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来世は異世界で  作者: 三日月
47/72

シン=ウォルホーク


どうぞ!






俺たちはシェイとの思いがけない再会をしてからもミーシャさんの処で勉強したり、様々な依頼を受けたりと充実した日々を送っていた。


時には依頼人に会いに行くと見た目が子供ということで追い返されて凹んだり

『子供の癖に生意気だ』とギルド内で俺たちよりもランクが低い冒険者に絡まれたり、逆に『これからも頑張れ』や『応援してる』と言われて嬉しくなったり。

『くっ、エルフの魔法まで知っているなんて……こうなれば…!』とミーシャさんが凹んだり、盛り上がったりと濃密な時間を過ごしてきた。


そしてとうとう新たな年を迎え、帝立学園の入学試験日になった。

俺は学園のことよりも、やっと合法的に酒が飲めるようになることで内心は一杯だった!



「それじゃあ、頑張ろうな!」


「終わったらまた集合しましょう。」


「……すぐに、終わらす。……一時間、で」


リリィ、一時間で試験は終わらんだろ…


「おう、それじゃ後でな!」



試験は事前に申し込み用紙を提出して、試験番号をもらうという感じになってる。番号はランダムで、俺たちも見事にバラけた。

ただし、この試験だけは貴族とそれ以外を分けるシステムになってる。なんでも、同じにしたら諍いが多かったようだ。主に貴族が一般人を見下して。


学園において、貴族と一般市民は平等に扱われる。それは公然の事実なのだが、試験にはそれを解っていないバカ者もくることがあるそうで、こういう措置が取られるようになったらしい



「さて、俺の場所は、と」


用紙に書かれた教室に行き、用紙と同じ番号が書かれた席に座る。チラリと周りを見渡すと、みな真剣に少しの緊張を加え試験の開始を待っていた。

周りの人たちには悪いが、ぶっちゃけ試験に受かろうが落ちようがどちらでも構わない。冒険者として、それなりに安定して生活は出来ているし、勉強もある程度は自分で出来る。なので俺もレオたちも気楽に試験に臨める。まぁ、ミーシャさんには悪いが。



『もうすぐ試験を始める。皆、正々堂々試験に臨んでくれたまえ。不審な行動をとる者はすぐさま失格とする。では、しばし待て。』


真面目そうな男性がそう告げてから試験用紙を配り、時計を見ながら開始時刻を待つ。

学園の試験は、一般教養の問題、面接、騎士や冒険者志望の者は近接戦闘や魔法などの実力試験などもある。



『それでは、開始!』


一斉に用紙をめくり、問題を解き始める。

えーと、最初の問題は…

【神聖ミラーズ帝国の歴代皇帝の中で、己を『最も愚かな皇帝』と称し書物に残したのは誰か?】


あぁ、これは簡単だ。この感じの試験なら大丈夫かな…?

そんな風に思いながら俺は黙々と空欄を埋めていった。




---------------------------------------------------------------------------




「123番の者、入ってくれたまえ。」


「はい。失礼します。」

やっと俺の番がきた。依頼中などには決して感じない時間の進みの遅さを感じながら待って、やっと俺の番だ。面接はありきたりな質問ばかりですぐに終了し、唯一、冒険者ランクがDということで驚かれただけだった。

