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来世は異世界で  作者: 三日月
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記憶




「っし、今日はここまでにしとくか!」



「「「「ありがとうございました」」」」



ゴルドフさんの掛け声でチームワークの訓練が終了する。

冒険者として旅立つ事を決め、それまでの4年間を訓練で鍛えてもらう約束をした日。

その期限があと1ヵ月もない。



今まで着々と実力を付けてきた自信がある。4人の連携も、ゴルドフさんたちに誉めて貰える程にまで昇華した。

個人としても其々の力を伸ばした。




レオンは、恵まれた体格と力を活かし、ランスと盾で前線を支える。

背が高く体格が良いから構えた時は様になって格好いい。


リリィは、未だに喋るまでに少しの間があり声も小さいが、魔法を使う時は凛々しくなる。

魔法も綺麗に構築されてる。


アイリスは、召喚獣との連携と、気配察知・気配を消すのが上手い。弓矢の腕前も凄い。

動く的に狙った場所を的確に撃ち抜くのは、並大抵では出来ない。



レオンとアイリスは能力も頑張って鍛えていたから、それなりに使えるらしい。本人たちはまだ納得してない。




「ノルン?」

俺がそんなことを考えていたらアイリスが顔を覗きこんできた。

アイリスとリリィは、女の子の中にも女性を感じる事が多くなってきてる。昔から一緒に居るが、それでもたまにドキッとする。



「大丈夫?」



「ん?あぁ。大丈夫大丈夫。少し考え事してただけ」



「そう。なに考えてたの?」



「んー?アイリスかわいいなぁって」



「んなっ!!?な、にゃにを!!」



「あっはははは!」

赤面しながら噛んだ様子に思わず笑ってしまった

でも可愛いのは本当だ。



「それじゃ、俺の家はあっちだから。またな!」



追及を避けるために別れの挨拶をした俺に、其々が返してくれた。




「楽しそうですねノルン様」

俺から出てきたノアが言う。



「ん、楽しみだよノア。頼もしい仲間と旅をするんだからね。村の皆と一時の別れになるのは少し寂しく思うけど」



「そうですねぇ。皆さん会った時より確実に実力は付いてますから、自信を持ってもいいですよ。


…ノルン様、記憶の話は何時するのですか?旅立つまで1ヵ月もないですよ?」



「あー、そうだよね。出るまでには言う約束したからねぇ……。」



「不安、ですか?」



「そうだねぇ、……不安だね。」



「そこまで不安に思うことはないと思いますよ。

お二方とも優しいですし。」



ニコっと笑ながら言うノアに勇気を貰い

言う決意を固める



「……それなら言ってみようかな」



ノアと喋りながら歩いていると、もう家に着いた



「それでは、私は見守っております。(ノア)は何があってもノルン様の味方ですから安心して下さい」



そう言い残すと淡い光と共に俺に入っていった



「はぁ、まぁやるしかないか」

頬を叩いて軽く気合いを入れて家に入って行った。










―――――――――――――――――――――――










「それで、話ってなにかなノルン。」

夕食後、両親に時間を作ってもらって、前世の記憶の事を言うことにした。




「ノアが俺と契約する時の理由で、俺の魂が変わってるって話をしたと思うんだけど、

あれは、俺が前世の記憶を持ってるからなんだ」



「前世の?」



「うん。俺は前世で死んで、神を名乗る人に転生させてもらった。その時に記憶を消さないように頼んだんだ。


・・・・・・それでも今は記憶を消さなかったことを後悔し始めてる。



前世の俺の、”タカムラユキオ”のわがままによって、記憶を取り戻す前の”ノルン”を乗っ取ってしまったんじゃないかって…



前世で戦争を通して、散々命の尊さ・大切さを身をもって知っていたのに…

それなのに、間違った選択をして”ノルン”という存在を消してしまったんじゃないかって。父さんと母さんの子を。

それが怖かった。



