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来世は異世界で  作者: 三日月
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"賢者"ルシフェル




午後を2時間位過ぎてから賢者の屋敷で本の整理を始めて、早くも夕方になってしまった。


それまで延々と本を整理していたのだが、多すぎて全然終わってない。



「ふぅ。いやぁ助かるよ~。短時間でここまで終わるんなら一週間あれば大体片付くね!」



あはは。と笑ながら語る賢者に引きつった笑いしか出ない…。これをあと6日半やるのか?!


だが、俺とは逆に3人とも一層やる気を出している。



「じゃあ今日はここまでにしようか。君たちは何処か家に住んでるの?それとも宿?」



「宿です。」



「そう。なら少し時間あるかな?休みがてらお互いにお喋りしようよ!自己紹介でもいいし。


半日も本の整理してたから疲れたでしょ?」



どうする?と訊いてくる賢者に、そういえばこの人の名前すら知らないと思い了承した。

依頼主の名前を知らないのもどうかと思うが、今度から気を付ければいい。



それに賢者と仲良くなっておくのも今後のためにいいかもしれん。



「よし!じゃあ何か飲みたいものあるかい?紅茶とか苦手なら果実のジュースあるよ。」



俺以外は皆ジュースを選んだ。この世界のお茶も美味しいと思うんだけどなぁ。紅茶に限らず。



「分かった。少し待っててね!」



上機嫌に飲み物を淹れに行く賢者が、どこか笑えた。あんな感じでも帝国に、皇帝に優秀と認められて特殊な貴族位を貰うほどなのだ。



人数分の飲み物をテーブルに置いて賢者が話し始めた。



「ん~、先ずは自己紹介といこうか!


僕はルシフェル。一応この国で"賢者"って呼ばれてるけど、そんな大層なものじゃないから気にしないで。

友達みたいにルシフェルでもルシーでもいいよ!」



「俺はノルンです。冒険者に成り立てのFランクです。」



「オレはレオンバルト!ノルンたちと同じ冒険者でFランク。レオンでいいぜ!よろしくルシフェルの兄ちゃん!」



「アタシはアイリスです。同じランクの冒険者です。よろしくお願いします。」



「……私は、リリィ。……今度、魔法を、教えて下さい。」



「ノルン君にレオン君にアイリスちゃん、リリィちゃんだね!よろしくよろしく!

僕が教えられることなら教えるよ!リリィちゃんに限らず皆にも。


僕も君たちに興味があるからね!」



興味を覚えられることは(魔法のこと以外)してないはずだ。

頭の上に???を浮かべていると、ルシフェルさんが口を開いた。




「ノルン君の使った魔法のこともあるけど、君たちの年齢で武器・防具とかの装備とかが充実してる。普通の子供では不可能だ。


最初は貴族かな?と思ったけど、これでも一応の貴族として他の貴族たちは覚えてる。細かい親戚までは知らないけど、その子息とかの中に居ないと記憶している。


それに貴族とかは実践向きの武器や魔法とかを使うのは稀だしね。」




人は見掛けによらないなぁ。能天気というか軽い感じなのに。



「あ、それと強盗に使った魔法のことは、騎士には僕が放った魔法って事にしといたから。


まぁ僕でも禁忌の魔法を使ったってバレたら皇帝とかに怒られるから、開発中の魔法って言っといたよ。」



「それは…ありがとうございます。本当なら誰にもバレないように使ったんですけどね……。」



「え、ノルン危ない魔法使ったのかよ!?」



「他にやりようあったでしょ?!」



「……私が、殺っても、良かったのに。」



わるいと3人に謝っておく。

リリィが怖いこと言ってるが、リリィは本気で殺る。敵には一切容赦しないからなぁ…。



「…君たち何歳だい?というか誰に教えを受けたらそんな力付くのさ?


