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来世は異世界で  作者: 三日月
15/72

検査と糸と相棒と



魔物襲来の時を訓練開始を3か月後→1年と9か月後にしようかと。


それでは続きです




今日は何か検査があるらしい

俺たちは母さんを、軽く手合わせをしながら待っていた。



「遅れてごめんね~。探すのに手間取っちゃって。

さぁ!今日はみんなが楽しみにしてた検査をやりまーす!」



パンパカパーンっと効果音が付きそうなほどテンションが高い母さんが

数枚の鉄製?のカードらしきものを持って宣言するが

何の検査か分からず首をかしげ、とうとうレオンが質問する。



「おば「ん?」…エリンさん!何の検査するんですか!?」



「それはねぇ、みんなに”能力”があるか調べてみようと思いまーす!

この特殊なカードに血を垂らすと、その本人にだけ能力の有無が分かるの。これを使って検査をするのよ。」



へー、能力すら調べられるモノがあるのか。便利なもんだな。

俺はあの神から直接貰ってるから知ってるが、みんなには能力はあるのだろうか?



「まぁ、能力を持ってるのは稀なんだけどねぇ。私やギル、ゴルドフさんやアルティも持ってないしね。

持ってる人の条件とかもわからないから、持ってなくてもあまり気にしないでね。


あ、能力っていうのはね、一人ひとり違ったその人固有の特別な力で、使えるととても便利なの。

魔力を使って発動するのと、常に発動し続けてるモノと二つあるのよ。


で、今回はみんなにその力があるかを調べてみようって思ったの。」



説明を受けてレオンがすかさず手を挙げると思ったのに、アイリスが真っ先に名乗りを上げた。



「エリンさん、アタシやってみてもいいですか?」



「ええ。いいわよ~。そのカードの上に血を垂らすだけでいいから。」



少し緊張しながらアイリスが血を垂らすと、カードが淡い光を放ち、またすぐに元に戻った。



「どう?アイリスちゃん?…あ、自分の能力とか知られたくなかったら言わなくてもいいのよ!情報が漏れるのは何かと危ないし」



「いえ、みんなになら大丈夫です。アタシの能力は、任意の相手に自分の意志を伝えられる力みたい。念話みたいなものかしらね。


これならアタシと相性いいかも!」



確かに。弓使いのアイリスが能力を使って、俺たちに矢を放つタイミングだとかを教えてくれるのは助かる。



「よさそうな能力だな!アイリス。」


「うん!ありがと。次ノルンもやってみたら?」



ん~俺はあるの知ってるしなぁ。でも、ここで断るのも変に思われそうだ。



「…そうだな。やってみよう。」



母さんからカードを受け取り血を垂らす



「…ノルン、どうだった?


アイリスたちが俺をみながら訊いてくる



「俺にもあったよ。効果は、努力すれば可能性が広がるみたいな感じだな。」



「あらぁ。二人ともあるなんて凄いわねぇ。アイリスちゃんは魔力を使う典型的なタイプで、ノルンは常時発動してるタイプかしらね。」



「ハイ!ハイ!次俺がやってみる!」


レオンが待ちきれないといった感じで、いそいそとカードを受け取り血を垂らした



「ッ!!! 俺にもあったぜ!効果は、なんか自分と装備を硬くできて強化する感じだな」



「レオン君もアイリスちゃんと同じで魔力を使うタイプね。じゃあ、最後にリリィちゃんやってみようかしらね。」



リリィは無言で頷きながら、俺たちと同じように血を垂らした。

カードが光った後、少しして気付いたらリリィが肩を震わせながら泣いていた…



いきなりリリィが泣き始めて、俺たちや流石の母さんも慌ててしまった



「あ、あら?リリィちゃんどうしたの?!もしかして痛かった?すぐ治すわよ!」



「ど、どうしたんだよ?!リリィ?」



リリィは首をフルフルと横に振ってから、消え入るような声で教えてくれた


「……私、ぐすっ、能力…ない…。…みんな、あるのに…」



それを聞いて、ついさっきまで盛り上がってたレオンも困ったような顔をしてしまった。

そして、すんすんと泣いているリリィを、母さんは優しい声色で慰めながらリリィを抱きしめた



「大丈夫よ。多分リリィちゃんは、能力が無かったからノルンたちから仲間外れになっちゃった気がしたのよね?