だから、許してほしいなんてことは言えない。ただ謝りたい。このことを今まで黙っていたことにも。



・・・申し訳ありませんでした。」




深く頭を下げる私を多少強引に顔を上げさせて、母さんが目に涙を溜めながら頬を叩いた。


分かってはいても、心が暗く翳りそうになった私を、今度は優しく母さんに抱きしめられた。

わけが分からない私に、父さんがいつもと変わらぬ声で、表情で告げる。




「ノルン。僕とエリンはそんなこと・・・・・で見限ったりしない。たとえノルンに前世の記憶があったとしても、ノルンはノルンで僕たちの愛おしい子だ。

今までも、これからも。


エリンが君を叩いたのは、ノルンに僕たちが信用されていなかった事への悲しさによるものだ。決して憎くて叩いたわけじゃない。

だから謝らないでほしい。自分の存在を否定しないでほしい。」



「そうよっ!ノルンは私がお腹を痛めて産んだ子で、そんな痛みよりも比べようもないくらいの幸福をくれた子よっ!

たとえ記憶があってもいいじゃない。それを含めて”ノルン”なんだから!」



そんな二人の姿に私は呆然としつつも、いつの間にかは泣いていた。



「だから私は申したでしょう?御二方は優しいと。」

いつの間にか俺の傍に立っていたノアが言う。



「あり、がとう……ありがとう。」




久しぶりに流した涙は、壊れたように暫く止まらなかった。

それでも嫌な感じは一切感じなかった。






--------------------------------






「もう大丈夫。ありがとう母さん。父さんにノアも」

涙が止まるまで優しく抱いていてくれた母さんにお礼を言って、改めて両親に向き直る。



「すっきりしたかい?ノルンが僕たちの前で泣いたのは久しぶりだね。」



「そうだね」

少し気恥ずかしいから素っ気なく答えてしまった

そんな様子に微笑みながら父さんからの質門がくる



「差支えなかったら、ノルンの前世の事を教えてくれないかい?僕も色々な人達と出会ったけど二つの記憶がある人は会った事ないし

それに、もっとノルンのことが知りたいんだ。」



「私も知りたいわっ!」


「私もです。


三人にお願いされて俺は話し出す



「俺は、私は前の名前を”篁 幸雄”という。篁が家名で幸雄が名前。


日本という国で生まれた。父さんの”師匠”が作る刀、日本刀と呼ばれるモノは、日本独自の武器なんだ。多分、師匠って人は日本人の鍛冶職人から技術を受け継いだんだと思う。

私が刀のことを知ってたのも、元々の知識であったから。


で、私が丁度生まれた時代は近隣諸国との緊張が高まっていて、いつ戦争が起きてもおかしくない状態だった。そして、私が成人を迎える何年か前にとうとう戦争になってしまった。

最初は軍人のみが戦っていたんだけど、次第に劣勢になっていった。そのうち、まだ大人にもならない年齢の者でも戦争に駆り出されるようになった。


私もそのうちの一人だった。その時は国のために戦うことが自分の使命だと思っていた。それで死んでも本望とさえ感じていた。敵を一人でも多く倒して、自分たちの手で戦争を終わらそうと。

だけど、そんな現実は甘くなかった。


私たちの住んでた世界には魔法が無い。」



一同が首をかしげ、母さんが質問してくる

「魔法が無いの?剣で戦うの?」



私は首を横に振って、続きを話し始める



「この世界みたく魔法はないし、剣で戦う時代は疾うの昔に終わっていて、代わりに銃というモノを主に使っていた。

魔法は無いけど、各国は技術で素人でも簡単に出来る人殺しの術を模索していった。そしてその技術の結晶を携えて私たちは戦争に行った。


緊張と興奮と恐怖が入り混じった状態で戦地に行き、隊を組まされて、歩兵として参加した。仲間たちと共に与えられた作戦に身を投じていったけど、そこで見たのは、地獄ともいえる惨状だった。

敵味方関係なく死体が山積みになって、自分の隣では、さっきまで会話していた仲間が身体に無数の穴を空けて死んでいたこともあった。


いつ自分の番がくるのかと、身体を恐怖に震わせながら、私を含めてほぼ全ての仲間が思ったことだろう。そして、私たちも敵に追い詰められてしまった。もうダメかと思った時に、敵側からの投降勧告がされた。

