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来世は異世界で  作者: 三日月
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閑話:手紙


お久しぶりです。三日月です。


久しぶりです。ええ本当に。笑

まさかここまで時間を取られるとは思いませんでした。少し時間が出来たので、閑話で準備運動しなくては…

それではどうぞ!





『前略。父さん、母さん、元気にしてますか?俺は元気に過ごしてます。実は村を出てから………


草々。ノルンより』



「よし、こんなもんか」

俺は村を出てから初めて手紙をしたためた。


「ノルン、出来た?」


「あぁ。アイリスたちも終わったのか?」


「皆ノルン待ちよ。結構長く書いてたのね」


「そうか?まぁいい。じゃ、早速出すか」


「そうね。ギルドに行きましょ」


「ん?」


「え?」


どうやらアイリスはすっかり忘れてるようだ。


「いや、アイリス。村に結界張ってあるから、ギルドから出したって届かないぞ?許可がないからな」


「あっ!」


みるみる赤くなる頬と耳を見ながら苦笑する。


「じ、じゃあどうやって届けるのよ?」


俺は無言で魔法を発動させる。呼び出すのは狼の眷族


『ワフッ!』


「コイツに持って行かせる。結界にも弾かれないからな。それじゃ、頼むぞ」


眷族は手紙を食べて収納した。実際は闇の収納魔法によるものだから食べるという表現は違うのだが。


アイリスも自分の手紙を眷族に収納させる。レオとリリィもやってきたので各々手紙を差し出して収納させていた。


『ワウッ!!』


「それじゃあ無事に届けてくれ」


「魔物とかに気を付けろよ!あと野生の獣にもな!それと、……」


心配なのか、レオが色々と言い聞かせているのが面白い。


「……がんばって」


リリィはギュッと眷族を抱きしめてモフモフを楽しんでいた。


なんだかんだで昼頃に眷族は村に向けて出発した。


---


村にて


『ワフ!』


「ん?狼の……いや、犬??」


「バカ。こりゃギルさんがよく使う眷族とかだろ。見た目が少し違うが」


「バウ!」


「お?収納魔法?」


「手紙か?……ノルン君たちからだ。アイリスちゃん、レオ君、リリィちゃんからも!」


「なら俺ゴルドフさん呼んでくる!」


「おう!ならこの狼はノルン君の眷族か。お前さんもよく運んでくれたな。ありがとう」


「ワフ!」



---


保護者達視点


・ゴルドフ視点



「ゴルドフ団長~」


「なんだ?そんな急ぎで。魔物でも出たのか?」

儂の許に走って来た周辺警備の若いのが息を整えながら、封筒を手渡してきた


「ハッハ…ふうぅ~…。団長宛に手紙です」


「手紙ぃ?」

今の儂に手紙を出せる者?村の結界を通り抜けてこれる人物は限られている。勿論その限られた人物は信頼の置ける者しかおらんが…はて?今更儂に手紙を書こうとする奴がいるだろうか?


「なに気難しい顔しているんですか?」


「いや、儂に手紙を出してくる人物に心当たりがなくてな……」


「あ~、そんなに考えなくても居るじゃないですか。まぁその辺は手紙を読んでからにして下さい。俺はまだ手紙を届けるんで」

そういうと、若いのは颯爽と走り出していった


「・・・まぁ読んでからでもいいか」

この手紙が村に届いてから、村がお祭りモードになるとはこの時点では思ってもみなかった・・・。



---



・グアルティネッサ視点


「姐御さーん、居ますか~?」

コンコンッと気持ちのいい木の音が響き、数秒後に、はーい。とグアルティネッサが顔を出す


「あら、どうしたの?あなた今日は警備の担当日でしょ?勝手に出てくるとゴルドフさんにシバかれるわよ?」


「あははっ…俺は姐御に手紙を届けにきたんですよ。はい、リリィちゃんから」


ぬっと差し出された手紙をグアルティネッサは反射的に受け取る


「えっ!あの子から!そういうことは最初に言いなさいよね!手紙を届けてくれてありがとね。今度ワインか何か持ってってあげるわ」


「マジですか!やったー!あ、まだ届けるとこあるんで俺は行きます。それじゃ姐御、さようなら」


「はーい。ばいばーい」

走っていくのを見送ってから、グアルティネッサはいそいそと手紙を読み始める


「ふむふむ…へぇ~そんなことがねぇ……えっ!男の子と一緒に闘技祭!?あ、あなたぁ~!」


グアルティネッサが目にした一文を簡単に言うと、『学園で出来た男友達に誘われたから一緒に闘技祭に出ることになったよ。予選も無事に通過したから最近は偶に練習もしてる。』である。