でも大丈夫よ。そんなことで仲間外れになんて皆しないし、能力が無くったって

リリィちゃんには私が教えた魔法と、アルティの体術があるでしょ?


 それにもし、そんなことで仲間外れにでもされたら、私やアルティやギルが

地獄を見せてやるわ!


だから能力がないことで落ち込まないで。確かにみんなと違うのは寂しいと思うかもしれないけど、リリィちゃんはリリィちゃんなんだから。ね?」




母さんに慰められ少しは落ち着いたところに俺たちも話しかける



「母さんの言う通りだ。俺たちは能力の有無で、友人や仲間を決めているわけじゃない。今までも。そしてこれからも変わらない。」



「そうよ!アタシたちにはリリィが必要なの。リリィはアタシの大切な友達だし仲間だもん!」



「ノルンとアイリスの言う通りだ!だから、これで涙を拭けよ。リリィが泣いてると俺たちも悲しくなるからさ。な?」



レオンが差し出したハンカチを受け取ったリリィに母さんが



「ね?私の言った通りでしょ?皆お友達で仲間なのよ。」



リリィは一度俯いたあと、かわいい笑顔で俺たちに答えてくれた



「……うん。みんな、ありがとう!」





俺はそんな穏やかな時間がゆっくりと流れていったように感じた。






--------------------------------






ちょっとした出来事があったが、その後は各々比較的自由にしていた


レオンは、能力を発動させるコツをつかむために。

アイリスは、母さんから矢への属性付加の効率を上げる方法を。

リリィは、また新しく覚えた魔法の訓練を。


俺は幻術と魔法をどう組み合わせようか考えていた。



「ノルン。ちょっと来て。」



母さんに呼ばれ近くに行くと



「これから、ノルンに教えたいモノがあるから少し移動するわよ。


みんなー、ちょっとノルンと出てくるから少し待っててねー!」



レオンたちも素直に返事をし、俺は母さんに連れられて少し離れたところに行った


「何をするの?」



「ノルンに私のとっておきの一つを教えようと思ってね。

…ちょっと動けるか試してみて。」



母さんの言葉に疑問を抱きながら俺は動こうとするが、なにかに縛られたような感じで全然動けない!



「なにをしたの?全然動けないんだけど…」


「今ね、ノルンを魔力で縛ってるの」


「魔力で?でも、魔法を使った感じはしなかったよ?」



「これは魔法とは違うの。それに正確に言えば、魔力の糸で縛ってるのよ。

 私は魔力糸まりょくしって呼んでる。指先から魔力の糸を出して操ってるの。


コレの利点は、ただの魔力の糸だから気付かれにくいし、どこからでも出せて自由に操れ、なにより結構丈夫なところ。

慣れれば一本の糸で20キロ程度まで持ち上げられるしね。

ただ欠点として、これを維持するのに常時魔力を使うから、ずっとは使えない。


それでも、使えるととても便利なのよ。

コレをノルンに教えてあげるわ」



「よろしくお願いします!!」



にっこりと母さんが笑い、俺もつられて笑う


「それじゃあ、指先に小さくを空けましょうか♪」


片手に針を持ってゆっくりと近づいてくる母さんに、俺の笑みが引きつる…



「ま、まって!なんで針??」



「指先に針で穴を空けると血が出るでしょ?その血が出る感覚で魔力を出せばうまく出来ると思うのよ。

 言葉よりも体感した方が早いかなって。それに私は治癒の魔法も出来るから安心して!」



どこにも安心できる要素がない!

