心の在処part1
死神ちゃんことダーチェ・リリスと
契約を結んだ俺は次の日の夜
再びあの教会に行くのであった。
「伊吹や、待っておったぞ!」
死神ちゃんは林檎飴を食べながら
満面の笑みで俺を待っていた。
「おうっ!死神ちゃん!
さっそく契約者としての仕事を
しにきてやったぞ」
リリーはムッとして表情で
俺を睨んでいる、林檎飴のように
顔を赤くしながら
「死神ちゃんって言うなバーカ
まあともあれ仕事の説明に入る!」
キリッとした表情になり
林檎飴を俺に向けてきた
「人を5人救わねばならぬことは
知っていると思う。ここからが重要じゃ!」
「人を救うと償いの証が手に入るらしいのじゃ
それを集めて、この十字架と共に
教会の祭壇に祀ると罪から解放されるのだ!」
っと何故か胸を張りながら
俺を見下すように話している
「まあ用件はわかった、けどどうやって
人の命を救うんだ?簡単な事じゃないだろ」
リリーは俺に近づいてきて
魔方陣を描き始め十字架を前にだした
「見よ伊吹。」
すると十字架が光を放ち始め
独りの女の子の映像が流れ始めた
「わしは死神じゃ。死を間近にしてる人を
感知することができる。最初はこの娘を
助けることにしようぞ」
真面目な顔をしたリリーが
十字架を背中に戻し魔方陣を
また描き始めた
「死神ちゃん。この娘を助けるに
しても情報も居場所もわからない
いったいどうするんだ?」
「この娘は赤峰花-あかみねはな-
高校2年生。クラスでイジメを受けていて
人間を信じれなくなっている。
孤独のあまり、心の傷が大きくなっている」
深刻な話につい聞き入っていた俺は
傷ついてる人を助ける覚悟を決めた。
「流石、死神ちゃん
協力するから頑張ろうな!」
死神ちゃんは照れていた。
「誉めるでない。だが....
また死神ちゃんと呼んだら
お前の命を奪うぞ」
っと冗談か本気かわからない
感じで言っているが
正直あまり気にしなかった
「さあ行くぞ伊吹!」
魔方陣が光を放ち。意識が飛んだ
「おいっ起きるんじゃ伊吹」
気がつくと俺は
自分の通っている学校の前にいた
「ここは空花高校、しかも外は
明るいし....って朝になってる!!」
「フッフッフッ、そうじゃここに
1目の救助者赤峰花がいる。」
驚きのあまり座り込んでしまっていたが
立ち上がり死神ちゃんの肩に手をのせる
「でっ!俺は何をすればいいんだ?」
死神ちゃんは俺の手を払い飛ばし
指を立てて
「伊吹にはまず、赤峰花と接触してもらう
相手の本心は直接きいてこそ、わかるものだからな
わしの姿は伊吹意外には見えないようにしておる
傍にはいるから安心せいっ!」
不安で仕方がないが
まあなんにしろ契約をしてしまったのは
事実だし、とりあえず赤峰花を探すことにした。
2年生の教室は東校舎の2階にあり
とりあえず歩いて向かう
教室は2-A,BCDと4クラスあり
探すのがめんどくさかったので
廊下にいる女子に聞くことにした。
「あのすみません、赤峰花さんは
なん組にいらっしゃいますかね?」
するとその辺にいそうな
普通の女子高生が
「あーあの子ね......B組にいるわよ
貴方は赤峰さんの友達なの?」
「違いますよ、ただ話したいことが
ありましたので!」
女子高生はソワソワした感じで
「まああんまり関わらないほういいわよ
じゃあまたぬ」
っと言いどこかへ歩いて行った
疑問に思った、関わらないほうがいい?
そんなに悪い子なのか?
色々悩みながらもB組の教室についた。
死神ちゃんが小さな魔方陣を描くと
赤く光始めた
「死の匂いがするのじゃ、あの子じゃ」
っと言いながら指を指す先に
黒髪で長い髪をしていて
見た目は普通に可愛い女の子がいた
「あの子が赤峰花さん??
