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異世界旅行 ー46歳悪ガキの異世界悪戯旅行?ー  作者: 戸口 央田
第1章:異世界へ飛ばされました
21/60

12.図書室と空想その2

よろしくお願いします。

図書室に向かう途中、自身に解析を掛けた。

------------------------

名前:古戸朗太 性別:男性 種族:人族

体力:100 魔力:400/6500

STR:25 DEF:10


スキル

解析 妄想・空想LV:MAX

無属性魔法 火魔法 水魔法 土魔法 風魔法 闇魔法


称号

【異界の者】 【二度目の生を生きし者】

------------------------


(魔力は増えたけど、それ以外に変動なしか…)

STRは5増えたが、微々たるものだろう。朗太自身、以前のSTRの数値は覚えていなかった。

道中、メイドたちがこちらを馬鹿にした目をしていたが気にしない。

図書室に着き、次はどのような本を探そうか考えていると、

『ねぇ。考えていたけどさ』とレイが言ってきた。

『妄想スキルなら魔法全般の技術全て使えるんじゃないの?』

(まぁ、そうかもしれないけど。無属性魔法で大いに役立ったし、何かある?)

朗太はレイの意図が分からずに聞いた。

『じゃあさ、本の記載された文字列を一瞬で理解できる魔法を創らない?』

(・・・・・。はぁ?)

いきなりの提案に朗太が思考が止まる。

(どうしたの?いきなり)

突拍子のない提案に戸惑い、聞き返した。

『一々本を開いて読むのって面倒じゃない?だから魔法を創って、開かなくても理解できるようにするのよ』

手元に収まっている本を一冊だけ手に取り、机に置いて椅子に座り、どうしようか考える。

(本の内容を一瞬で理解する魔法?それがあれば世界の魔法水準はかなり高いかもしれないけどさぁ…)

図書室の中は相変わらずランプらしいもので明かりを照らしている。もし魔法技術の水準が高ければもっと明るく照らすはずだ。もっとも、この図書室が利用されていない場合はただ単に整備されていないだけかもしれないが。

目の前に置いた本に視線を戻す。

(魔法を創るねぇ…。何もかも手探りなんだけど、レイはなんかアドバイスはある?)

『無いわよ。あんたは天才なんでしょ?自分で考えなさい』

(天才じゃないよ。…はぁ、提案しておいて方針も無しか)

そもそも何をすべきかも分からないんじゃどうしようもない。


適当ながら本に数分間、魔力を流してみた。

本に魔力が漂っていることを微弱ながらなんとなく感じる。

(ここからが問題。どうやって一瞬に理解するか?)

今分かっているやり方は、見えた文字を妄想スキルで読み込む方法しかない。

手順としては、本を読んで書かれている文字を妄想スキルで読み込み、記録した文字列を頭にインストール(詰め込む)する。


『魔法で文字を妄想スキルに文字を読み込ませることが前提ね』

(そもそも文字を読み込ませる方法すら見当つかないよ…。今は出来ないことだね)

朗太は諦めて、本を開いて文字を読み込む作業に移った。


―――――――――――――――――――――――――――


しばらく本を読んでいると図書室の扉が開く音がした。

誰かが入ってきたらしく、朗太は扉の出入り口に顔を向けた。

「やっぱりここにいたか」

入ってきた人はガントさんだった。

「こんにちは、エダンカさん。どうしたんですか?」

「ロータを探していて、メイドたちに部屋を聞いてたんだが知らないと一点張りでな。ここにいるかもと思ってな」

ガントさんは僕を探していたらしい。

何か御用でも?と聞くと、

「今朝の訓練で勇者たちに教えたが、もしかしたら聞かされていないと思って連絡に来たんだ」

連絡?と朗太は何か伝えられたかを考えたが特にない。

「どのような連絡ですか?」

「その様子だと伝わっていないな…。五日後に勇者たちとダンジョンへ連れていくことになった」

「・・・・・・はぁ!?ダンジョン!?」

朗太は素っ頓狂な声を上げた。

「いつ何時決まったんですか!?その話!」

「このこと自体は前から考えていたんだ。伝えたのは今日からだが…」

(・・・・ダンジョンかぁ)


ダンジョンとは、色々な形で存在する場所である。

入口は洞窟から地下、森に古く老朽化した町など、あらゆる場所に点在しているらしくそこには魔物と呼ばれる危険生物が住んでいるらしい。またダンジョンごとに罠や階層が深く、強い個体が出現する魔物もいるとか。

ただ、この情報は本からの情報である。実際はどのような場所なのかは朗太自身、分かっていない。


「いくつか質問してもいいですか?」

一応、質問してもよいか許可をしておく。この連絡はガントさんの気遣いだが、まだ信用は完全にできないためである。

「おう!いいぞ!もしかしてダンジョンに挑むことに憧れているのか?」

「いえ、そうじゃないです。では、」

朗太はいくつか質問をした。

1.どこのダンジョンに行くのか

2.時間はどのくらいの期間か

3.武器や食事の用意、人数はどのくらいで連れていくのか


それに対し、ガントさんは順番に教えてくれた

馬車で約半日で着く距離に「ペイリルダンジョン」と呼ばれるダンジョンがあり、そこに行くこと。

予定では二日でクラスメイト全員でダンジョンを経験させるらしい。

時間は早朝から出発するため、夕方には戻る予定になっている。つまり約1日。

武器は出発する前日に決める予定で、食事も騎士達から用意してくれるとか。

人数は勇者たちが多いためクラスメイト10名、ガントさん含む15名とで出発する。

ただし、担任である八塚(やつか)加奈子(かなこ)先生だけは心配なので二日間、生徒の様子を見ると申し出たとか。


ここまでまとめると、

1.二日で勇者たちにダンジョンを経験させてもらうこと

2.一日かけてガントさん含む15名の騎士たちと勇者10名でダンジョンに挑む予定

  ただし担任は二日、参加すること

3.武器、食料は騎士たちが用意する


朗太は最後に聞いた。

「言葉は悪いのですが、訓練しても戦闘ができない人もいるはずですし、多くないですか?」

「あぁ。私もそれを危惧していてな、前日まで参加するかどうか考えてもらっている」

(つまり、参加しなくてもいい、と)