あ、魔力糸で動けないっ!!



そんな俺に母さんは容赦なく針を刺していき、俺は地味な痛みに悶えながらも

早く終わらそうと、必死に感覚を覚えようとした・・・







--------------------------------







「お、エリンさん、ノルンおかえり。ん?ノルン顔色悪いけどどうしたんだ?」



「いや、ちょっと・・・・針が怖くなっただけだ・・・」


 あのあと更に2回やらされた……


「?」


「レオン君何でもないわよ。それよりも能力のコツは掴めたかしら?」



「それが、全然分からなくて…」



「そうねぇ、私も能力はないからあまりアドバイスになるような事は言えないけど

とりあえずレオン君の能力の効果だったら、身体全体に魔力を流すようにしてみたらどうかしら?」


「身体全体に…わかりましたやってみます!!」



簡単に話を逸らされたレオンに苦笑を浮かべながら、母さんは今日の訓練の終わりを告げる



「さて、今日はこの辺にしましょうか!朝早くからで皆も疲れたでしょ。

 それに丁度お昼の時間だしね。みんなお疲れ様でした!」



 「ありがとうございました!」と俺ら全員で母さんにお礼を言って解散となった。







家に着くと、父さんが家の前に立って待っていた。

そういえば最近姿を見なかったな。一週間って言ってたけど二日位過ぎてるし



「待ってたよ、エリン、ノルン。」


「おかえり父さん」


「あなた、おかえりなさい」



「ただいま。ノルン、武器を新しく作ったから受け取ってほしい。

 

 刀を作るのは久しぶりだったから、ついでに師匠の処まで行ってノルン専用に作って来たんだ。

 しかも師匠によると刀に名前があるんだ。」



そう言って俺に刀を渡す父さん。受け取ると、不思議としっくりくるような感覚があり

試しに抜いてみると、思わず見とれてしまう程の刀身が現れ溜め息をしてしまった。



「その刀の名前は『幻刀・霞ノ夜げんとう・かすみのよ』というんだ。

 師匠曰く、僕の息子にぴったりの名前って言ってた。


それと、その刀の刀身に薄く溝が彫ってあるのわかる?それにノルンの属性魔力を流すと、刀身に魔力付与がしやすくなるんだ!」



俺は父さんの説明を聞いて、物凄く興奮してた!!俺のためにここまでのモノを用意してくれた父さんと、師匠に感謝が尽きない!



「ありがとうっ!本当にありがとう父さん!大事にするよ」



「よかったわねノルン。こんなにいいモノを貰ったんなら、これからもっともっと頑張っていかなきゃね♪」


「うん!」



「喜んでもらえて安心したよ。今まで僕が作った中でもトップクラスの出来だと自負してる。勿論まだまだ満足はせずに精進してくけど、今の僕の持てる技術をすべて出したものだよ。


今のノルンに合わせてるから、旅立つ時にはまた新しいのを作るか、改造するけど

とりあえず今はこれで。」



「充分だよ!むしろここまでのモノが貰えるなんて想像すらできなかったから。

 これで午後の訓練を早くやりたくてしょうがないよ!」



「あははっ。そうだね、そうしたいんだけど僕はこれから調査の事で色々あるから、出来るのは調査に行ったあとかな。」



「そっかぁ、残念。でも調査も必要だからしょうがないね…」



「分かってもらえてよかったよ。それじゃ、お昼を食べようか。

 この3日間師匠の処でずっと籠ってたからエリンの料理は久しぶりだ!」



「うふふっ。それなら今すぐ用意するわね♪」





俺はこの新しい相棒かすみのよを両手で抱きながら、両親の後を追っていった。






本当は一昨日のうちに上げるはずが、操作ミスで本文が消えまして

書いた内容も少し違ってるんですがなんとか書きました



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