閑話:レオンとリリィとアイリス
視点変更あり。
読まなくても大丈夫だと思います
ゴルドフ(レオンバルトの父親)視点
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授業を終えた後、今日の村の警備報告の書類を読みながら 家でくつろいでいた
む?これは…レオか?走って家に近づく気配がある。だが大人にしては小さい気配がする
「ただいまーーー!!」
やっぱりレオか。
こうゆう気配を読むのはすぐに衰えてしまうから、暇があったらできる限りやるのが最も効率がいい。
「おう!おかえりレオ。今日の儂の授業はどう、「そんなことよりも親父!聞いてくれ!」だった……なんだ?人の話は最後まで聞くもんだぞ」
レオが儂の話を遮るのは珍しいな。昔からも儂や妻の話を目をキラキラさせながら聞くのに・・・
それに今のレオの目はいつも以上に輝いていて、少し眩しく思えるほどだ
「俺、ノルンたちと一緒に冒険者になる!冒険者になって、俺が助けられる人たちを助ける!」
「お前は勇者に憧れてなかったか?」
儂に勇者が好きで自分も勇者になりたい、と言ってきたのは何時だったか…
勇者みたく困ってる人たちを助けたいと言った時に思わず嬉し涙が出そうだったなぁ
「冒険者でも勇者にはなれる!親父も言ってたろ?周りから認められればそいつが真の勇者だって。だから俺は冒険者として認められて、勇者になるんだ!」
確かに言った気がする、、、。儂らはいつかレオはこの村から出て世間を知るために出ていくだろうと思っていた。その時のために今のうちから鍛えておこうと。
まさかこんなにも早くなるとは思ってなかったが、特に反対する気はない
今までよりも訓練を少し(・・)増やせば実力は嫌でもつくだろう
「わかった。レオ、お前の信じる道を進んでけ。お前なら多くの人々を救えるだろう
なんたって儂の息子だからな!はっはっは!」
「おう!任せといてくれ、親父!」
話がひと段落したところで、成り行きを見守っていた妻・ケーラから声がかかる
「あんたたちーご飯ができたわよー」
「わかった!母ちゃん!」 「おー。今日の飯はんあだろうなぁ」
そこで今日の分の訓練のことを思い出した
「レオ、今日の分の訓練はやったか?」
「あっ!!そうだ。訓練残ってた…」
「今日中にやるんだぞ」
「うぁ~」
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グアルティネッサ(リリィの母親)視点
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「……ただいま」
「あら、おかえりなさいリリィ」
「……お母さん、私…冒険者に、なる」
私はとても吃驚した!リリィが自分ではっきりと物事を決めたのは今まで全然なかったから…
「……冒険者に、なっても、いい…?」
リリィの決めたことはなるべく受け入れてあげたい。けど、冒険者が危険なことはわかっているのだろうか?
「冒険者が危険だってことは分かってる?怖い魔物や動物とかを相手にしなくちゃいけないのよ?」
「……うん。…でも、なりたいの」
「・・・わかったわ。お父さんのことは任せて。私から説得しておくわ。」
「!…ありがとう、お母さんっ」
この子が冒険者になるとは思わなかったけど、この子には自信をつけてもらいたい。冒険者になって色んな経験をすると思う。そのことが自信を付けるきっかけになってくれれば良いと祈った
勿論、親心は危険な仕事に我が子を就かせたくはないけれど
この子の道を、危険だと言って遮ってしまうのもしたくない
幸いにも、この子は魔力が多いから何かしら魔法が使えると思う。エリンさんに鍛えてもらえるように頼んでみよう。
それに、私が祖父に叩き込まれた体術をこの子にも教えよう。あれは会得できればとても強力な武器になる。せめて身を守れる力を…。
おじいちゃん。どうかこの子を見守ってください。そして気まぐれでもいい。もし危険なことが降りかかりそうなら救ってあげてください・・・。
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イーサン(アイリスの父親)視点
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どうやら我が家の姫が帰ってきたようだ
「パパ、ママ、ただいまー」
「おかえり。アイリス」 「あら、早かったわね。おかえりなさい」
「パパ、あのね・・・その、」
アイリスが何か言いたそうにしている、、、あぁ!やっぱりアイリスはこの世で一番かわいい!親バカに思われるだろうが実際かわいいのだから問題ない。うん。
「なんだい?なんでも言ってごらん?」
「アタシ、冒険者になりたいの!お願いしますっ!」
私の全身に雷が落ちたような衝撃が走った…。私がすぐに答えられないでいたら、妻のサマンサが強めの口調で諭すように告げた
「ダメよ。許可できないわ。アイリスもわかっているでしょう?冒険者は危険なの
。お父さん(イーサン)だって冒険者をしてたけど、ケガで引退した話を教えたでしょう?」
確かに。私はケガをして引退した。そんなのは冒険者にしてみれば日常茶飯事のことだ。
だが魔物に殺されかけた恐怖は今でも忘れられない
あの時、犠牲になった仲間の顔も鮮明に記憶に焼き付けられている。
「…アイリスは、どうして冒険者になりたいと思ったんだい?」
私は冒険者になることをダメだとは思わない。実際自分も冒険者をしていたし、それが生きがいだった
「アタシは、みんなと冒険者になって、その横で一緒に世界を見たいって思ったの…。危険なのは理解してるつもり
だからちゃんと訓練もするし、努力するから、だから!冒険者になることを認めてください。」
そういって頭を下げるアイリス
こんなに真っ直ぐに思いを伝えられて私が断れるわけがないっ!
ただ、あの仕事の辛さを知ってるから条件だけはつけさせてもらう。
「そんなに頼まれちゃ断れないじゃないか。「っ!!あなたっ!」
私は冒険者になることに不満はないが、条件がある。絶対に守らなければならない約束だ」
サマンサを視線で黙らせて条件を提示する
「条件は、武器は絶対に弓を使うこと。敵の近距離には近づかず、距離を取りながら戦うこと。自分の命を最優先に考えること。
これらを守るなら冒険者になるために私が鍛えよう。」
「必ず守る!だからアタシを鍛えて!」
熱意をもった表情で答えるアイリスを見ながら、背後のサマンサの気配を探ると不機嫌なオーラを出してる…。これは、あとでお説教かな?
背中に冷や汗を出しながらアイリスに質問をする
「そういえば、”みんな”って誰のことだい?」
「え?その、ノルンたち」
ノルン君の名前を出した瞬間にアイリスの表情の中に、一瞬熱っぽさが混じったのをみつけた、、、
サマンサも見てたのだろう。そして今の私たちの心のなかは同じだろう
”もしアイリスがケガでもしたら許さない”と。
でも、今のアイリスを見てると、幸せそうな顔をしている。
きっと皆と共に歩めるのがうれしいのだろう
アイリスが発つその日まで、私は私の全てをアイリスに授けよう
そう誓ったのだった。
もっと少ない予定でスっと終わるはずだったんですが・・・笑
とりあえずの閑話です