イジメられるようには見えないけど」
死神ちゃんは俺の頭をベシッとチョップした
「バカ、わしを信じよ
人間は望まない運命に遭遇する者も
多々いるのじゃ。ほれ見ろ何かおきそうじゃ」
死神ちゃんに言われた通り赤峰さんの方をみると
赤峰さんの周りを囲むように
女の子が3人たっていて何かを言っていた
「何であんたは人と話さないのよ」
「気味悪いのよ。だから友達できいんだよ」
「両親もいなくて可哀想に」
っと笑いながら言っていた。
見ていられない俺はつい赤峰さんの所に
いってしまう
「すみませーん、赤峰さんに用が
あるんでちょっといいですか?」
っと女の子達と赤峰さんの間に入り込む
死神ちゃんのほうをみると
グーポーズをしてる。
「あんた誰よ」
「もしや赤峰さんの友達?」
「ありえないよ、赤峰さんは人が
嫌いだもんねー」
目が輝くような真っ赤に染まり
女の子達を睨み付けた。
すると女の子達は記憶の一部が
消えたかのような状態になった。
「あれ私達なにをしてるのかしら」
「ちょっと早くいきましょ」
自分でも何が起きたのかは
わからなかったが、不思議な力を感じた
すると死神ちゃんが近づいてきて
心の中で話をした
「伊吹いま不思議な力を感じたでしょ?」
「やはりか、お前の仕業か!」
「それは私との契約の証の1つ
死神の眼球。眼球が真っ赤に染まり
相手を睨み付けると一部の記憶を消せるの」
「そうだったのか、何かよく
わからないけど仕事をはじめるよ」
お互いアイコンタクトをとり
俺は赤峰さんに声をかける。
「あの始めまして1年生の夜風伊吹です。
大丈夫でしたか?嫌ですよね、あーいう
人の気持ちを考えない人達」
すると赤峰さんは俺の目をみて
呆れた顔をしながら
「あんたは正義の味方のつもり?
これが原因であの惨めな女の子達が
余計私に絡んできたらどうするのよ!」
っとやや怒りながら言ってきたが
そこは冷静になって話をすることにした
「違いますよ。俺は赤峰さんの噂を聞いて
会いに来たんです。赤峰さんは人を拒絶
してるみたいですが、どうしてなんですか?」
赤峰さんは俺の目をみながら、少し笑った
それが可愛く思えたのは秘密です
「よくストレートにそんなことをきくわね
まあいいわ、単純に人が恐いし嫌いなの
信じることなんてできないし
友達なんて存在もいらないの。
もう疲れたのよ色んな事に」
悲しい目をしながら、俺から目を反らし
上の空になっている赤峰さんをみて
心が痛んだ、こんなに可愛い子が
何故人間を嫌いになるような
人生を歩まなきゃ行けなかったのか....
死神ちゃんと心で会話をした
「なあリリー、赤峰さんは
心に大きな傷があるみたいだな」
「そのようじゃな、このままでは
孤独に耐えきれずに死ぬ気配を感じる
だから友達になるのじゃ!伊吹。」
「まあ。がんばってみるよ」
リリーとの会話をやめ赤峰さんを見ると
一滴の涙が頬を流れていた。
「あ....あの赤峰さん?」
するから動揺したかのように
「あっ!あれどうしたのかしら私、
考え事をしていたらつい。
ごめんね、気にしないでね?」
手で目元を拭く赤峰さんを
見ながら心の奥で決意した。
彼女は必ず助けると
「赤峰さん、心休めてくださいね?
辛いことを抱え込みすぎると
いつか壊れてしまいますから。
だから自分で良かったら支えますよ」
っと胸に手をあてて微笑みながら言うと
赤峰さんも微笑みながら
「初対面の私になんで....
貴方みたいな優しい心の人間が
この世界には沢山いればいいのにね
ほんとにありがとう」
そう言われた時、素直に嬉しかった
赤峰さんの心にふれることができた気がした。
「じゃあ自分はそろそろ
帰宅しますので、またの機会に。
これ良かったら連絡先です」
メモ帳にアドレスと番号の書いた紙を
渡して、教会に戻る事にした。
リリーは相変わらず林檎飴を食べて
ご機嫌なようだ
「伊吹の優しさは綺麗じゃの
人を助けるためにあるようじゃ。
わしは好きだぞ伊吹の優しさ」
っと少し照れ気味に言う死神ちゃん
「あれもしや惚れたんですか?俺に。」
動揺した死神ちゃんは
顔を真っ赤にしながら背中の十字架を
俺に叩きつけるようにむけてきた
「何を言っとるんじゃばーか!
十字架で叩き潰したるわい!」
「まあまあ冗談ですよ落ち着いてください」
冷静な俺に対して死神ちゃんは
まだ少し動揺を隠し切れていなかった。
「ところで死神ちゃん
赤峰さんの様子はわからないのか?」
「そういえば確認しておらんかったわい。」
魔方陣を描き十字架をかざすと
光の中に映像が浮かんだ
そこには夜の公園のベンチで泣いてる
赤峰さんの姿があった。
「なあ伊吹、嫌な予感がするのじゃ
死の匂いがする....ただそれだけじゃない」
何かに感ずいてるようなリリーは
魔方陣を描き始めた
「それだけじゃないってなんだよ!
まあなんにしろ早く行こう!」
2人は魔方陣の光に包まれて
教会から消えるのであった。