魔道学園
白い光がおさまると、何処かの知らない場所に居た。
「ここは?」
辺りを見回すと教室かな?ざっと40人近い人がこちらをじっと見つめていた。唖然とした顔で。
「ふふっ…それで、君たちは誰?」
「あわわわわっ!」
僕の真正面に立っていたピンク髪をロングくらいまで伸ばしてる中学生くらいの小さな女の子に声をかける。すると女の子はびっくりしたように飛び跳ねてガクガクと震えだすのだった。
「えーと…誰か状況説明をして欲しいんだけど…」
「すみません、いきなり貴方が現れたので驚いてしまって…」
僕の言葉に反応したのは横にいた教師みたいな女の人だった。30代くらいかな?
「自己紹介が遅れました。私はサラ・マグナードと申します。この教室の担任を務めています。貴方は?」
「僕は天野照です。それでサラさん?でいいのかな、此処はどこですか?」
自己紹介を済ませた僕は、サラと名乗った紫色の髪をショートで整えている女性に体を向ける。
「ここは魔道都市ラルフィードの首都、ラルフィードにある魔道学園ペンタゴンです。」
ラルフィード…聞いたことないな…まさか…異世界に…?
内心慌ててる僕にさっき慌てていた少女が落ち着いた様子で声をかけてくる。
「先ほどは申し訳ありません。初めまして、私はセラム・ラルフィード。この魔道都市ラルフィードを収めるラルフィード家の三女になります」
「あ、ご丁寧にどうも。天野照です」
学園の制服(でいいよねみんな同じの着てるし)のスカートを摘みながらお辞儀をするセラムさんに、僕も挨拶をしながら頭を下げる。
「それで、どうして僕は此処にいるんでしょう?」
頭を上げた僕はセラムさんにさっきの疑問をぶつける。おや?セラムさんの目が泳ぎだしたよ?
「そ、それはー」
「そちらにいるセラムさんが間違えて召喚魔法を使ったからですわ」
額に汗を浮かべて言い淀むセラムさんの代わりに答えてくれたのは金髪にウェーブがかかった僕と同じくらいの背の女の子だった。
「初めまして天野照さん、私はウィルム・シルーナ。シルーナ公国の第一皇女ですわ」
「初めまして」
セラムさんと同じように挨拶をしてくれるウィルムさん。蒼眞がいたら目をキラキラさせそうだなぁ…。彼異世界モノ大好きだし…。
細めの幼馴染のことを思い出しながら挨拶を返す僕。にしても気になることを言ってたな。
「ウィルムさん、召喚魔法って…」
あの足元に出た魔法陣のことだろうか。
「はい、私たちはただいま魔法の勉強中でしたの。そして実演をということになりまして其方のセラムさんが請け負うことになったのですが…誤って別の魔法を発動させてしまったのですわ」
親切に今の状況を説明してくれるウィルムさん。その説明でようやく自分の状況が見えてきた。
「なるほど、それで召喚されたのが僕だったってことですね」
まさか蒼眞が言ってたことが本当に起きるなんて、自分にびっくりだよ。
「申し訳ありません天野照さん。私が魔法を暴発させたばかりに…」
「気にしないでセラムさん、それよりも僕と一緒にもう一人召喚された気がするんだけど…見てない?」
「へ…?もう一人…ですか?」
セラムさんが僕の言葉を反復するように口にする。その反応だと知らないっぽいね、彼も来てるはずなんだけどなぁ…。
「知らないか…まぁ蒼眞なら自分で何とかすると思うし、気にしないで」
「は…はぁ…」
「それより僕はどうすれば?」
取り敢えず現状何もできないし、サラさんにどうすればいいか聞いてみる。
「そうですね、ひとまず学園長の所へ行きましょうか。何か分かるかもしれませんし」
顎に手を当てて考え事をしながら話すサラさん。
僕はその言葉に素直に従い、教室を後にするのだった。