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ビー玉 。  作者: 葛籠
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第4話

「どこに行ったんだよ!遥の奴!」


遥を探して、走る。

良く行くコンビニを、覗いてみる。

コンビニの奥の方に、遥に似た後ろ姿を見つた。


「遥。」


近くに行って呼んでみた。

振り向いた顔を見ると、まったく違う顔だった。

何なのこの人って、顔をされる。


「すいません。」


謝ってその場を離れた。

周りを見渡しても、遥らしき人影はなかった。

商品棚のチョコレートに目がいった。

遥が、好きなチョコレート。

チョコレートを持ってレジに行った。

これで、許してもらおうとは思わないけど…。

外に出ると、風が冷たい。

時計を見ると、9時過ぎになっていた。

遥の事が心配になる。

電話を掛けてみようと、携帯を取り出した。


3コール、4コール、5コール…出ない。


電話を切って、携帯を見ると、

さっき、投げつけられた時に付いた傷があった。

なんで、記念日忘れたのかな。

初めて、公園であった時から、すごく好きになったのに…。

傷を、指で触れた。

「ごめん。」自然と口から出た。


ふと、あの公園に行ってるのかと思った。

きっと公園に行っている。

公園に、行く事にした。


思いっきり走った。

こんなに、必死になって走ったのは、

何年ぶりだろう?

運動不足の俺には、きつかったがそんな事も言ってられない。

走って、しばらくすると、

幼稚園ぐらいの女の子が1人で歩いていていた。

こんな時間に?

気になったが、遥の事も気になる。

どうしようかと迷ったが、

もし、迷子だと思うと心配だ。

女の子の前に、しゃがんで話しかけてみる。


「どうしたの?」


子供は、泣きそうな顔だった。


「ママが…帰ってこないから…お兄ちゃんと探してたの。」

「お兄ちゃんは?」


周りを、見渡しても男の子はいない。

女の子は、泣く一歩手前って感じだ。


「いなくなっちゃた。」


女の子は、泣き出した。

迷子だ。

お兄ちゃんと、はぐれたって言ってるし、

お母さんも帰ってこないって言ってるし、

女の子は、勢いよく泣いてるし…。

一体どうなってるんだ。

泣きたいのは、俺のほうだよ。

困った。


「泣かないで。」


女の子は、よりいっそう泣いた。

どうしよう。

さっきコンビニで買ったチョコレートの事を思い出した。

ポケットから、取り出し女の子に差し出した。


「どうぞ。」


笑顔で、チョコレートを差し出す。

女の子は、泣き止んでどうしようって顔をしている。


「はい。」


とびっきりの笑顔で、微笑みかけた。

まだ、迷っているようだ。

もう一息。


「はい、どうぞ。」


女の子の手が伸びた。

チョコレートの誘惑には、勝てなかったようだ。

それとも、俺の魅力的な笑顔に勝てなかったのかも。


「ありがとう。」


女の子が、笑った。

泣き止んだのは良かったけど、

これからどうしよう。

確か近くに交番があったはずだ。

交番に連れて行くか。


「お兄ちゃんと、おまわりさんの所に行こうか。」

「うん。」


そういえば、この子の名前何ていうんだろう。


「お名前、何ていうの?」


女の子が元気に答えた。


「ハルカ。」




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