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ビー玉 。  作者: 葛籠
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第5話

ハルカだって。

俺は、笑ってしまった。

遥を捜しに来て、ハルカちゃんに出会うなんて。

1人笑っている俺を見て、

ハルカちゃんは、不思議そうな顔をしている。


「なんで、笑ってるの?」

「何でもないよ、ハルカちゃん。行こうか。」

「うん。」


俺は、立ち上がるとハルカちゃんの手をつないで歩き出した。




トコトコ。


小さい歩幅に合わせて歩いていく。

ハルカちゃんが、片手に大事そうにチョコレートを持っている。

時々、チョコレートに目をやっている。


「食べて良いんだよ。」


ハルカちゃんが、俺とチョコレートを交互に見て、

首を横に振ると、「がまんする。」と言った。


「どうして?」


聞いてみる。


「お兄ちゃんと、食べる。」


ハルカちゃんが、俺に向かって微笑みかけた。

「えらいね。」って俺も微笑み返した。

優しい子だなと思った。

遥、どうしてるだろうと気になった。

ハルカちゃんが聞いてきた。


「お兄ちゃんは、何で走ってたの?」

「えっとね、好きな子と喧嘩しちゃってね。

 それで、好きな子が出て行っちゃたの。」


ハルカちゃんは真剣な顔をして、

「ダメだよ。ケンカしちゃ〜。」と言った。

俺は、苦笑する。


「そうだね。」

「どうして、ケンカしちゃったの。」


子供は、素直に何でも聞いてくる。

俺も、素直に答える。


「お兄ちゃんがね、プレゼントを買い忘れちゃったから怒っちゃた。」


ハルカちゃんは、何か考えているようだった。

急に立ち止まった。

「どうしたの?」って聞くと、ハルカちゃんが握ってた手を離した。


ハルカちゃんが、ジャンパーのポケットから、赤いビー玉を取り出した。

何だろうって思うと「はい。」って、赤いビー玉を俺に手渡した。

手の平に乗ったビー玉を見つめた。


「どうしたの?」

「これ、好きな子にあげて。女の子は大切にしなくっちゃ。」


手の平に乗った赤いビー玉が、とても綺麗で大切な物に思えた。

赤いビー玉を握り締めた。


「ありがとう。」


笑顔でお礼を言うと、ハルカちゃんも笑顔を返してくれた。


「行こうか。」

「うん。」


手をつなぎ、また歩き出した。

ハルカちゃんと、話す。

お母さんの事、お兄ちゃんの事、

幼稚園の事、お友達の事。

一生懸命話すハルカちゃんを見てると、

幸せな気持ちになってきた。

しばらくすると、交番が見えてきた。


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