だが、リリィの事を愛してやまないグアルティネッサと、父親として娘と時間を共にしている男がどんな野郎なのかを確かめなくては!と、謎の使命感を燃やしているエイデン。


そしてこれから手紙を読むサマンサ・イーサン夫婦(特にイーサン)の暴走によって、クレール村のお祭り騒ぎが加速してゆく…



---


・イーサン視点



「イーサン副団長、俺です」


「ん?なにかあったのか?」


徐に出された手紙をイーサンは受け取る。


「いえ、ついさっきノルン君の眷属と思わしき狼…いや犬?…まぁその眷属から手紙が届けられたんで、俺が預かって届けに来ました」


「そうかっ!ありがとう。つまり、これは…」


「はい。アイリスちゃんからの手紙ですね」


「そうかそうか!アイリスからの手紙か!わかった。届けてくれてありがとう」


「はい。では俺はこれで」


「あぁ。」


ふふふ。あぁアイリスからの初めての手紙だ。アイリスが村を出てからは心配で心配で仕方なかったが、手紙を出せるということは無事に余裕もそれなりにできたということで間違いないだろう。

あぁ早くこの手紙をサマンサと読んで額縁に入れて寝室に飾っておきたい。家宝にしたい。


しかし、この手紙を読むことでイーサンが暴走するのはまた誰も知らなかった。


『アタシ、ノルンと一緒に・・・・・・・学園の闘技祭にでるの!パパとママは見に来れないかもしれないけど、アタシ頑張るから!終わったらまた手紙書くからね。元気でね。アイリスより』



---


・ゴルドフ視点


「団長、どうしましょう…」


「どう、と言われてもなぁ…」


「ギルバートさんとエリンさん、今旅行中ですからね…ノルン君の手紙渡せませんね…」


「流石に儂らが勝手に見ることは出来んからなぁ」


「どうしましょうね」


う~んと皆で唸っていると、偶々ウォル爺さんが通りかかった。


「あ、ウォル爺さん!丁度良かった、少しこっちに来てくれないか?」


「ほっ?ほいほい。してなんじゃ?」

若いのが爺さんに説明をしていく


「ってわけなんだよ。ウォル爺さんはギルバートさんたちが行った場所知ってるか?」


「う~む、生憎じゃが儂も聞いておらんなぁ」


ダメかぁと諦めかけたその時


「じゃが、魔法でどこの国に居るかくらいならわかるぞい」


「本当か!よろしく頼む。ノルン君の手紙を届けてあげたいからな」


「ほっほっほ。まぁこの老いぼれに任せときなさい」


ウォル爺さんは、俺たちから少し離れたところで地面に何かの魔法陣を描きはじめ、描き終わったのかブツブツと詠唱を始めた。少しすると魔法陣の上にギルバートさんとエリンさんの姿が映った。その隣のギルバートさんに少し似ている男性と共に。

この人は確か…


「ほっほ。今はクローフィ帝国に居るようじゃの。」


「みたいだな。隣に映ってたのは現皇帝のシュバルツ皇帝だろう。さて場所が分かったことだし、誰が届けに行く?」


儂が皆に尋ねたとき、以外な人物が立候補した


「ほっ。なら儂が行こうかの。少し外に用事もあることじゃし。」


「いいのか?持ってってくれるならありがたいんだが・・・」


「なぁ~に、爺竜に乗っていけばすぐに着く。心配するな。万が一盗賊やらが居たとしてもこんな老いぼれのジジイなんか襲ってもいいことなんてありゃせんからのぅ」


『・・・そりゃぁ襲ったら最期。いつの間にか死んでるんだから、いいことなんか起こりっこないよ。』と、皆言葉にせずとも表情がそう語っていた。


「んんっ!とにかく、そういうことなら爺さん頼んだ。あとギルバートさんたちにもよろしく伝えといてくれ」


「ほっほ。任された」


爺さんはすぐさま召喚をすると軽々と竜王の背に飛び乗り、クローフィ帝国に向けて出発をしていった。


「…さて、儂らは仕事に戻るぞ。」


「うぃーす」


「りょーかーい」


と、部下の声を聴きながら其々の持ち場へと戻るのであった。

なおその数十分後にイーサンやグアルティネッサ等が興奮気味になってゴルドフの所まで押しかけ、その後村全体を巻き込むまでに騒ぎが広まるとは、この時誰も予想すらしていなかった。





読んでいただきありがとうございます。

今回は手慣らしとして投稿しましたが、これからも更新頻度は低いと思います。意外と纏まった時間が取れないので。これからもよろしくお願いします。


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