勇気の証
まだ戦闘に入れません…。
「照さん!大丈夫ですか!?」
「お怪我はございませんこと?」
心配しながら来てくれたのは、言わずもがなセラムさんとウィルムさん。さっきまで自分が苦しんでたのに僕の心配なんて、二人は優しいなぁ。
「うん、全然問題ないよ」
その気遣いに笑顔で返す。実際何もないしね。
「どうして…確かに直撃したように見えたのに…」
「そうですわね…」
二人は俺の体をまじまじと見てくる。そんなに見られても何もないんだけどなぁ…。
二人の行動に冷や汗を流していると、不意に右手が暖かくなるのを感じた。
「ん?」
右手を挙げると、右手の甲が光っているのが分かった。
その光は徐々に小さくなり、光がなくなるとそこに五芒星の紋様があった。
「なんだろうこのマーク」
「なんですの?」
僕の声に反応してウィルムさんと、セラムさんが僕の手の甲に視線を移す。
「これなんだけど…何か知ってる?」
「「うーん…」」
見やすいように僕の顔の前に手を掲げる。
二人は手の甲の紋様を凝視した後、肩を落とした。
「分かりません…」
「私もですわ…」
「そっか、仕方ないね。それじゃあ行こうか」
「え?」
「何処にですの?」
僕の言葉に困惑する二人、あれ?もう忘れちゃったのかな?
「あのどうしようもない人の所だよ、まだ僕の怒りは治ってないんだ」
あそこまで人を貶めたがる人は、自分が貶められるまで自分の過ちに気付かない。
「無茶です!」
「そうですわ!照さんは此方に来たばかりで魔法も使えませんのに!」
セラムさんとウィルムさんは必死に僕を止めようとしてくれる。本当にいい人たちだ。
「心配してくれてありがとう、でも大丈夫だよ」
二人を安心させるために笑顔で話す。早く行かないとどうにかなっちゃいそうだしね。
「それに、僕こんなでも結構強いんだよ?」
僕の言葉に、二人は渋々といった様子で納得してくれた。
次こそは、戦闘に入ると思いたいです。