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来世は異世界で  作者: 三日月
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個人戦準決勝:前編




『お待たせいたしました!舞台の準備が整いましたので、只今より、闘技祭学生の部・近接個人戦の準決勝を行いたいと思います!!』


会場に響くそのアナウンスに呼応するように、会場を埋め尽くす観客の全員が声をあげ、地面が揺れるような感覚を覚える。


『今回の対戦も一時も目が離せない戦いとなりそうな気がします!それでは対戦者の登場だぁ!!


 まずはミラーズ帝国学院から、ミラーズ帝国が誇る4大公爵家のうちの一つウォルホーク家から。シン=ウォルホーク!!!』


 シンは、行ってくる。と一言だけ言い、会場からの声援に応えながら舞台に上がってゆく。


「ねぇノルン。シンは勝てるかな?」


「さぁな。ただ勝つにしても負けるにしても簡単にはいかないだろう。シンは負けず嫌いだからな。ただ…」


「ただ?」


「…今回は相手が悪かったな」


「どうゆうこと?」


 俺の言葉に、質問してきたアイリスや待機している選手たち、先生も含めて俺を見てくる。


「簡単な話だ。相手のほうが強い。多分今までの戦闘でも本気は出してないはずだ。シンも含めて、今までの戦闘は全部見てきたけど、恐らくアイツが一年生の中でもトップクラスに強い。勿論シンも充分に強いのは認める。ただ、アイツのほうが強い。それだけだよ」


 俺の言葉にアイリスたちは納得がいかなげだ。まぁ気持ちは分からんでもない。


「なんでノルンはそう言い切れんだ?オレもずっと見てたけど、シンとどっこいだと思ったぜ?」


 そんなレオの言葉に同調するように、リリィが小さく頷いてるのを見て、苦笑がこぼれる。


「あー、まぁレオたちの言いたいことは分かる。ただ俺に出来てレオやアイリスやリリィに出来ないことがあって、それで偶々分かっただけだよ。レオたちは俺が魔力の流れが見えるのは知ってるだろ?」


 俺がそれを言うと、ウィルが俺の言葉に食いついてきて、顔と顔がくっつくんじゃないかっていう位の近さで問い詰めてきた。


「今言ったことは本当か!?おい!ノルン!!それがどれだけの事か分かって言っているのか!?」


「うぃ、ウィル、揺さぶるのはやめてくれ…」


 視界がグワンッグワンッと揺さぶられるのを感じながら、抗議の声を上げるが、ウィルの興奮は収まらない。


「ノルン!あんまり理解してなさそうだから先に言っておくぞ!他人の魔力の流れが見える奴っていうのは普通いないんだ!極々一握りの者にのみ許された、神からの贈り物!それほどまでに言われる特殊な能力なんだ!


 それをお前は何でもなさそうにさらっと言ったな!本当か?!本当に見えるのか!?」


 ウィルの質問に俺の周りにいた人たちは吃驚しながらも俺とウィルの成り行きを見ている。それもそうだろう。魔力の流れが見える者は基本的にいない。勿論俺が現在見えているのだから、過去にも見える人はいた。その殆どがその時代時代で活躍をした”英雄”と言われた人たちだけだ。まぁその人たちが全てではないとは思うが、歴史に残るというのは大体華々しく活躍した人か、その反対位だ。そういう前例があるから、魔力の流れが見える人は貴重な存在であり、その存在が分かれば、様々な国からスカウトが来る。


 大抵の要望なら通るし、一生生活には困ることはないだろう。なぜか。


「お前のその言葉が本当なら、僕は帝国の貴族としてノルンには言わなければならない事がある。


 帝国に其の身を尽くしてはくれないだろうか。これから一生の生活を僕の名と我がカーソン公爵家の名の下に保証し、後ろ盾ともなろう。僕の家でも足りないというならば、帝国4公爵家全てがノルンの後ろにつく」



 俺は瞳を細めてウィルに問う。


「……それは、俺に帝国のために戦争をしろということか?」


「それは…」


 ウィルが顔を歪めながら、言葉が詰まる。

 それもそうだ。なぜ魔力の流れが見える者を確保したいか。


それは単純な話、この世界の全てにおいて魔力とは無視出来ないものだからに他ならない。


 人にも動物にも魔物にも、道端に落ちている石や生い茂る草木に至るまで、全てのモノには魔力か存在し、大なり小なり流れている。そしてその流れが見える者の最も簡単な利用方法が戦いだ。


 戦う時には魔力の流れが活発になる。そして身体の動きよりも早く、体内では魔力が次の動作に向けた動きをしている。それが見える者にとってはそれは相手の動きが完璧に捉えられるヒントとなる。

 相手が魔導士だった場合は、魔力の流れでどれくらいの規模、威力、発動タイミング、極めれば属性なども流れだけで判断できるようになる。


 今まで過去に魔力の流れが見えた人たちは戦いで名を遺した人たちが多い。勿論戦い以外でも役に立つのは多い。相手がどれだけポーカーフェイスを極めた者でも、中の魔力の動きまで制御できる奴はそうそういない。もし、流れが見える者が医者をすれば、身体のどこが悪いとかも一目で分かるだろうし、研究者ならば、また新しい魔力に関する法則なども見つけられるかもしれない。暗殺者だったならば、確実に相手が死んだか一目で分かる。

 どのようなことであれ、莫大な可能性を持つ事であり、国が確保したい理由である。それは国にとっての利益が大きいから。


だが


「ウィル。悪いが俺は帝国に身を捧げる気はない。ましてや戦争なんてものは真っ平ごめんだ。戦争ではなくても、俺は俺の目標のために自由に生きると決めている。その一つとして俺は冒険者になったんだ。


それはどのような国からスカウトが来ようが、脅しを受けようが変わらない」



俺の言葉を聞いてウィルは目を瞑り、少しして息を少し吐きながら分かった。と告げた。


「・・・ノルンの気持ちは分かった。僕も友達としてノルンのこれからを応援したいと思う。ただ、これだけは言わせてくれ。


 このことは秘密にするべきだ。これがバレればそれこそスカウトが嫌になるほど来るだろう。そしてノルンがスカウトに応じなければ、害しようとする愚か者も出てくる。だから絶対にこれからは秘密にしなければダメだ。いいか?」


 俺のことを尊重してここまで言ってくれるウィルに感謝しながら、俺は告げる。


「大丈夫だ。俺も流石にそこまで馬鹿じゃないからな。既に周りには結界も張ってあるし、ここでの会話は伝えられないように魔法を組んである。みんなには申し訳ないが、俺の自由のために魔法で縛らせてもらうよ。ごめんな?」


 俺がそう告げると、周りのみんなは吃驚しながらも、気にするなと笑ってくれた。ウィルも苦笑をこぼしながら俺から少し間を開けて座りなおした。


「それで?ノルンが見た感じ、相手はどうなんだ?」


「そうだな。とりあえず・・・・・・」



 俺はウィルやアイリスたちからの質問に答えながら

 シンの相手。恐らく俺と決勝で戦うであろうレイモンドと呼ばれる無表情な少年を見つめた。



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