そして今は実技の試験だ。


「さて、まずは自己紹介をしてくれたまえ」


「はい、自分はノルンと言います。歳は14です。現在は冒険者として仲間と活動しています。ランクはDです。」


「ほう、その歳でもうDまでいっているのか。それは素晴らしいな。これからも頑張ってくれたまえ。

 では早速だがそこの案山子を剣で斬ってみてくれ。」


俺は用意されていた剣で案山子を斬ってから姿勢を戻す。


「ふむ。綺麗に斬るな。それでは今度はあちらの案山子に傷付けてみたまえ。方法は問わない。」


指さされた方向を見るとざっと3.40メートル先に案山子が用意されていた。

取りあえず光の魔法で案山子を撃抜くと、少し驚いたのか、目を開きながらつぶやかれた。


「おぉ、まさか魔法まで使えるとはな…。……うむ、もうよいぞ。ご苦労だった。」


俺は礼をしたのち、部屋を出て集合場所に向かうために歩を進めた。





俺がゆっくり歩いていると、もうレオ達は全員集まっていたようで

合流してから、簡単な依頼でも受けに行った後にアイリスとリリィの買い物に付き合うことになった。


依頼よりも、アイリスとリリィの買い物の方が長かったのは余談だ…。



---------------------------------------------------------------------------



合否発表の日。学園にてデカい掲示板に合格者の番号が出される。

俺たちは番号はバラバラだが、番号が若い順で確認していった。


「……あった」


「あ、アタシも!」


「俺もあったぜ!」


3人とも自分の番号を見つけ喜んでいるが

「・・・ない。」


「「「ゑ?」」」


俺の一言で一気にお通夜ムードになってしまった。合格者は番号順に出ているため、探すのも楽なのだが

掲示板を見てみると121・122・124と丁度俺の番号は抜かされている…



「よ、よく探してみようぜ!見落としてるかもしれねーし!」


「そ、そうよね!ほら、何かの間違いとかで違う場所にあるかもしれないわ!」


「……あ、見つけた、よ?」


「え?!」


リリィが俺の番号を見つけてくれたらしく、リリィの指が示す場所を見てみると


【主席合格 123番ノルン  222番シン=ウォルホーク 】


「えぇ!?」


「すげぇじゃんノルン!トップだぜ」


「レオの言うとおりね!今日はお祝いしましょ!」


「……スゴイ。」



えぇ…トップで入れたのか…はっきりいってまだ自覚が出てこない…。確かに簡単な問題が多かったけど。

もしかして入学式とかで挨拶とかやらされるんだろうか…でももう一人貴族っぽい感じの人がいるから、依頼で行けないことにして押し付けようかな…


などと考えていると、職員らしき人に『君がノルン君かい?話があるから来てもらっていいかな?』と言われ、レオ達に先に帰ってもらい俺は職員の人についていった。


ある部屋についてから中へと入った。そこには同い年くらいの男子と年配の男性職員がいた


「失礼します。」


年配の男性に座るよう勧められソファに座ると、すぐに口を開きこう告げてきた。



「初めましてノルン君。私は学園の副学長を務めている者だ。そして君の隣の男の子は君と同じ主席で合格した、シン=ウォルホーク君だ。」


そこで隣の男子、シンに『よろしく』と握手し副学長に向き直る。



「君たちは主席合格、つまり試験で最も成績が良かった。そしてこの学園は毎年新入生の主席学生が在校生並びに教員へ向け挨拶するのが伝統なんだが、今まで同点で主席ということが無くてね…そこで君たちの意見が欲しいのだが、2人一緒にやるかい?それともどちらかがやるかい?」


俺には渡りに船だ!



「すいません、俺は辞退させて頂きたいです。少し依頼をしないと生活が…」



「そうか…そういえば君はその歳でDランクの冒険者だったね。その歳で己で仕事をこなし生活するのは大変だと思うが頑張ってくれ。

ギルドに確認したところ、君と君の仲間の評判はすこぶる良いと聞いておるよ。

ではシン君、君に新入生代表の挨拶をしてもらいたいだが、よろしいかね?」


「わかりました。謹んで承ります。」


…すまないシン君。俺はどうしても代表挨拶なんてやりたくないんだ…!