心身共に限界だった私たちは、武器を捨てて捕虜となった。」



「・・・ノルン、辛いならそれ以上は話さなくていいよ?」

父さんがそう言ってくれるが、ここまでくると話した方が楽になれるかもしれないと思い、首を振る



「そして、捕虜として生活を送っていたある日、戦争が終結したことを知った。

自国の敗北で。

それから私を含めた捕虜は5年間敵国に捕らわれたままだったが、その後に解放された。


最初は生き残った仲間と国に帰れることを喜んでいたけど、帰国して待っていたのは、労いの言葉ではなく”売国奴”という罵りだった。

捕虜として投降したのが国を売ったと判断されたようで、それからは周囲の人たちから蔑みと罵りの言葉を吐かれ続けた。


父は戦死しており、母は周囲に耐えられずに衰弱の末に死んだ。私も何度も絶望したけど、死にたくはなかった。

そんな私を支えてくれたのが、許嫁のユキという女性だった。

それからは二人で故郷を離れて、人との接触の少ないところに引っ越して過ごした。



戦争に敗れた後、国は脅威的なスピードで発展していって、世界でも裕福で・平和な国の一つとして数えられるようにまでなった。戦争の面影を残さないかのように。

娯楽に溢れ、道行く人々には笑顔が溢れる、そんな夢見た時代にまでなった。

ユキとは戦後もずっと一緒に暮らしていて、私の中でも最も幸せの時間だった。


その後85歳にして、私は寿命で世を去った。最愛のユキを残して。


そして、死後の世界で神に出会い、今のに至るってわけ。」



流石に明るい話題ではなかった為に、最後を軽い感じで言ってみた

俺の思いを感じとったのか3人とも苦笑しながらも、その目には労りと優しさと悲しみなどを織り交ぜて俺を見ていた。



「・・・そうだったんだね。ごめん。気軽に聞いていい話じゃなかったね。」


「いや、俺が語りたかっただけだから、気にしないで」


「…ねぇ、ノルン。85歳で死んだって言うけど、いくら何でも早すぎない?」


母さんの疑問も、この世界の住人からすればもっともだ。こっちの85歳ならまだまだ現役だし。



「俺が元居た世界だったら、長生きした方だよ。下手すると、もう頭が呆けてきて自分のことすら分からなくなったり、寝たきりになったりすることも珍しくないからね。

それでも、俺の居た国は世界的に見れば寿命は長い方なんだ。」



「へぇ、そうなのね。興味深いわ」


「ノルン様、その世界にはどのような種類の者たちがいるのでしょうか?魔法が無いとエルフ種など魔法が得意な種族はなにを使っていたのですか?」



ノアが首をかしげながら訊いてきたため、恐らく信じないであろう答えを言う



「人間しかいない。勿論、動物などはいるけど、エルフや吸血鬼、天使や悪魔・堕天使、獣人族など、この世界にいる種族は確認されていない。

物語の中での存在ならばいるけど、現実の世界では人間しかいない。」



「!?そうなのですかっ!人間がすべての種を滅ぼしたとかではなく?」



「…流石に大昔は分からないけど、知ってる中でそういう者たちが居たっていうのは無い。」


俺の言葉に、多少複雑な色を瞳に出しながらも頷く3人を見て、俺は少し笑いそうになった。






その後も色々と3人からの質問や思い出話をしていたら、もう真夜中となっていた。






「あー、もう随分と遅いね。流石にもう休もうか。ごめんねノルン、こんなに長い時間。」



「大丈夫だよ父さん。それにこの時間の御蔭で、大切なことを学べたし。俺も昔話できて、気が楽になった」



「そう。それじゃあ、また今度聞かせておくれ。

さっ!もう寝よう!明日もあるんだ。お休み、ノルン」



「ノルン、お休みなさい。明日は少し遅く起きてもいいわよ。」



「ノルン様、おやすみなさい。」



「分かったよ、父さん母さん。じゃ、3人ともお休みなさい」




綺麗に礼をするノアが身体に吸い込まれていった後、自室に戻りベッドに横になる。

今までの悩みがなくなったためか、それとも泣きつかれたのと話し疲れたのか

を閉じると直ぐに深い眠りへと誘われていった。



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