!」

僕が言う前に騎士が訓練と称した。

「ほぉ?訓練か。なぜシールドを使った拘束が消えていないのだ?」

ガントさんがこちらに顔を向けた。

「訓練らしいことをする前に役立たずとかなり馬鹿にしていたので、襲われないようにしています」

「俺たちはそんなことを言っていない!」

僕の理由に、騎士は馬鹿にしていないと反論した。

「はぁ、とりあえずお前は医療班を呼べ!けが人が出たとな!」

「は、はい!分かりました!!」

ガントさんはますます顔を抱えて、騎士に怒鳴って支持を出した。

「ふぅ、すまないなロータ。拘束しているやつを解いてくれないか」

「分かりました」

最初に倒した騎士の拘束を解き、ガントさんは二人を担いだ。


―――――――――――――――――――――――――――


医務室らしいところで残り二人の騎士を運んだあと、僕が寝泊まりしている部屋に移動した。

少しだけガントさんは戸惑ったように見えたが気のせいだろう。

「さて、いったいなぜ訓練をすることになったかな?」

「訓練ではなく模擬戦ですけどね。まず、」

一通り模擬戦を行った経緯をガントさんに話した。

廊下でのやり取り、中庭での戦闘をざっくりとだが。


「なるほど、だから拘束をしていたわけか。訓練だと拘束しながら続けることは無いからな」

ガントさんはしきりにうんうんと頷いていた。

「それで、私はどうなるんですか?牢屋か城内の追放ですか?」

「うん?それはどういう意味だ?」

ガントさんは不思議そうに聞き返した。

「騎士を負傷させたんです。何か罰を受けるのではと思いまして」

「あぁ、そういうことか。それは無いよ」

「え、そうなんですか?」

「なぜなら、ロータは魔法だけで格上の騎士三人を倒した。あいつらなら良い薬になる」

「でも、いられなくしてやるとか物騒なことを言っていましたよ?」

「それなら大丈夫だ。あいつらに罰を与えてやるからな」

わははは!とガントさんは豪快に笑った。

「まぁ、ロータには何もさせないようにする。これは絶対だ」

「それを聞くと安心ですね」

(一応は、だけど)

言葉では信頼を、心では不信感を言った。

『無駄に器用なことを…』とレイは呆れて呟いた。

「では、私は戻ることにする。あいつらの傷も見ないといけないのでな」

「はい、遅くまでありがとうございました」

「なに、仕方ないさ。部下のしつけがなってなかったのだから」

では、と部屋から出ていった。

僕はベッドに腰かけてはぁっ、と深いため息をついた。

(色々と大変だったな。魔法創作に戦闘に、おまけに騎士隊長のセルフサービス。展開に着いてけないよ)

『でも、これでああいうことはあまり起きにくくなったわね』

(そうかもしれないけどねぇ。疲れた。寝る)

横に転がり、目を瞑るだけですぐに意識を遠のいた。


―――――――――――――――――――――――――――


「それで、ロータの動きはどうだった?」

騎士が治療している医務室らしき部屋に騎士隊長エダンカ・ガントと手当てを受けていた騎士の三人が話していた。

「いやぁ、あれは驚きましたよ。シールドを破っても平然としていますし、どころかうまく利用して顔にぶつけて拘束するとは思いませんでしたよ」

「それは俺も驚いた。まさか顔に当てに行くとは思わなかったな」

「あれもすごかったですよ。上に飛びあがったと思えばまたシールドで叩きつけるなんて誰も思いつかないですよ」

「お前は良いよな。両手で守ったんだから。俺なんて頭に直撃したんだぞ!げんこつされた痛みを思い出しちまったよ!」

騎士たちはそれぞれの感想を言いあい、エダンカ・ガントさんに報告する。

訓練に参加せず、同じ中庭で無属性魔法のみ練習している朗太を見て、どのくらい戦闘が出来るのかを気になっていた。

他の勇者はかなりスタミナが付き、木剣ではあるが扱えるようになっているため、実際の剣を使っても問題ないだろうと考えているほどである。

対して、朗太は無属性魔法のみ練習しているので実力が測りかねていた。なので部下の騎士たちを朗太と戦わせてどれだけ動けるかを測ったのである。

もちろん他の勇者と同様に戦闘が素人であることは理解しているのであまり戦えないのでは?と予想していたが、良い意味で裏切られた結果だった。

「まぁ、無属性魔法を練習しているだけあってかなり自由に使ってましたね。あれはかなり強くなるんじゃないですか?」

「やはりそう思うか…。他の勇者たちよりはだいぶ上位に強くなるようだな」

エダンカ・ガントは感想を聞き、そう言った。

「憎まれ役を担ってもらい、申し訳ないな。もう少しやり方があったはずだが…」

「いえ、良いんですよ。あのロータってやつは気にしてたんですから」

「そうそう。それに噂を聞くとあまり食事も出されていないらしいですね。ロータの部屋はどうなってたんですか?噂だと汚い部屋に寝泊まりされているそうですが」

「あぁ、噂通りだった。本人はあまり気にしてないようだが…」

朗太の噂は数知れず、やれ無愛想だの汚いだのが多く、しまいには勇者のなりそこないと言われている始末である。

「体調はどうだ?すぐに回復できそうか?」

「えぇ、大丈夫です。明日には仕事に復帰できますよ」

他の騎士もうなずいた。

「三日後にはダンジョン探索の警護だからな。しっかり治しておけ」

ガントさんはそう言い、出ていった。

お読みいただきありがとうございます。

最近、活動のモチベーションが急降下中…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