話は以上のようで、俺とシンという男子は帰るのを許可された。

校門付近まで一緒に歩いて、軽く挨拶して別れようと思っていたら、シンの方から話しかけてきた。



「ノルン、だったよな?私はシン・ウォルホーク。ウォルホーク公爵家の者だ。」


おっとぉ、家名あるし貴族っぽいとは思ってたが、とんだ大物がでたな。



「俺、いや私はノルンです。帝国近くの村出身です。あ、一般人です。シン様。」


「あ、いやそんな畏まらないでくれっ。この学園で貴族・市民などの差別は禁止されているし、私もする気などない。

それに私は次男で兄上が家を継ぐことは決まっているから偉い訳でもないしな。気楽にシンと呼んでくれ。」



おー、貴族ってもっと傲慢なイメージがあったから、シンみたいな奴は気楽でいいな。

というか公爵家に連なる時点で充分偉い存在だと思うぞ?一般人の解釈だと。



「わかったよ。俺のことも気楽に呼んでくれ。」


「あぁ。ノルンこれからよろしくな!」


お互いが握手したところで、少し遠くからシンを呼ぶ声が聞こえた。



『おーい、シーン!』


『終わりましたの?』


『皆で出かけに行かないか?』


「すぐ行く!知り合いが呼んでいるから行く。それじゃあなノルン。」


「あぁ。またなシン。」



歩いていくシンを横目でチラ見したのち、俺もレオ達と合流するためにギルドに向け歩き始めた。

…はっ!合法的に酒が飲めるってことは、アイリスがお祝いって言ってたから、ギルドで飲める!!暁光が!一口サイズだけど。


ゆっくりなどしてられないと、俺は人の隙間を縫うように走ってギルドに向かった。




---------------------------------------------------------------------------




「アイツがお前シンと同じ主席の奴か」


わたくしが負けるとは…絶対学園で見返してやりますわ!」


「落ち着きがないアメリアには無理だな。」


「な、なんですって!」



私は和気藹々としている幼馴染たちを眺めながら、ノルンの事を考えていた。

私たち4人は帝国に現存する4つの公爵家の人間だ。幼い頃から互いに遊んだり勉強したりし仲が良く、周囲からは期待もされてる。

私やアメリア、ウィリアムなどは兄・姉がいるのでその予備としての安心感の方が強いが。


まぁそんなことは貴族として、まして公爵家に生まれれば普通の事で、逆に兄上を支えられると私は嬉しかったものだ。他の者は分からないが。


客観的な事実として私たち4人は成績で言ったら、得手不得手はあっても学園の中と比較しても良いほうだろう。実際、今回の試験順位でもトップ10入りは全員している。これは事前にも予測は出来ていた。

私たちは予備でも公爵家という責任ある立場。馬鹿は許されない。”知識は時に剣や魔法よりも勝る”と教えられ育ったのだ。愚かなままではいられない。


が、そんな私たちと成績が上な者がまさか一般市民から出てくるとは思わなかった。よほど勉強したのだろう。しかも冒険者という職をしながらだ。それもDランク。見た目は女性に人気が出そうな優男なのに。人は見かけによらないな。



ノルンの他にも、2位にリリィ、4位にアイリスという恐らくどちらも女の子が入っていたり、6位でグレイと同点でレオンバルトという者。それ以降は点差が開いていたため、余り気にしてない。



「おい、シン聞いてるか?」


グレイがしかめっ面を私に向けながら聞いてきた。


「あ、あぁすまない。考え事してた。なんだ?」


「だーかーらー、これからどこ行くかってことだよ。合格祝いに飯でも行くか?」


「そうだな。そうしよう。」


「決まりですわ!わたくしの行きつけのお店に行きましょうっ」


「…また女性向けの店だけはヤメテくれよ?僕もシンもグレイも居心地悪かったんだから。」


あーあの時はきつかったなぁ。広い店内で男は従業員を除いて私たちだけで、周りからは軽く睨まれていたからなぁ…


「あら、そうでしたの?ウィル、もう少しそれを早く言って。大丈夫よ、今度は普通のレストランですもの。」


「なら構わない。」


「決まったんなら行こうぜ。」


「そうだな。」



私たちはアメリアのおススメの店に向かい馬車で移動し始めた。…そしてアメリアに任せたのを後悔したのは着いてからだった。




はい新キャラです。

取りあえず名前だけでも。

シン=ウォルホーク、アメリア=ヴァルピッツ、グレイ=ミストリアム、ウィリアム=カーソン

帝国4大公爵家の子供らです。


詳しいのは設定資料の方にのせておきます。

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