「ロータはどうだ?参加するのか?」

「はい。参加しますよ」

ガントさんは躊躇いがちに聞き、その返答に目を丸くした。

「参加するのか?てっきりここで魔法の腕を上げるつもりかと思っていたが…」

「周りからの評価はエダンカさんも知っていますよね?なのでせめて戦闘は少しでも出来るようにしたいんです」

「・・・・・・・。」

ガントさんはこちらをじっと見て、押し黙った。

朗太は少し首をかしげた。

「どうしました?」

「数日前から無属性魔法の練習していたな。ロータにとってはどのくらい出来たと思っている?」

逆に質問されて、うーん。と少し唸って考え、

「戦闘にまぁまぁ使えるかな?って思っています。戦ったことは無いので何とも言えませんが」

と返した。

「・・・・。私も無属性魔法を使えるが、あそこまで精密に使える人は全くいないぞ」

「そうなんですか?でも無属性魔法って使えない魔法なんですよね?」

「実際には使えないわけじゃない。戦闘の補強や強化には重宝するんだ。これは他の属性魔法では出来ないことだ」

「・・・・・言われてみればそうですね」

剣に炎を纏わせようとすると火傷するかもしれないし、逆に水なら錆びやすくなるかもしれない。風は出来るかもしれないが使いては限られるし、土なんてどうやって纏わせるのか見当もつかない。

聖属性と闇属性は分からないが。


「それでも、使えないと評価されるんじゃないですか?無駄な練習してんなーって周りはそう見ているようですから」

「・・・なら、そうしておこうか。分かった。参加するんだな」

ガントさんは何処か諦めた表情をした。

「参加するなら聞いておくが、一日目か二日目、どっちに参加する?それと武器は何を使う?」

うーん、と考える。剣はろくに使えないはずだ。だから、

「一日目で参加します。武器は片手で持てる魔法を使える杖と、短剣の用意をお願いします。」

「ほう?両手剣や片手剣とかは使わないのか?他の勇者たちはそのように言っていたが…」

(すでにみんなは決めているんだな)と内心考えた。

なんとなく、全員参加する予定のようだ。

「私は力がないので、ろくに片手剣とかは使えないんです。なら、まだ扱いやすい武器を使いますよ」

「そうか。ならそうするかな。にしても、ここはほんと辛気臭いな」

武器の用意を了承し、この建物について行ってきた。

「かなり暗いですよね。他の方々はここを使わないのですか?本が大量にあるので貴重だと思いますが」

「いや、そこまで使う人はいないな。訓練や職務の教育はこちらでやるし、利用することはほとんどない」

「・・・・。そうなんですか」

(大量の本があるのに。知識を蓄えるにはうってつけなんだが…)

ここをほとんど使われないことに残念に思った。

「じゃあ、私は行ってくる。参加人数も増えたことだしな」

「あ、はい。連絡ありがとうございました。よろしくお願いします。」

「あぁ。了解した」

ガントさんは退室していった。

『時間は有限よ。早くダンジョンについて調べなきゃね』

「そうだね。ペイリルダンジョンだっけ?」

朗太は、本を片っ端から開いては関係するものを探した。


―――――――――――――――――――――――――――


本棚の数段は探したがダンジョンに関する情報がほとんどなかった。

そもそも大量にあるこの本を一冊ずつ見て調べるには量が多すぎる。

とても一人では探しきれず、かと言ってクラスメイトや使用人たちに手伝ってくれるかと言えば手伝わないだろう。

ペイリルダンジョンに関する情報と言えば、おとぎ話程度の情報しかない。

「こんなに大量の本は探しきれない・・・・」

『どうするの?時間は五日後よ』

「・・・・。魔法を創るよ。流石に効率が悪すぎる」

レイが言った一瞬で本の内容を理解する魔法を創ることに決めた朗太。

ただ、どう創るかは今も分かっていない。

「妄想すればできるかな。インクだけ識別出来れば良いけど」

やっつけでやってみる。

最初に魔力を込めていた本を手に持つ。

次にインクだけ魔力を集めるように集中する。

手始めに本の表紙に書いている「オートブ王国の歴史」に魔力を集めてみる。

魔力がじりじりと集まる感覚を忘れないように集中し続ける。

そこまで集中し続けて、今更気付いた。

(この方法って、魔力が見えるようにならないとできないんじゃ?)

『あら、今更気付いたんだ。気づくの遅いから言うタイミング図ってたんだけど』

(そういうの先に言ってくれてもいいんだよ!むしろ言ってほしかった!)

テーブルに頭をおいて項垂れた。

窓を見ると、日が暮れ初めていた。

(時間も時間だし、そろそろ戻らなくちゃ・・・・)

『今日はこれで調べ物は終わりね』

朗太は本を持ち、図書室を後にした。

お読みいただきありがとうございます。

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