普通なら魔法なんて生活で使う分使えれば良いみたいな世の中なのに、実践でも通用する位のを使えるなんて。」



「「「「14です。」」」」



「…。はぁ、まぁいいよ。君たちは帝国には学園に入るために来たのかい?」



「学園、ですか?」



そういえば村でウォル爺さんが話してた気がする。

こっちの反応をみてルシフェルさんはアレ?って顔をした。



「違うのかい?君たちみたいに他国や地方から出てきて冒険者でお金貯めて、帝国の学園に入学する子もたまにいるから、そうなのかと思ったんだけど。」



学園か。前世で老後になってからだけど近くの大学に行って勉強したなぁ。懐かしい。



「学園か~。どんなとこなのかな?」



「レオン君は気になるかい?」



「ん~、どんなことやってるのかは気になる。でもオレは冒険者になったし、今は実力を伸ばしていきたいかな。」



「そう。


学園では 様々な事を教えてるよ。

基礎の教養から、望めば戦い方や商人としての知識・冒険者を望む者に対しての授業とかもあるよ。


それに貴族も平民も皆平等の概念なんだ。もちろん王族でさえも。もし権力や暴力で物事を解決しようとしたら学園から永久追放されるし、貴族・王族の権力を使って平民に不利益を与えると、帝国からの罰が下る。


それが例え他国の高位の貴族でさえも。前例もあるから、学園で横暴に振る舞う輩は、そうそういない。


もし興味があったら4人とも入ってみたら?年齢の制限はないから。

僕もたまに授業するときもあるしね!


ただ入学試験があるんだけど、今年はもう終わったから次になるけど。」




ここら辺は流石に勇者が作った国だけあって前世と似てるな。



「もし機会があったらそうします。でも今は冒険者として力を付けていきたいかと。」



ルシフェルさんはニコニコと笑いながら、俺の考えに理解を示してくれた。



「ん~、、、っと、そろそろ休憩も終わりにするか。宿ならそろそろ御飯の時間だろうし。


あ、今日の分の報酬持ってくるね。」



背を伸ばしてからスタスターっと何処かに歩いて消えていったルシフェルさんが戻ってきた。



「はい。報酬の銀貨2枚。」


渡されたのは其々に(・・・)銀貨2枚が入った袋だった。



「え?一人銀貨2枚なんですか?それに報酬は達成してからギルド経由で支払うんじゃ…?」



「僕の気が変わっただけだよ。1日につき1人銀貨2枚を報酬とするよ。」



貰い過ぎな気がするが、依頼主が良いなら良いのだろう。



「「「「ありがとうございます!」」」」



「うんうん。それじゃあ明日からもお願いするよ!あ、夜でも治安は良いけど、絶対ではないから気を付けて帰りなね!」



賢者に見送られながら、俺たちは宿へと帰った。








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー









「ルシフェル様。」



「……毎回毎回、君たちは後ろからしか現れることしか出来ない呪いでも掛かっているのかい?」



ノルン君たちが見えなくなってから僕の背後に現れたのは、目元以外全身黒づくめの帝国の暗部の一員だ。何か帝国からの用が有るときによく来る。



「申し訳ありません。ですがこれは最早職業病といえるものですので、お気になさらず。」



「背後に人がいきなり現れたら気になると思うけど?


…まぁいいや。で、何かあったの?」



「いえ、皇帝陛下より書状を預かって参りました。ご確認のほどをお願い致します。」



「了解了解。あとで見とくよ」



「・・・前回同じことを言って見てなかったではありませんか。今回は見ておいてくださいよ?」



「信用ないなぁ。後で見るって。後で。」



「本当にお願いいたしますよ?……それでは。私めはこれで失礼いたします。」



そういいながら背後から気配が消えた。


はぁ、面倒だ。ひたすら魔法のことを研究してたらいつの間にか賢者なんか呼ばれるようになってしまった。


本物の”賢者”には程遠く及ばないけど、この称号に恥じぬように頑張っていると思う。うん。紅茶の淹れ方も上手くなったし。



それにしても、ノルン君たちは面白い。個々人が其々優秀なのに、お互いに反発し合わないように纏まりを見せている。あの歳であれほどの実力があると、大体の者は増長し成長が止まる。また他人を見下す傾向になるのが多い。

学園でも少数だが居る。


彼らに稽古をつけた人物に興味が沸いたが、それとなく訊いても明確な答えは帰ってこなかった。



「ん~・・・気に入った。」



久しぶりに魔法以外に興味が沸いた。人に興味が沸いたのは何時ぶりだろうか?



「それじゃあ、今日はもう休むかな。」



今から明日以降が楽しみで仕方ない。



そう思いながら僕は心地よいベッドで眠りに就いたのだった。




あ、手紙は・・・・・・明日起きたら読もう。明日・・・





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